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釜石鉱山の350mL坑道(=海抜350m坑道。mL=メートル・レベル)は、業務用(関係者専用)にバッテリーロコ牽引のトロッコが運行されている。軌間は762mm。現役の軌道は全長約2.5kmで、所要時間は片道約12分。2019年に550mL坑道のトロッコ廃止後は、釜石鉱山で現役で運行されているトロッコはこの350mL坑道の区間のみである。現在350mL坑道の中で現役の坑道は1本しかないが、大規模な採掘は行われていた頃は複数の坑道があり、現在軌道がある坑道は当時「大仙坑道」と呼ばれていたそうだ。
バッテリーロコはニチユ(日本輸送機株式会社)製で、「仙人秘水」号と命名されている。後ろに12人乗りの人車(トロッコ)を連結して走行する。当区間はかつて架線集電方式により直流550Vで電化されていたが、現在は架線は撤去された。当区間は主に大橋地下発電所へのアクセス用として残されており、現役区間の終端部で業務用スロープカー「地底銀河鉄道はまゆり」に乗り換えて、同発電所へ向かうことができる。
※当トロッコは通常非公開だが、釜石鉱山株式会社の多大なるご協力のもと、特別に見学・乗車させて頂いた。
350mL坑道のトロッコのヤード。写真左奥に延びる軌道が現在も現役で使用されている。
釜石鉱山は1993年まで鉄鉱石の大規模採掘が行われていた。全盛期は直流550Vで電化され、TL(トロリー式電気機関車)牽引のトロッコが行き交っていたようだ。この写真の地点も大規模なヤードで、数多くの軌道が敷かれていたが、現在は軌道も間引きされ、架線も撤去された(架線撤去時期は不明)。
往年の写真は以下のサイトに詳しく掲載されている。
http://tsunechan.web.fc2.com/kamaishi.html(「青春コレクション ~つねぴょんの撮り鉄人生~ 鉄道写真展示館」様)
http://a6061.la.coocan.jp/kamaishi1.html(「トロッコ大好き!」様)
ヤードの奥に見える機関庫。保守基地として使用されている。奥に見えるトンネルへ進む軌道はかつては本線であったが既に廃線となっており、その先にあった国道283号を跨ぐ鉄橋は既に撤去されている。
現役で使用されている、ニチユ(日本輸送機株式会社)製のバッテリーロコ。バッテリーボックスの番号は「1」と書かれているが、車両番号表記は見当たらない。
バッテリーロコの側面。
バッテリーロコのマスコン。ニチユの文字が入っている。
バッテリー(蓄電池)の銘板。ユアサコーポレーション(現:ジーエス・ユアサコーポレーション)製。
バッテリーロコの後ろに連結されている人車(客車)。2軸台車で12人乗り。坑内停車時に周辺を照らせるよう、屋根の四隅に照明が設置されている。
人車の内部。3人掛け座席のボックスシートが前後2箇所に設置されている。
バッテリーロコのキャブに特別に便乗。またとない貴重な体験をさせて頂いた。
ヤードを発車すると、すぐに左に大きくカーブする。
カーブを曲がった先にある大仙坑口。門が行く手を阻む。
バッテリーロコの機関士が坑口の門を開け、再発車。いざ、部外者が滅多に踏み入れることがない、大仙坑道の内部へ!
大仙坑道の内部の様子。素掘りである。トロリー線などの電化設備が撤去されており、トンネル内の照明も現在は点灯させることが出来ない。
真っ暗闇の中を突っ走っていく。
2km程走行したところで、右から別の軌道が接近してきて複線となる。右の軌道も出発地点のヤードに繋がっており、大規模採掘が行われていた頃は、右側の軌道を積み出し用(鉱山内からヤードへ向かう列車用)、現在走ってきた線路を空車の戻し用(ヤードから鉱山内に向かう列車用)に使用し、一方通行の運用としていたそうだ。
現役軌道の終端部。写真右奥から右手前に分岐する軌道の先にスロープカー乗り場がある。この先も2km以上、使用されなくなった軌道が残っているという。
終点に到着したトロッコ列車。観光用でなく、業務用として鉱山で現役で使用されているバッテリーロコ牽引のトロッコ列車は、今や日本では非常に貴重な存在である。
復路は人車を先頭に推進運転する。坑道内の分岐器は現在使用されておらず、機回しは行わない。
(人車の先頭から撮影)
旧釜石鉱山事務所前に保存されている各種車両。写真はE1510号車(15トンTL)。
B654号車(6トンBL)。
右手前にあるのはバケットローダー。
手前にE609号車(6トンTL)、奥にパトラーショベルとマインカーローダー。
釜石鉱山350mL坑道(海抜350m坑道)にて業務用(関係者専用)として運行されているトロッコ列車の全区間前面展望。ニチユ(日本輸送機株式会社)製のバッテリーロコ「仙人秘水」号が牽引するトロッコ列車が、全長約2.5kmの軌道を約12分かけて走行する。当区間は通常、一般には公開していないが、今回は釜石鉱山株式会社の全面ご協力のもと、バッテリーロコのキャブに添乗して特別に撮影させて頂いた。
現在、釜石鉱山で現役で運行しているトロッコは、この350mL坑道(海抜350m坑道)の区間のみである。当区間はかつて架線集電方式により電化されていたが、現在は電化設備は撤去され、さらに坑道内の照明も大半が撤去されている。
なお、釜石鉱山最盛期は総延長約1,000kmもの坑道が張り巡らされていた。廃止となった軌道は現在でも数多く残存しており、映像からは数多くの分岐や複線区間があるのが確認できる。なお、現役区間の終端部は業務用スロープカー「地底銀河鉄道はまゆり」の乗り場付近であるが、その先にまだ2km程軌道自体は続いているとのことである(廃止区間)。
2019年までは550mL坑道(海抜550m坑道)でもバッテリーロコ牽引のトロッコが運行していた。現在は軌道は撤去され、2021年10月より同区間をヤマハ発動機製の電磁誘導カート(ランドカー)が運行されている。
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