LRT Jakarta (LRTJ) 車両紹介

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LRT Jakarta (LRTJ)1100系は韓国の現代ROTEM製で、2018年に2M0T(McA-McB)の2両編成(2連接車)8本(16両)が製造された。なお、受注から納入までの期限が短い案件だったため、現代ROTEMは同じく韓国の宇進産電と協力・分担して車両の設計・製造を行った。現代ROTEMは全体的な事業管理、車両の設計、制御装置や台車・電動機等の足回り(走行装置)の供給を担当し、宇進産電は実際の車両の製造を担当した。現代ROTEMと宇進産電が海外向け車両案件で協力したのは初である。

車体はアルミ合金製。車両寸法は長さ13,800mm×幅2,650mm×高さ3,285mm。設計最高速度は80km/h。加速度は3.96km/h。車両形式はVelodrome寄りから1100A形(McA)-1100B形(McB)の順で、下2桁が編成番号を示す(第1編成ならば1101A-1101Bとなる)。IGBT-VVVF制御で、制御装置は現代ROTEM製。

前年に製造された、韓国の金浦ゴールドライン(金浦都市鉄道)の車両をベースに設計・製造されており、両者は乗務員室の有無(LRT Jakartaは有人運転、金浦ゴールドラインは無人運転)・冷房装置(LRT Jakartaは容量強化)・側窓の仕様(金浦ゴールドラインは固定窓、LRT Jakartaは上部内折れ窓)・車体の塗装・内装の細かな仕様等が異なる。なお、連接式の電車はインドネシアでは当車両が初である。保安装置はATSのみだが、将来的に金浦ゴールドラインと同様にCBTC方式での運転を視野に入れており、車両側もその準備工事が行われている。

第1編成は2018年3月21日に現代ROTEM昌原工場で出庫式が行われた。同年4月13日にジャカルタ・Tanjung Priok港に到着し、同15日未明にBoulevard Utara駅付近の高架上(本線上)に搬入された。残りの編成も同年7月までに順次搬入された。

※一部写真は職員立会いの下、特別許可を得て撮影。

←Velodrome Pegangsaan Dua→
編成 McA McB
第1編成
(TS1)
1101A
K1 1 18 97
1101B
K1 1 18 98
第2編成
(TS2)
1102A
K1 1 18 99
1102B
K1 1 18 100
第3編成
(TS3)
1103A
K1 1 18 101
1103B
K1 1 18 102
第4編成
(TS4)
1104A
K1 1 18 103
1104B
K1 1 18 104
第5編成
(TS5)
1105A
K1 1 18 105
1105B
K1 1 18 106
第6編成
(TS6)
1106A
K1 1 18 107
1106B
K1 1 18 108
第7編成
(TS7)
1107A
K1 1 18 109
1107B
K1 1 18 110
第8編成
(TS8)
1108A
K1 1 18 111
1108B
K1 1 18 112

1期区間開業に向けて、2018年に8編成が導入された。全車両が韓国で製造され、設計や足回りの主要機器の製造を現代ROTEM、実際の車両の製造を宇進産電が行った。2連接車で、設計上最大4編成まで併結して運転できる。
韓国の金浦ゴールドライン(金浦都市鉄道)の車両をベースに設計・製造されており、外観は類似しているが、LRT Jakarta向けは乗務員室があり、またジャカルタの気候を考慮して冷房容量が強化されている(冷房装置の形状も異なる)。側窓も、全区間が地上区間のため、緊急時の換気等を考慮して上部内折れ窓となっている。

Equestrianにて
前頭部のFRPは金浦ゴールドライン(金浦都市鉄道)の車両と共通設計。前頭部以外の車体はアルミ合金製で、ダブルスキン構造となっている。全面塗装が施されている。前面窓の上部には編成番号が掲示されている。

Boulevard Utaraにて
車両を俯瞰。屋根上には冷房装置、抵抗器(Fullohm製)、アンテナ等が搭載されている。金浦ゴールドラインの車両は、MRT Jakartaの車両にもあるCBTCのアンテナ(日本信号製)が先頭部の屋根上に2つ設置されているが、LRT Jakartaの車両にはない。

Boulevard Utara付近にて
特製ラッピングが施された編成も数編成存在する。乗務員扉は運転台に向かって右側のみに設置されている。
前照灯・尾灯共にLEDである。前頭部のFRPは金浦ゴールドラインの車両と同一設計で、中央の突起部には金浦ゴールドラインの車両の場合は前方監視用のCCTVが設置されている。しかし、LRT Jakartaの車両の場合、前方監視用CCTVは前面窓の上部に設置されている(後述)ため、この突起部には何も設置されていない。
前面行先表示器は3色LEDで、列車番号と行先を交互表示する。
「Pegangsaan Dua」は駅名が長すぎて行先が一度に表示できず、「Pegangsaan」と「Dua」に分けて表示する。
(Pegangsaan Dua行きの場合は、列車番号→「Pegangsaan」→「Dua」の切替表示)
行先表示器の直下に設置されている、前方監視用CCTV。
乗務員扉の脇に設置されている、側方監視用のCCTV。なお、乗務員扉がない側(運転台向かって左側)には設置されていない。また、金浦ゴールドラインの車両には設置されていない(金浦ゴールドラインは全駅にフルハイトタイプのホームドア(PSD)が設置されているため、ホーム側に設置されたCCTVで監視している)。
車両番号表記。LRT Jakartaとしての形式番号(1101B)と、運輸省番号(K1 1 18 98)が併記されている。KCIの日本からの譲渡車両は、日本時代の車両番号と運輸省番号が併記されているが、新車で2つの番号が使われていることは珍しい。

