シンガポール SMRTC151型更新車

1986年〜1989年にシンガポールMRTの第1期車両として導入されたC151型(→車両の紹介はこちら)であるが、経年が20年近くになったため、2006年〜2009年に全66編成(396両)に対して、大規模なリニューアル工事が施工された。施工会社は韓国の現代ROTEM及び三井物産で、受注額は1億4,270万シンガポールドル。

まず外観は、ヘアライン仕上げ・無塗装であったものを、経年劣化による汚れが目立っていたため、C751Bにあわせた塗装(窓周り:黒・腰部:赤、裾部:グレー)に変更した。前面のライトユニットも、テールライトが丸型のものに交換された。

内装は完全に一新され、案内表示装置「STARIS」(SMRT Active Route Map Information System)の追加(蛍光表示管式およびマップ式)、座席幅の変更(1人当たり43cm→48cm)、着席定員の変更(9人掛け→7人掛け)、つり革配置の変更・増設(中央1列→2列)、車椅子スペースの増設、化粧板(FRP)の張替え、手すりの形状・配置の変更、空調設備の更新・ラインデリアの追加等の改造が施された。

なお、床下機器は変更されておらず、特徴的な4象限チョッパ制御(高周波分巻チョッパ制御)は存置されている。

C151型更新車の外観。無塗装であった外観は、C751Bにあわせた全面塗装に改められた。

Ang Mo Kio〜Yio Chu Kangにて
前面はライトユニットの形状が変更され、塗装も変更されたため、従来とは印象が異なる。なお、スカートは設置されていない。

Ang Mo Kioにて
快走するC151型更新車。

Yio Chu Kang〜Ang Mo Kioにて
離合するC151型更新車。全車両に対して、2009年までにリニューアルが施された。

Pioneerにて
車内の様子。内装の大半の部品は新品に交換された。1号車・6号車の座席の色は赤。なお、化粧板(FRP)の色は、全車両白で統一されている(更新前は車両ごとに異なっていた)。スタンションポールの数が従来より削減され、3つ股の手すりに変更されたため、以前より広々とした印象である。
2号車・5号車の座席の色は青。
3号車・4号車の座席の色は緑。
各ドアの鴨居部に設置された、マップ式案内装置。次停車駅を赤の点滅(接近時及び停車時は点灯)、この先の停車駅を緑の点灯で示す。また、ドアの開く側を示す表示も右側に設置されている。
ドアが閉まる際には、鴨居の中央下部にあるドアランプが点滅する。
蛍光表示管(VFD)を用いた車内案内表示機。各車両に両面2箇所、計4台設置されている。次駅・行先・ドアの開く方向・啓発文等が表示される。
先頭車乗務員室後部。非常口のマークが電照式になった。妻面にあった製造メーカーの車内銘板は、一部の車両では撤去されている。
現代ROTEMの改造銘板(一部の車両に設置)。
座席の様子。1人あたりの幅が43cm→46cmに変更され、9人掛け→7人掛けに変更された。両端2席は優先席となっている。
更新車のうち10編成は、定員を増加させるため、各車両中央部の14席分の座席を撤去した。写真は1・6号車。
2・5号車の座席撤去部。着席定員が他の編成より、1両あたり14席×6両=84席分削減されている。
座席撤去部分には手すりが設置されている。
3・4号車の座席撤去部。
優先席の表示。座席定員自体が減ったものの、優先席の席数は削減されていないため、結果として優先席数のほうが一般席より多くなっている。
Redhill駅に入線する列車。
Pioneer駅に到着〜発車するC151型電車。
Ang Mo Kio駅を発車して、地平区間を走行するJurong East行きの電車。
Yishun駅に入線・発車する列車。同駅には2009年に可動式ホーム柵(APG)が設置された。
C151型のリニューアル車に設置された、蛍光表示管(VFD)を用いた車内案内表示機。日本以外でのアジアの都市鉄道の車両で初の採用例。

C151型走行音(Joo Koon→Pioneer)4象限チョッパ制御(高周波分巻チョッパ制御)で、制御装置は三菱電機製。
Tc-M1-M2+M2-M1-Tc(4M2T)の6両編成。
4象限チョッパ制御は、日本以外でのアジアの都市鉄道の車両では唯一の採用例(東京メトロの海外譲渡車両を除く)。車両リニューアル後も制御装置は変更されていない。
C151型走行音(Pioneer→Joo Koon)
C151型走行音(Raffles Place→City Hall)
C151型走行音(City Hall→Raffles Place)

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