北京地下鉄機場線

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北京地下鉄機場(ジーチャン)線は東直門(トンジーメン)〜3号航站楼(サンハオハンジャンロウ)〜2号航站楼(アーハオハンジャンロウ)間4駅28.1kmを結ぶ路線で、北京首都国際空港と北京市内を結ぶ空港連絡鉄道である。機場快軌(ジーチャンクァイグイ)とも呼ばれる。三元橋(サンユェンチャオ)〜3号航站楼〜2号航站楼はデルタ線となっており、すべての列車が東直門→三元橋→3号航站楼(折り返し)→2号航站楼(折り返し)→三元橋→東直門の順に運行される。三元橋〜3号航站楼 間は大半が地上区間である。全区間複線(右側通行)で、第三軌条方式による直流750V電化。軌間は1,435mm(標準軌)。

Bombardier Transportationの技術による鉄輪式リニアモーターカーを採用しており、鉄輪式リニアモーターカーは中国では広州地下鉄4号線に続く2例目の採用となった(但し広州地下鉄4号線は日本の技術であり、Bombardier Transportationの技術のものは中国初)。地下駅にはプラットホームスクリーンドア(PSD)が、地上駅には可動式ホーム柵(APG)が完備している。車両基地は天竺車両段で、デルタ線の中央部に位置する。運賃は他の路線と独立しており、全線25元均一。北京オリンピック開催にあわせて建設が進み、8号線・10号線とともに2008年7月19日に全区間が開通した。

列車は4両編成で運転される。使用車両はQKZ5型でBombardier Transportation・長春軌道客車製。開業にあわせて、2008年に10編成(40両)が製造された。車体はアルミ合金製。営業最高速度は100km/h(設計最高速度は120km/h)。同タイプの車両は、Bombardier Transportationの製品名では「Art Mark ll」(Bombardier Transportationの製品名。ART=Advanced Rapid Transit)と呼ばれており、世界7都市・空港で採用されている。アジアではマレーシア・クアラルンプールのクラナジャヤ線に次ぐ採用例。なお韓国・ソウルの龍仁軽電鉄も同タイプの車両を採用している。無人運転にも対応しているが、現在はATCによる手動運転を行っている。

軌間や電化方式・電圧は他の路線と同一であるものの、車両規格が異なるため、東直門駅・三元橋駅を含めて他路線との短絡線は設けられていない。

(路線図:管理人制作)

機場線のQKZ5型。Bombardier Transportationの「Art Mark ll」規格の車両で、前面窓や側窓、扉の配置や形状に同タイプの車両に標準のものが使用されている。鉄輪式リニアモーターカーのため、軌道の中央にはリアクションプレートを設置。

2号航站楼〜三元橋にて
三元橋駅の北側で地上に出るQKZ5型。

三元橋〜3号航站楼にて
QKZ5型の側面。車両寸法は長さ15,280mm(先頭車は16,130mm)×幅3,200mm×高さ3,777mmで、他路線の車両と比較して車両長が短く、幅は広い。車体側面と屋根上には機場線のロゴマークと「Airport Beijing City」の文字が各車両に記されている。

天竺車両段にて
QKZ5型の台車。「Art Mark ll」の標準的なもので、インサイドフレーム(側梁と軸受けが車輪の内側にある構造)となっているのが特徴。中央には集電装置を設置。
QKZ5型(第1編成)の車内の様子。座席は車端部を除いて集団見合い式の配置(車端部はボックスシート)。天井や照明は左右非対称となっている。
QKZ5型の第2編成以降の車内の様子。座席のモケットや化粧板の配色が変更された。
乗務員室は、落成当初は上半分の仕切りがなく非常に開放的な構造であった。乗務員は2名乗務体制で、走行中に運転を交代する。前面展望が非常によいため、乗客が背後に集まることもあった。
乗務員室部の現在の様子。仕切りが高くなり、窓が設置された。同時に、両脇の1人がけ座席も乗務員室寄りに移動した。
運転台。右手操作式ワンハンドルマスコンを採用しており、マスコンは手前に引くと減速、奥に押すと力行(欧米式)である。モニターは2台設置されており、左側は速度計や車両の状態などを、右側は防犯カメラの映像を表示する。左側のモニターは日本製(株式会社デジタル製)。
運転台は無人運転に対応しているため収納できる構造となっており、最後尾になった場合など、使用しない際は収納する(現在は無人運転は実施されていない)。
3号航站楼駅駅舎。ドーム状のガラス張りの屋根が特徴。駅舎の奥には北京首都国際空港の第3ターミナルが見える。
3号航站楼駅に停車中の、折り返して2号航站楼駅へ向かう列車。当駅は2面2線(うち1線は未使用)の頭端式ホームで、乗降ホームが分離されている。また、機場線で唯一の地上駅で、パナソニック製の可動式ホーム柵(APG)が設置されている。
2号航站楼駅のホーム。当駅は1面1線の地下駅で、3号航站楼駅から到着した列車は、再度折り返して東直門行きとなる。
自動改札機は機場線の全駅で日本信号製のものが採用されている。日本で見かけるものとほぼ同一の形状で、エラー音も同一。ICカード式乗車券のため、入場側には切符投入口がない。
上空から見た天竺車両段。デルタ線の中央にあり、写真左奥の線路が3号航站楼駅方面、左手前が2号航站楼駅方面、手前が東直門方面となる。
天竺車両段に留置されているQKZ5型。奥には黄色の入換用機関車も見える。

機場線QKZ5型電車走行音(東直門→三元橋)IGBT-VVVF制御で、制御装置はBombardier Transportation製。
Mc-M-M-Mc(2M2T)の4両編成。
自動放送は北京語・英語の2ヶ国語。

機場線乗車券(表/裏)
専用のデザインのものが使用されている。ICカード式乗車券で、出場時に回収される。25元均一料金。

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