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関東鉄道キハ350形は、2015年9月21日から2016年5月まで、Bicol地方のNaga(ナガ)~Legazpi(レガスピ)間101.4kmで営業運転を行っていた。1日1往復のみの運用で、ダイヤは以下の通りであった。第1編成と第2編成を用いて運行していた。
往路:Naga5:00発→Legazpi7:30着(途中、Pili、Iriga、Lourdes、Polangui、Oas、Ligao、Travesia、Daraga、Washington Driveの各駅に停車。各駅の停車時間は1分。)
復路:Legazpi17:20発→Naga19:50着(同上(停車駅順は上記と逆))
※土休日・祝日は運休
しかし、2016年5月にNaga~Legazpi間が路線ごと運休となり、その代わりとして同年6月より従来キハ52形で運用されていたNaga~Sipocot(シポコット)間の1日2往復の運用に入るようになった。
2017年8月、第1編成がNaga基地からTayuman基地に転属となり、それまでTayuman基地に留置されたまま一度も営業運転していなかった第3編成と合わせてTutuban~Alabang(アラバン)間のMetro
South Commuter(MSC)での運用を2017年9月4日より開始した。Tutuban~Alabang間はBicol地方のような機関車牽引ではなく、自走による運行である。なお、毎日定期運行があるわけではなく、予備車的に使用されている。
2019年からはNorth Railでの運用が主流となりつつある。2019年7月現在は、主にNorth RailのTutuban~Governor Pascual間の運行に使用されている。
第2編成は引き続きNaga基地に所属し、Naga~Sipocot間で運用されている。
■Naga~Legazpiでの運行(2015年9月~2016年5月)
アーチ状の屋根の駅舎が特徴のNaga駅。Naga Cityの中心部から数百m離れたところにあり、駅前はあまり建物がない。
改札の向こうには早くも隣接するNaga基地に留置されるキハ350形が見える。
Naga駅のホームから見たキハ350形。Naga駅のホームは1面1線。
Naga駅にて並ぶキハ350形と、Sipocot行きのキハ52形。この日は運休日(日曜日)で、キハ350形はNaga基地内に縦列で留置されていた。
Naga駅の駅名標。
夜が明ける前の朝4時過ぎ、キハ350形でLegazpiへ向かうためNaga駅に来た。
出発1時間近く前にもかかわらず、ホームには既にLegazpi行きのキハ350形がドアを開けて待機していた。
Sipocot行きのキハ52形と縦列停車している。
ホームに停車中の、Legazpi行きキハ350形第2編成(キハ358+キハ3511)。車両のホームへの据え付けは、前日夜に行われている。
Naga駅は低床ホームで、キハ350形はステップレスのため、段差が大きい。一部の乗降口の前にはステップが置かれている。
先頭のディーゼル機関車。途中のTravesia駅付近は10km近く連続の急勾配があり、キハ350形単独での運行には難があるため全区間機関車によって牽引される。なお、サービス電源確保のためキハ350形側も2両ともエンジンを稼働させる。
機関車との連結部。
発車30分前ごろから乗客が集まりだした。Naga駅発車時点ではまだ空いている。車端部のクロスシートに座って車内を見渡すことにする。
Naga駅発車後暫くは夜が明ける前のため景色が見えず、朝起きたのが深夜3時だったこともあり途中で寝てしまった。目を覚ますと、列車は緑豊かな風景の中を時速60km~70kmで快走していた。
車内もいつの間にか座席がすべて埋まるほどの乗車率。早朝と夜の1日1往復のみの運転だが、この列車の需要は相当あるようだ。
Ligao駅を過ぎた頃から、車窓にはマヨン火山(Mayon Volcano)が見えてきた。標高2,463mの円錐形の活火山で、ビコール地方の象徴でもある。非常に美しい光景であるが、窓の金網のせいで景色があまり楽しめず、写真も綺麗に撮れないのは残念である。
運転席にはエンジニアが待機している。運転台にはブレーキハンドルが置いてあるものの差し込まれておらず、変速レバーは中立状態である。この列車には前後の運転席にエンジニアが待機(ドア開閉を担当)し、その他に車掌2名、機関車に運転士・助士が乗務し、全部で6名の乗務員で運行されている。
