ミャンマー国鉄元 JR西日本キハ181系

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キハ181系は特急形気動車として、日本国有鉄道(国鉄)時代の1968年〜1972年に製造された車両である。製造会社は富士重工・新潟鐵工・日本車両。158両が製造され、国鉄分割民営化時にJR西日本・JR四国に138両が継承された(残りの20両は国鉄時代に廃車)。車両寸法は長さ21,300mm×幅2,903mm×高さ3,955mm(キハ180形・キロ180形の高さは4,087mm)。最高速度は120km/h。車体は鋼製。

JR四国に継承された車両は1993年までに全車廃車となり、JR西日本に継承された車両も2012年までに全車廃車となった(最終営業運転は2011年)。うち、2012年に廃車となったJR西日本の15両(キハ181-27,45,47,48,49、キハ180-22,36,41,42,45,48,49,77、キロ180-4,12)がミャンマー国鉄へ譲渡された。

現地到着後、ステップ設置、車軸の改造、冷房装置搭載部分の低屋根化、キハ180形・キロ180形の屋根上のラジエーターの撤去等の改造が施された。JR西日本塗装に準じた色に再塗装され(色合いは若干異なる)、現地の車両番号表記が追加された。

2013年より営業運転を開始した。現在、ヤンゴン環状線でエアコンヤター・アトゥーヤター(アトゥー:特別、ヤター:列車)として5両編成2本が営業運転に就いている。ヤンゴン環状線初の冷房車となった。
2013年9月7日〜2014年12月28日の土日は、ヤンゴン(Yangon)とチャイトー(Kyaikto)を結ぶ特急列車「Kyaikto Special Express Train」としても運転されていたが、乗客数が芳しくなかったため廃止となった(「Kyaikto Special Express Train」の詳細はこちらをご覧ください)。

再塗装や各種整備が完了し、営業運転開始の時を待つキハ181-27(現:RBE P5029)。

2013年5月 Ma Hla Gon Locomotive Shed(マラゴン機関区)にて
営業運転開始前のキハ181-45(現:RBE P5030)。

Ma Hla Gon Locomotive Shedにて
ヤンゴン環状線で営業に就くキハ181-47(現:RBE P5031)。

Yangonにて
Myitnge(ミンゲー)工場内で整備中のキハ181-48(現:RBE P5032)。この時点(2013年8月)では車両番号がまだ追記されていなかった。

Carriage and Wagon Workshop (Myitnge)にて
キハ181-49(現:RBE P5033)。

Ma Hla Gon Locomotive Shedにて
ヤンゴン環状線で「エアコンヤター」(=エアコン列車)運用に就くキハ181系(先頭はキハ181-47)。背後の建物は日本企業が建設したヤンゴンのランドマーク、「サクラタワー」。

Yangon〜Pazundaungにて
Yangon駅に入線する、ヤンゴン環状線反時計回り運用のキハ181系。
Yangon駅で発車を待つ。技術者が添乗しており、長時間停車中は床下機器等の点検を行う。
キハ181-48,49、キハ180-36,45,48(現:RBE P5032,5033、RBE5035,5038,5039)の5両は、インスタントコーヒー「Gold Roast」の全面ラッピング広告が施されている。本来はこの5両で1編成であるが、一部車両がラッピングなしの予備車に差し替えられることもある。写真はキハ180-45(RBE5038)。
予備車扱いのキハ181-47(RBE P5031)を先頭に、ヤンゴン環状線の掘割区間を行く。

Lan Ma Daw〜Pha Yar Lanにて
Inseinにてヤンゴン環状線の客車列車と並ぶ。
Inseinを発車するキハ181-47(RBE P5031)以下5両編成。
Yangon駅7番線に入線。列車が通過した直後から、早速客がレールに腰かけていた。
DRC(Insein)にて修理中のキハ181-48(RBE P5032)。電気系統にトラブルがあったため、修理しているとのことであった。
「Kyaikto Special Express Train」運用に就くキハ181-27(RBE P5029)。
Yangon側から順にRBE P5029(キハ181-27)+RBE 5037(キハ180-42)+RBE 5036(キハ180-41)+RBE 5034(キハ180-22)+RBE P5030(キハ181-45)で組成され、「Myanmar Beer」の全面ラッピング広告編成となっている。
「Kyaikto Special Express Train」は2014年12月28日で廃止され、2015年1月3日より車両はヤンゴン環状線に転用された。

