フィリピン国鉄(PNR)元 関東鉄道キハ350形

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製造から50年以上経つが、2015年よりフィリピンで第3の人生を歩んでいるキハ350形。

関東鉄道キハ350形は日本国有鉄道(国鉄)キハ35形・キハ36形を国鉄清算事業団・JR東日本・JR九州から購入したもので、1987年〜1992年に23両が導入された(運行開始は1988年)。前身のキハ35形は1961年〜1966年に258両、キハ36形は1962年に49両が日本車両、新潟鐵工、富士重工、帝国車輛、東急車輛(900番台のみ)で製造された。ロングシートの3扉車で、車体強度確保のため日本の車両では珍しく外吊り式の扉を採用している。車両寸法は長さ20,000mm×幅2,929mm×高さ3,9456mm。最高速度は95km/h。車体は鋼製(900番台はステンレス製)。

関東鉄道へ編入時にドアのステップレス化、トイレの撤去(元キハ35形)、半自動ドア機能の撤去、乗降扉の交換(ステンレス化)、塗装変更等が行われ、後に冷房化、エンジンの交換が行われている。車両番号はキハ35形(元トイレ付き)・キハ36形(元からトイレなし)に関係なく、竣工順にキハ351〜キハ3523で付番されている(但し取手向きの車両が偶数番号、下館向きの車両が奇数番号となっている。また、キハ3518は当初キハ3517だったものを後に改番)。

後継車両の導入に伴い1997年より置き換えが順次開始され、2011年10月10日をもって全編成が引退した。このうち、最後まで残っていたキハ353・354・358・3511・3518・3519の6両が2015年にフィリピン国鉄に譲渡された。

2015年4月にマニラ港に到着し、翌月にTutuban駅構内(Tayuman基地)に搬送された。現地到着後、Caloocan工場・Tutuban駅構内等にて改造が施された。改造箇所は全ての窓及び前照灯・尾灯への投石対策の金網の設置、スカートの設置、ドア窓の閉塞(鉄板化)、扉の両脇の窓の閉塞、前面行先表示部の閉塞、塗装の変更等である。なお、関東鉄道時代末期の編成のまま第1編成(Tutuban側からキハ354+キハ353)、第2編成(キハ358+キハ3511)、第3編成(キハ3518+3519)として竣工したが、改造内容は編成によって差異がある。

2015年9月21日にBicol(ビコール)地方のNaga(ナガ)〜Legazpi(レガスピ)間(101.4km)で営業運転を開始した。1日1往復のみの運用(Naga5:00発→Legazpi7:30着、Legazpi17:20発→Naga19:50着)で、土休日・祝日は運休である。途中の勾配対策のため、全区間ディーゼル機関車の牽引による運行(サービス電源確保のためキハ350形側のエンジンも稼働)となっている。2016年1月時点では、第1編成と第2編成がNaga基地に配置されて運用に入っており、第3編成は予備編成としてTayuman基地内に留置されていた。

2016年5月にNaga〜Legazpi間が路線ごと運休となり、その代わりとして従来キハ52形で運用されていたNaga〜Sipocot(シポコット)間の運用に入るようになった。

2017年8月、第1編成がNaga基地からTayuman基地に転属となり、それまで使用していなかった第3編成と合わせてTutuban〜Alabang(アラバン)間のMetro South Commuter(MSC)での運用を2017年9月4日より開始した。Tutuban〜Alabang間はBicol地方のような機関車牽引ではなく、自走による運行である。なお、毎日定期運行があるわけではなく、予備車的に使用されている。第2編成は引き続きNaga基地に所属し、Naga〜Sipocot間で運用されている。

2019年からは第3編成はNorth Railでの運用が主流となりつつある。2019年7月現在、主にNorth RailのTutuban〜Governor Pascual間の運行に使用されている。

2019年10月に第3編成はインドネシア・INKA製気動車8000 Series・8100 Seriesに合わせた塗装に変更され、2019年12月16日からはSouthth RailのAlabang〜IRRI間での運用に充当された。但し、同区間の輸送量が少なかったことや、度重なる投石被害に遭ったこと等から、2020年1月から運休となっている。


編成 ←Tutuban Legazpi→
1 354 353
2 358 3511
3 3518 3519
※2016年1月現在


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