軌道を走る乗り物が好きだ。それは普通の鉄道だけでない。スロープカー(※1)やモノラック（※2）をはじめとするラック･アンド･ピニオン駆動方式の斜面走行モノレール、旅館や観光施設、寺社等に敷かれた私設のケーブルカー、斜行エレベーター、さらには鉱山等のトロッコや遊覧鉄道、特殊規格の各種軌道を走る車両まで。日本のものは鉄道事業法や軌道法が適用されないものが大半だ。

これらは、普通の鉄道よりも軌道や車両が小型であることを活かして、鉄道の常識では考えられない環境下を走るものも少なくなく、普通の鉄道では見られない驚きと感動の光景を見ることが出来る。一方で、これらは普通の鉄道よりも情報が圧倒的に少なく、情報収集に苦労するのも事実である。新設・廃止の動きも激しく、全世界どころか、恐らく日本国内のものでさえ完全に調査したり、完乗することは不可能だ。しかし、そのミステリアスな終わりなき世界が逆にマニアの探求心をくすぐらせる。まさに底なし沼である。

ここでは、国・地域別に、軌道を走る奇想天外な乗り物にスポットを当てて紹介する。題して「軌走天外」（きそうてんがい）。
さあ、あなたも、よりニッチで奥深いレールの世界を旅してみませんか。

※1：「スロープカー」は株式会社嘉穂製作所が開発した跨座式の斜面走行モノレールで、同社の登録商標である。なお、同社製の懸垂式モノレールは「スカイラック」と名付けられている。
※2：「モノラック」は株式会社ニッカリ及び米山工業株式会社が開発した急傾斜地単軌条運搬機で、株式会社ニッカリの登録商標である。