キハ181系「Kyaikto Special Express Train」

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チャイティーヨーパゴダ(ゴールデンロック)の観光客輸送を目的として、2013年9月7日よりヤンゴン(Yangon)とチャイトー(Kyaikto)を結ぶ特急列車「Kyaikto Special Express Train」が運行開始した。使用車両は元 JR西日本キハ181系で、ミャンマー国鉄で初めて同形式を用いた営業列車となった(次いで2013年10月4日よりヤンゴン環状線でも営業運転を開始)。全席指定で、Upper Class料金が適用される(Yangon〜Kyaikto間の運賃は3,500チャット)。

「Kyaikto Special Express Train」は土日のみの運行で、土曜日にYangon発Kyaikto行き(Yangon6:25発、Kyaikto11:00着)、日曜日にKyaikto発Yangon行き(Kyaikto12:00発、Yangon16:35着)が運行された(Kyaikto駅到着後、翌日の折り返しまでは同駅構内で停泊)。途中停車駅はBago、Waw、Thein Za Yat。Yangon〜Bago間はYangon-Mandalay線、Bago〜Kyaikto間はBago-Dawei線を走行する。

しかし、乗客数が芳しくなかった(ヤンゴンからチャイティーヨーパゴダへのアクセスはバスが主流であり、Kyaikto駅からの交通も不便である)ことから、2014年12月28日の営業を以て廃止された。余剰となったキハ181系はヤンゴン環状線に転用された。偶然にも営業最終列車に乗車することが出来たので、その様子を紹介する。

