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スロープカー「地底銀河鉄道はまゆり」は、現在釜石鉱山で唯一現役の斜坑である新山斜坑(海抜250~550m、斜距離670m、傾斜角26.5度)の一部区間を走行する、業務用のスロープカーである。350mL坑道の坑口から約2.5km地点にあるトロッコ軌道の現役終端部(海抜350m)から大橋地下発電所(海抜250m)を結ぶ。全区間地下。
スロープカーは8人乗りで、2015年嘉穂製作所製。駆動車(動力付き)+人車(動力付き2人乗り車両)+人車(動力無し6人乗り車両)の3両編成で、車両操作は2両目から行う。レール長:293m、速度:30m/分、傾斜は0~26.5度。三相交流200V/50Hz電化。レール規格はD250(D=Depth)。斜坑の線形をそのまま活用したため、常設のスロープカーとしては唯一のスイッチバック運転を行う。また、スイッチバック地点には日本の常設スロープカーで唯一、分岐器が設置されている。なお、「地底銀河鉄道はまゆり」の愛称は社内公募とのことである。
もともと斜坑内に敷設されていた斜行人車の軌道(軌間762mm)の直上にスロープカーのレールが敷設されている(スロープカーのレールを支える支柱を、既設の斜行人車の軌道に締結している)。斜行人車の車両自体も坑内に保存されている。
※当スロープカーは通常非公開だが、釜石鉱山株式会社・株式会社嘉穂製作所の多大なるご協力のもと、特別に見学・乗車させて頂いた。
赤い車体と奇抜な愛称名が印象的な、釜石鉱山のスロープカー「地底銀河鉄道はまゆり」。前面に黄色い接触式障害物センサー(バンパー)が設置されている。
駆動車(動力付き)+人車(動力付き2人乗り車両)+人車(動力無し6人乗り車両)の3両編成。
山頂側の先頭2両は電動車である。2両目の人車の座席は上り向きに配置され、車両の最大勾配(26.5度)に合わせて傾いている。
2両目の操作盤。タッチパネル式表示器(三菱電機製)に加え、ボタン類・スイッチ類がシンプルに配置されている。
3両目の人車(動力無し6人乗り車両)。下り向きの2人掛け座席が3列設置され、その前後に荷物スペースがある。
この車両のみ車幅が広いため、左右に車体揺れ防止用の補助輪が設置されている。レール側もこの車両に対応するため、中央のメインレールの両側にパイプ状の補助輪用レールが設置されている。
上部ステーション(海抜350m)に停車中のスロープカー。新山斜坑に向けてレールが延びる。
3両目の人車に乗車すると、まずは上部ステーションを後ろ向きに発車する。
スロープカーのレールの下には斜行人車の軌道(軌間762mm)が残っている(スロープカーのレールは斜行人車の軌道に締結されている)。
後ろ向きで進み、新山斜坑と合流。この合流部に、日本の常設スロープカーでは唯一の分岐器が設置されている。分岐器の脇に3色式の積層信号灯が設置されており、分岐の開通している方向を示している。
分岐器動作中の様子。分岐器はトラバーサー式で、曲線用のレールと直線用のレールがスライドさせることで進路を切り替える。
分岐器動作時、積層信号灯は黄色が点滅し、警告音が鳴動する。
分岐器の転換が完了。進路の開通方向を積層信号灯の現示で確認したうえで発車する。ここからは3両目の人車を先頭に進む。
傾斜角26.5度の新山斜坑を下るスロープカー。写真は海抜300m地点で、よく見ると右奥に向かって300mL坑道への軌道が分岐している(現在は300mL坑道は使用されていない)。
軌道右側にある青いパイプは、水力発電所へと繋がる導水管。
新山斜坑を下りきり、250mL坑道に達したところがレール終端部。
海抜250mの下部ステーションに到着したスロープカー。
下部ステーションに停車中のスロープカー。前照灯・室内灯が点灯した凛々しい姿。
スロープカーの奥に見えるのが、大橋地下第2発電所。このスロープカーと前述の350mL坑道のトロッコは、大橋地下発電所へのアクセスという重要な役割を担っている。
