第3トンネル シャトル昇降機

京畿道坡州市にある「第3トンネル」(제3땅굴/読み:ジェ サム タングル)は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が軍事目的で秘密裏に軍事境界線を越えて韓国側に掘り進めたとされるトンネルのうちの1つで、韓国側で3番目に発見されたトンネルである。1978年10月17日に発見された。本坑(現地では「敵坑道」と呼ばれている)は地下73mの深さにあり、全長1,635m(掘削中に発見されたため未完成)で、うち435mが韓国側にある。高さ約2m、幅約2mのアーチ型のトンネルである。このうち韓国側の265mが観光用に開放されている。

韓国側が当トンネルを探すため1978年に3か月かけて掘った坑道(「逆坑道」(역갱도)と呼ばれている)を活用して、2002年5月31日より上部搭乗場(상부탑승장)~下部搭乗場(하부탑승장)間の全長300mの区間を「シャトル昇降機」(셔틀승강기)と呼ばれるラック・アンド・ピニオン駆動の車両が運行されている。開業時から2013年3月14日までは「統一号」(통일호)と名付けられた初代車両で運行され、2013年4月16日からは「平和号」(평화호)という名の2代目車両で運行されている。車両は(株)松山特殊エレベーター(송산특수엘리베이터)製。第3トンネル内は撮影禁止のため、車両は上部搭乗場付近でしか撮影できない。なお、本坑へは別のルートで徒歩でもアクセスすることも可能。

当トンネルはDMZ(非武装地帯)内にあり、訪問するにはパスポートが必要である。また、原則として個人で訪問することはできず、ツアーに参加しなければならない。

韓国では同様の南侵トンネルがこれまで4つ見つかっており、このうち第2~4トンネルは観光地化されている。第4トンネルでも坑内でトロッコ列車が運行されている(第4トンネル内のトロッコは本坑内を運行しており、撮影禁止エリア内にある)。

関連ページ:「DMZ(非武装地帯)観光」


第3トンネルの「逆坑道」を上って地上に出るシャトル昇降機。


上部搭乗場(상부탑승장)に到着したシャトル昇降機。


シャトル昇降機の外観。先頭部には「平和号」(평화호)の表記があり、さらにその上下には2013年6月12日に第3トンネル訪問者が累計500万人を突破したことを示す装飾がなされている。


シャトル昇降機の先頭部。側面には施設がある坡州(파주/パジュ)市のマークが記されている。


下部搭乗場側車両の操作パネル。「第3トンネル シャトル乗降機、48人乗り、3150kg」と記されている。メーカーは(株)松山特殊エレベーター。
当シャトル昇降機の最前席には必ずオペレーターが乗務する。


上部搭乗場側車両の操作パネル。下部側とほぼ同一だが、操作パネルの脇にLCDが設置されておらず、マイクの位置が逆転している等の細かな差異がある。


先代(初代車両)の「統一号」(통일호)。2002年5月31日から2013年3月14日まで10年10ヶ月程運行された。この構造(ラック・アンド・ピニオン駆動)の昇降機は韓国初であった。


シャトル昇降機の軌道。軌条中央に2本のラックレールがある。


第3トンネルの「逆坑道」の坑口。ちなみに扁額の「제3땅굴」を直訳すると「第3地窟」である。読みは「ジェ サム(3) タングル」。


「逆坑道」を上ってくるシャトル昇降機。


上部搭乗場の様子。ホームは乗降分離されており、搭乗客は右側のベンチに座って搭乗まで待機する。


乗り場付近に設置されているヘルメット置き場。乗車の際は必ずヘルメットを着用しなければならない。なお、ヘルメットの色はシャトル昇降機利用者は青、徒歩の人は黄色となっており、徒歩利用者がシャトル昇降機に誤乗しないよう判別できるようになっている(シャトル昇降機利用は有料)。


第3トンネルの案内図。韓国語・英語・中国語・日本語の4か国語表記。


日本語部分の拡大。


第3トンネル前の広場。写真奥がシャトル乗り場(上部搭乗場)。


バスロータリーを挟んで反対側にある徒歩観覧路。358mの斜坑を降りた先が本坑(敵坑道)の終端部(掘削作業中断地点)である。


バスロータリーとモニュメント。モニュメントは分割された朝鮮半島の南北を国民の手で再統一しようという願いをこめたものである。



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