乗務員室から前方を見ると、牽引している機関車が見える。
反対側(最後尾)の乗務員室側を見る。
写真を撮っていると、乗務員室に招き入れてくれた。最後尾から後方を見ると、Legazpiの市内の民家の脇をダイナミックな速度で駆け抜けていた。
Naga駅を発車して2時間半、列車は終点のLegazpi駅に到着した。定刻で到着。
牽引してきた機関車とキハ350形第2編成。
Legazpiにて
Legazpi駅の線路終端部。マニラのTutubanから南東に479.0km続くSouth Railの線路もここで途絶える。
Ligao~Legazpi間は長らく不通となっていたが、線路復旧時に従来の低床ホームに隣接して現在の高床ホームが新設され、ホームにあわせて線路も2m程ずらされた。写真の線路終端部の脇にあるコンクリート製の車止めの位置が元々の線路があった場所である。
Legazpi駅の駅舎。
Legazpi駅のホーム。1面2線で、現在は低床ホームの隣に設けられた高床ホーム側にのみ列車が発着する。
Legazpi駅の駅名標。
Legazpi駅に到着した列車は、そのまま16時頃までホームに留置される。乗務員も車内で横になって一休み。
ホームから機関車の運転台を見る。
機関車のエンジンルーム。
Legazpi駅の西側数百mのところにはデルタ線があり、折り返しの際の機関車の前後付け替えはこのデルタ線を使用して行われる。入換は16時頃から実施。
デルタ線付近から見たマヨン火山。
Legazpiの中心部。Legazpiの街のどこからでも、雄大なマヨン火山を見ることが出来る。
Naga駅構内にて、明日の運用に備えて入換運転を行う元 関東鉄道キハ350形3511+258(フィリピン国鉄キハ350形「第2編成」)。
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1駅間の車内の様子。夜明け前の朝5:00にNaga駅を出発し、2時間半かけてLegazpiまで向かう。1日1往復運転。
発車前の放送では、僅かにオルゴール「アルプスの牧場」を鳴らしている。車掌2名とエンジニア2名が乗車し、車掌は発車後検札を行う。
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1駅間の車内の様子及び車窓。ドア開閉時には関鉄時代と同様にドアチャイムが鳴る。機関車牽引による時速60~70kmで運行。機関車牽引ながらキハ350形も2両ともエンジンをかけている。
すべての窓に投石対策の金網が設置されているため、窓からの眺めはあまり良くない。
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車掌のご厚意により乗務員室より撮影。住宅の間を、先頭の機関車が警笛をずっと鳴らしながら走ってゆく。軌道状態はそれほど良くないが、時速60km前後で運行。
Legazpi駅の手前はデルタ線になっている。到着直前にキハ350形も警笛を鳴らしている。車掌による車内放送もあり。
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■Tutuban~Alabang(Metro South Commuter)での運行(2017年9月~)
第1編成が首都マニラに舞い戻り、保留車だった第3編成と共に2017年9月よりMetro South Commuter (MSC)での運行を開始。混雑が激しい線区において、3扉車のポテンシャルを遺憾なく発揮できている。
Sucat~Bicutanにて
Bicutan付近の線路市場の中を行くキハ350形。車体を白、前面をブラックフェイス、屋根や車体裾部を黒とした斬新な塗装に変更され、若返った印象を受ける。
Sucat~Bicutanにて
203系との離合。日本では取手で顔を合わせていた両者だが、フィリピンでは同じ路線で働くこととなった。
FTIにて
Bicutan駅を発車する、Alabang行きのキハ350形。運行中は雨の日を除いて、換気のため前面貫通扉が開いていることが多い。
踏切待ちのいすゞ・ギガとも顔合わせ。
Tutuban駅に到着し、Tayuman基地へと引き上げる。
キハ350形は予備車的な存在のため毎日運行しているわけではなく、運行していても1日1~2往復程度である。
Metro South Commuter (MSC)で運行中のキハ350形の車内。写真は最も空いているBlumentritt~Tutuban間で撮影したもので、その他の区間は常に混雑している。キハ350形は203系5両編成と比べて乗車定員が少なく、車内混雑激化や積み残しを避けるため、あらかじめ列車の切符の発売枚数が制限されている場合がある。