Kyaikto駅の駅舎外観。
Kyaikto駅の切符売り場。切符を購入した際に、今から発車する列車が「Kyaikto Special Express Train」の最終列車であり、同列車の運賃収入が厳しい状況のため廃止すると告げられた。
Kyaikto駅のホーム。1面3線で、ホームは掘割にあるため駅舎から階段を下りてアクセスする。
ホーム先のBago側に停泊している、キハ181系「Kyaikto Special Express Train」。
Kyaikto駅の駅名標とキハ181系。
「Kyaikto Special Express Train」に用いられるキハ181系(写真の先頭車はRBE P5030(キハ181-45))。Yangon側から順にRBE P5029(キハ181-27)+RBE 5037(キハ180-42)+RBE 5036(キハ180-41)+RBE 5034(キハ180-22)+RBE P5030(キハ181-45)で組成され、「Myanmar Beer」の全面ラッピング広告編成となっている。
車内の様子。冷房搭載箇所が低屋根化されている。日差しが強いことと冷房効果を高めるためか、窓にはスモークフィルムを貼付。
座席は背もたれに白いリネン、座面に青いリネンが整備されている。
Kyaikto駅を先発する客車列車との並び。
客車列車が発車した後、エンジンを始動。力強いエンジン音が周囲に響き渡った。
ヘッドライトを点灯し、入換開始。
Kyaikto駅の腕木式信号機とキハ181系。
本線上に一旦停車。ポイントを切り替えた後、バックする。
転線し、Kyaikto駅に入線する。
ホームに据え付けられた「Kyaikto Special Express Train」。
Kyaikto駅で発車の時を待つ。11:20頃に入線し、約40分間停車する。
「Kyaikto Special Express Train」停車中のKyaikto駅のホーム。のんびりとした時間が流れる。営業最終列車だが、特段セレモニーもなく、撮影している人も他に見当たらなかった。ただ、Kyaikto駅の駅長はホームで発車を静かに見送っていた。
車内の様子。蛍光灯が点灯し、冷房も心地よく効いている。
駅ホームで購入した弁当(鶏肉を用いたミャンマーカレー)。ミャンマーも弁当の文化が根付いている。
乗務員の方々の多大なるご厚意の下、乗務員室へ。ここから終点のYangonまでの約4時間半、最終列車の前面展望を眺める。
運転台。一部は英語表記が手書きで追加されている。
Kyaikto駅を発車し、Bago-Dawei線を北上。沿線に建つパゴダ(仏塔)がミャンマーらしい光景だ。
長さ約670mのSittaung River Bridge(シッタン川橋)を渡る。シッタン川が州境で、列車はモン州からバゴー管区へと入る。
Waw駅に入線。通行許可証の授受を行う。ラケット状の安全枠に結ばれているのが通行許可証。
Kyaikto発車から約2時間半、車窓から古都Bago(バゴー)のパゴダが見えてきた。
Yangon-Mandalay線との合流地点。
Bago駅に入線。5分ほど停車する。
Bagoから先はYangon-Mandalay線を行く。最高速度は約60km/h。ミャンマー国鉄の最も主要な幹線で、全区間が複線である。しかし運行本数が少ないため、ほとんどすれ違う列車はない。
Yangon-Mandalay線でも自動閉塞式の区間は僅かである。非自動区間では1駅間を1閉塞とし、通過駅では通行許可証の通過授受を行う。
写真左の貨車の横に立つ、緑色の旗を持った職員が通行許可証を結び付けたラケット状の安全枠を通過列車の乗務員に渡す。乗務員は通行許可証をほどき、安全枠を駅舎付近に投げ捨てて返却する。
Yangon-Mandalay線上で離合する客車列車。乗務員は手を挙げて合図する。
ヤンゴン環状線と合流し、Ma Hla Gon(マラゴン)駅付近を行く。終点のYangonまでラストスパート。
終点のYangon駅に入線。
Yangon駅に到着。約4時間半の長旅、そして約1年4ヶ月間の「Kyaikto Special Express Train」としての運行を終えた。
チャイティーヨーパゴダ(ゴールデンロック)。ミャンマー屈指の仏教徒巡礼地で、チャイティーヨーの山頂に今にも落ちそうな位置で大岩が鎮座している。その上には高さ約7mのパゴダが載っており、その中に納められている仏陀の頭髪が岩のバランスを取っていると伝えられている。
岩は巡礼者の寄付によって貼り付けられた金箔で覆われており、観光客も金箔を貼ることが出来る(女人禁制)。
チャイティーヨーパゴダへは、麓のキンプンからの政府運営のトラックが唯一の交通手段である、トラックは荷台に座席が設置され、400台余りが運行されている(大半は日本からの中古車)。所要時間は約50分で、運賃は荷台2,500チャット、キャブ3,000チャット。
曲がりくねった山道を駆け上ってゆく。運転速度はかなり速く、急加速あり、道路の凹凸ありと、乗り心地はまるでジェットコースターのよう。荷台はシートベルトなし。巡礼繁忙期はトラック乗り場(プラットホーム)に客が我先にと群がり、乗車するだけでも一苦労。
2013/9/7〜2014/12/28にチャイティーヨーパゴダ(ゴールデンロック)の観光客輸送を目的として、Yangon〜Kyaikto間で週末のみ運行されていた「Kyaikto Special Express Train」。その運行最終列車(2014/12/28運行)の前面展望。
単線のBago-Dawei線を走行する。通過駅では通行許可証の通過授受を行う。途中、長さ約670mのSittaung River Bridge(シッタン川橋)を渡る。
現在、車両はヤンゴン環状線に転用されている。

※ミャンマー鉄道運輸省の許可及び乗務員の方々の多大なるご厚意の下撮影

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複線のYangon-Mandalay線を60km/h前後で走行する。複線ながらもすれ違う列車は非常に少ない。通過駅では通行許可証の通過授受を行う。途中、エアコンの故障により本線上で数分間停車した。

※ミャンマー鉄道運輸省の許可及び乗務員の方々の多大なるご厚意の下撮影

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1・3・5両目のエンジンを始動させ、力強いエンジン音がこだまする。準備完了後、前照灯を点灯し、構内入換を開始する。

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職員の手旗信号にて入換を行い、Kyaikto駅のホームへとゆっくりと向かう「Kyaikto Special Express Train」。営業運転最終日(2014/12/28)に撮影。

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「Kyaikto Special Express Train」乗車券
普通紙である。購入者の名前、列車クラス、乗車日、乗車区間、料金、指定席の号車・座席番号等を駅員が手書きで記入する。

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