大橋地下第2発電所の内部。鉱山の湧水を利用した水力発電所で、最大出力は199.9kW。中央に見える青い装置は水車発電機で、水車はチェコのマーベル製、発電機はセルビアのATB
SEVER製。
写真左へ続く坑道は250mL坑道、右側のスロープカーのレールが見えるのが新山斜坑。この地点が新山斜坑の起点で、それを示す標識も見える。
250mL坑道はレールも残っているが、現在は使われていない。
大橋地下第2発電所から数十メートルの位置にある大橋地下第1発電所。当水力発電所は採掘跡の坑内空洞を利用して1995年に設置された。
現在、仙人秘水の製造はすべてこの大橋地下第1・第2発電所で発電したクリーン電力で行っている。
復路は2両目の人車(オペレーターが乗車する動力付き車両)に添乗。回転灯を灯らせて、傾斜角26.5度の新山斜坑をゆっくりと、力強く上っていく。速度は30m/分。
分岐部に接近。
分岐部に到着。なお、分岐器の上部の引上げ線の先に車止めが見えるが、斜坑自体は550mL坑道まで続いている。
分岐器の拡大。前述の通りトラバーサー式。
分岐部の脇には、かつて斜坑人車が現役だった頃の看板(乗車定員及び制限荷重、人車乗車心得)が残されていた。
スロープカーのスイッチバックの様子を地上から眺める。以下、順に時系列で紹介する。
なお、本線上でスイッチバック運転する常設スロープカーは、ここが世界唯一である。
引上げ位置(分岐器の先)まで徐行で前進。
分岐器転換中。レールが左方向(直線レールから曲線レールへ)にスライドしている。
スイッチバックして曲線部を進むスロープカー。分岐器部分も含めて勾配を安定して走行しており、嘉穂製作所の技術力の高さを改めて実感じた。
斜坑から抜けて、上部ステーション(350mL坑道方面)へと進むスロープカー。
唯一無二の運行形態である釜石鉱山のスロープカーは、スロープカー愛好者にとって羨望の的である。通常非公開である釜石鉱山内の各種乗り物に特別に乗車させて頂いた釜石鉱山株式会社・株式会社嘉穂製作所に、改めて心から感謝申し上げる。
別の坑道内に保存されている、かつての斜坑人車。大規模採掘が行われていた頃に使用されていた。
釜石鉱山で現在唯一使用されている斜坑である新山斜坑(海抜550m~海抜250m、傾斜 26.5°、斜距離 670m)のうち、トロッコ列車乗り場がある海抜350mから大橋地下発電所がある海抜250mを結ぶ、職員専用スロープカー「地底銀河鉄道はまゆり」の下り全区間前面展望(350mL→250mL)。
スロープカーは8人乗りで、2015年嘉穂製作所製。レール長:約300m、速度は30m/分。駆動車(動力付き)+人車(動力付き2人乗り車両)+人車(動力無し6人乗り車両)の3両編成。車両操作は2両目から行う。両端の車両の先頭には接触式障害物センサーが設置されている。
もともと斜坑内に敷設されていたトロッコ用軌道(軌間762mm)の直上にスロープカーのレールが敷設されている(トロッコ時代のレールは大半が存置)。斜坑の線形をそのまま活用したため、常設の嘉穂製作所製スロープカーとしては唯一のスイッチバック運転を行う。そのため、下り(往路)の際は上部ステーション(海抜350m)発車時からスイッチバック地点到着時まで後ろ向きに走行する。
「地底銀河鉄道はまゆり」の愛称は社内公募とのことである。
※釜石鉱山株式会社・株式会社嘉穂製作所の全面ご協力のもと撮影。
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釜石鉱山の新山斜坑で運行されている、職員専用スロープカー「地底銀河鉄道はまゆり」の上り全区間前面展望(250mL→350mL)。
上り(復路)の際はスイッチバック地点発車時から上部ステーション(海抜350m)到着時まで後ろ向きに走行する。
※釜石鉱山株式会社・株式会社嘉穂製作所の全面ご協力のもと撮影。
4K Video
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