LRT Jakartaとしての形式番号は1100番台で、数字4桁のうち下2桁は編成番号。末尾の記号はMcA車に「A」、McB車に「B」と振られている(第1編成であれば、「1101A」-「1101B」と付番。全編成の車両番号は当ページ上部の表を参照)。

運輸省番号(インドネシアの鉄道法規56号に従って付番された番号)は2018年度製車両の通し番号である(K11 18 01〜96:MRT Jakarta、97〜112:LRT Jakarta、113〜116:LRT Palembang、137〜142:スカルノハッタ国際空港SkyTrain増備車)。

K1  18 98
*1  *2  *3  *4

*1:車両の等級を示す。K1=Eksekutif(エグゼクティブ)、K2=Bisinis(ビジネス)、K3=Ekonomi(エコノミー)
*2:車両の種類を示す。0=客車、1=電車、2=電気式気動車、3=液体式気動車
*3:車両の導入年(西暦)を示す。18であれば2018年導入。
*4:車両固有番号。
台車。ボルスタ付きのものである。釜山-金海軽電鉄1000系で開発された台車をベースとし、その後、韓国内のほぼ同規格(2連接の小型車両)を採用した軽電鉄の車両(ソウル軽電鉄牛耳新設線金浦ゴールドライン)でも同様の台車が使用されている。
連接部の様子。貫通路上に引通し線がある。全駅にホームドアがあるため、転落防止幌は設置されていない。
連接台車。付随台車である(非連接部の台車は動力台車)。
台車の銘板。現代ROTEM製。
集電靴。下面接触式である。集電装置はLRT Palembangと同様にSTEMMANN-TECHNIK(ドイツ)製。
VVVFインバータ制御装置(「HBCM」表記がある箱)の外観。
VVVFインバータ制御装置の銘板。現代ROTEM製。
但し、三菱電機の技術を基に作られており、一部部品も同社製を使用しているとのことである。
車内の様子。車内も金浦ゴールドラインの車両をベースとしているが、配色等に違いがあるほか、ドア付近には金浦ゴールドラインの車両にはないスタンションポールが設けられている。
オールロングシートで、座席はステンレス製。なお、金浦ゴールドラインの車両の座席はモケット張りである。
また、ドア間の座席は金浦ゴールドラインが8人掛けであるのに対してLRT Jakartaは7人掛けとし、ドア付近のスペースを広くしている。
ドア間の両端の座席1人分は優先席。
客用扉。開口幅1,500mmでプラグドアを採用。鴨居部にはLCD式案内表示器が設置されている。
ドア開閉時にはドアチャイムと共に、KORAILの一部通勤形車両等でも使用されているものと同一のブザーが鳴る。
ドア上のLCD。行先・次駅・路線図・列車走行位置等をインドネシア語・英語で表示する。画面のデザインはLRT Jakartaの社員が考案したもので、デザインした本人によると東京メトロ銀座線1000系のLCDの画面デザインを参考にしたとのことである。
ドアが開く側の案内表示。
反対側のドアが開くことを案内する表示。
Transjakartaとの乗換駅では、乗換案内が表示される。
車内マナーに関する表示。
ドアの両脇の柱には縦長のLEDが設置されており、扉が開いているときに点灯する。金浦ゴールドラインの車両には設置されていない。
ドアの開閉注意ステッカー。イタリアの都市鉄道等で見かけるドアステッカーのデザインと少し似ている。
貫通路。車端部には車椅子やベビーカー、キャリーバッグ等を置くためのスペースがある。
McA車の車椅子スペースには非常用梯子(写真内の黒いカバーがされているもの)が常備されている。
現代ROTEMの製造銘板。全車両が2018年製。
なお、現代ROTEMは車両設計や足回りの主要機器の製造を行い、実際の車両の製造・組み立てを行ったのは宇進産電だが、宇進産電の製造銘板はない。
車内の車両番号表記。
第3編成のみで試行されている車両番号表記。こちらのデザインはLRT Jakartaの社員が考案したものである。
車端部のLCDでは、主にLRT Jakartaの広告等を放映している。
乗務員室仕切り。扉には窓があり、前面展望が可能。但し、前面窓の日除けのカーテンが下りていると展望は難しい。
乗務員室内の様子。
運転台。右手操作式ワンハンドルマスコンである。グラスコックピットで、モニターは3台(+左側に無線や業務用電話用の小型モニタ2台)設置されている。メインディスプレイは中央の2画面。一番右の画面は、主にCCTVからの映像を表示。
マスコンは力行4段(P1〜P4)、常用制動7段(B1〜B7)と非常制動1段。手前に引くと力行、奥に押すと制動(日本式)である。マスコンの形状は近年の韓国製の電車でよく見られるもの。
メインディスプレイ。左側はTIS装置、右側は速度計や制限速度等を表示する。
右側の画面では前方の信号現示も表示される。
TIS画面。写真は第2編成だが、画面上の車両番号は「L102」-「L202」と表示されている。
TISの起動画面。シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社(旧:株式会社デジタル)製で、同社の「Pro-face」ブランドのタッチパネル表示器は韓国の鉄道車両でも高いシェアを占めている。

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