Kyaiktoにて
「Kyaikto Special Express Train」運用に就くキハ181-45(RBE P5030)。
営業運転開始前、Yangon工場(Yangon Repair Shop)では多数のキハ181系が整備・留置されていた。

2013年5月撮影
冷房装置搭載部は低屋根化改造が施された。
低屋根部の水抜き用の穴が新設された。
ヤンゴン環状線の高さ方向の建築限界は3,600mmのため、ご覧の通り道路橋のアンダーパスはギリギリである(低屋根化改造しなければ通過不可)。建築限界を今から高くすることは非常に困難であるため、車両側で対応(低屋根化)せざるを得ない。
各乗降口にはステップが増設された。
Shipping Mark(荷印)が貼り付けられたままの窓(現在は剥がされている)。
車内の様子(営業運転開始前)。低屋根改造部は天井に段差が生じている。
低屋根改造部の段差。新たに生じた段差部には化粧板が追加されている(写真は改造中)。
座席番号表記も残り、全席指定の「Kyaikto Special Express Train」ではそのまま活用されていた。
枕や座面に青色のリネンが追加されたキハ181-48(RBE P5032)。

Carriage and Wagon Workshop (Myitnge)にて
エアコンヤター運用に就くキハ181系の車内。座席は向かい合わせの状態でセットされている(客が回転させることは出来る)。
ビニールレザーのカバーが掛けられている。
デッキ仕切り部。追加されたミャンマー語表記とともに日本語表記も多く残っている。車両番号プレートも存置。
キハ181-27(RBE P5029)の車内には、2011年2月26日・27日に運転された「ありがとうキハ181系」号(日本旅行主催)の乗客の寄せ書きがそのまま掲示されている。
デッキ。ドアはエアーが抜かれ、手動開閉(走行中もドア開放)となっている。
洗面台・トイレはしっかりと整備されており、使用可能。トイレはミャンマー国鉄初の循環式水洗トイレで、営業開始前に地上側設備も整備された。
乗務員室仕切り部。
機械室。奥が乗務員室。
乗務員室。
運転台。一部は英語表記が手書きで追加されている。
乗務員室内の車両番号表記。
行先指令器。
ヤンゴン環状線で「エアコンヤター」運用に就く、キハ181-47の乗務員室より撮影。ヤンゴン環状線は全区間複線で、信号も整備されているが、信号機の一部は故障していたり手動で切り替えたりしている。各駅停車のため、最高速度は40km/h程度と性能を持て余している。

※Danyingon→Yangon間はこちらをご覧頂くことで、ヤンゴン環状線一周分の前面展望をお楽しみ頂けます。

※ミャンマー鉄道運輸省の許可及び乗務員の方々の多大なるご厚意の下撮影

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長い警笛を鳴らして、エンジン音高らかにYangon駅を発車するキハ181「エアコンヤター」。

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日本企業が建設したヤンゴンのランドマーク、「サクラタワー」をバックに走るキハ181「エアコンヤター」。

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緑に囲まれた掘割区間を行く、ヤンゴン環状線反時計回りのキハ181「エアコンヤター」。

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夜のYangon駅に入線する「エアコンヤター」運用のキハ181。丁度入線中に停電してしまい(ヤンゴンでは停電が頻発している)、一瞬でホームが闇に包まれた。

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警笛を幾度と鳴らして、Insein駅を発車する「エアコンヤター」運用の元 JR西日本キハ181。先頭車はラッピングが施されていない、予備車扱いのキハ181-47。

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Yangon駅7番線に入線する、キハ181「エアコンヤター」。先頭はキハ181-49。

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■日本時代の記録
キハ181-27(現:RBE P5029)を先頭に4両編成で走る、大阪行きの「はまかぜ」。

2010/6/6 大岩〜岩美にて
キハ181-49(現:RBE P5033)を先頭に6両編成で走る、大阪行きの「はまかぜ」。

2010/10/11 香住にて
キハ181-45(現:RBE P5030)先頭の6両編成。

2010/10/11 大阪にて
キハ180-41(現:RBE5036)車内。低屋根化されていない分、車内が広く感じる。
キハ181-27車内。

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