Tayuman基地で待機中のキハ350形第3編成。
※職員立会いの下、許可を得て撮影
塗装変更が完了した第1編成(キハ354)。尾灯周りの金網で、印象が少し異なる。2017年9月の営業運転開始後から暫くは3両編成で運行していた(残りの1両はTayuman基地に留置されていた)が、2017年12月からは第3編成と第1編成の全車両を連結した4両編成での運転も開始した(その後、第1編成が再度故障してしまい、2018年1月からは第3編成単独(2両編成)での運行に戻っている)。
第1編成のキハ354をローアングルで眺める。
2017年9月4日よりマニラ近郊での営業運転を開始したキハ350形。車内放送の際、元から搭載されている気動車車内チャイム「アルプスの牧場」を活用している。
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Tutuban~Alabang間は通常は元JR東日本203系による5両編成で運行されているが、キハ350形の場合は3両編成または4両編成のため定員が大幅に少なく、車内の混雑が激しい。
キハ350形・キハ52系・DMR1で運行する列車の場合、車内混雑激化や積み残しを避けるため、あらかじめ列車の切符の発売枚数が制限されている場合がある。
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車内の様子を上から撮影。多くの乗客が終点のTutubanの1つ手前の、Blumentritt駅で下車する。
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■Tutuban~Gov. Pascual(Metro North Commuter)での運行(2019年~)
2019年からはNorth RailのTutuban~Gov. Pascual間での運行が主流となりつつある。2019年7月現在、第3編成単独の2両編成で運行されている。常時混雑しているSouth
Railに対し、「都会のローカル線」であるNorth Railは少しのんびりとした時間が流れている。
Tutuban~Solisにて
North RailとSouth Railの分岐部を行く。軌道の両脇は自動車の修理・解体を行う「青空工場」となっている。
Solis~Tutuban間のデルタ線部分を行く。
5th Avenue駅付近の警報機・遮断機なしの踏切で、列車に合図を送る踏切保安係。
5th Avenue~Solisにて
NLEX(North Luzon Expressway)の高架下を行く。
Gov. Pascual~Sangandaanにて
「JR」の文字が書かれたジプニーと、元JR車のキハ3519(JR東日本時代の車両番号:キハ35 163)のコラボレーション。
2019年7月現在、North Rail線内運用(Tutuban~Gov. Pascual間)に充当されている元 関東鉄道キハ3518+キハ3519。キハ52形と共通運用されている。警笛を鳴らしながら、草に埋もれた軌道の上を軽快に走り抜けてゆく。
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1駅間の車内の様子。常時混雑しているSouth Railと対照的に、North Railは空いている。5th Avenueより北側はNLEX Harbor Link Segment 10(North Luzon Expressway)の建設工事現場の脇を通る。キハ350形は最後尾からの後方展望も可能。関東鉄道時代のドアチャイムも健在。
なお、中央の扉が開閉していないが、締切改造をしたわけではなく、単に故障したためである(前の車両は全扉が開閉していた)。
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Naga→Legazpi間普通乗車券(表)
普通紙(非磁気式)である。Naga~Legazpi間の運賃は100ペソであるが、Nagaでは30ペソ券3枚+10ペソ券1枚の計4枚で発行していた。
乗車券右上のFromのところにNagaを示す「NG」、ToにLegazpiを示す「LG」と記入している。
乗車後、車内で必ず車掌による検札がある。
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