瀛州洞オルムギルモノレール

「瀛州洞オルムギルモノレール」(영주동 오름길 모노레일/読み:ヨンジュドン オルムギル モノレイル)は、釜山広域市中区瀛州洞に設置されたモノレールである。運賃は無料。2014年6月20日に営業運転を開始した。

2014年嘉穂製作所製のスロープカー(レールは韓国モノレール社製)で、レール長:70m、運行速度:60m/分(=3.6km/h)、傾斜は18度(=324.9‰)(※1)。三相交流400V電化。レール規格はD350(D=Depth。数字はレール上面から底面までの深さ(高さ)を示す)。ステーションは3か所。運賃は無料。運行時間は7:00~20:00。
車両は8人乗りである。冷房装置付きで、姿勢制御装置は無し。VVVFインバータ制御。エレベーターと同様に、乗客が操作する(オペレーターは乗務しない)。

※1:韓国モノレール社の公式サイトの情報による。


瀛州洞オルムギルモノレールの外観。釜山で初めて設置された斜面走行モノレール(スロープカー)である。山が迫り、急斜面が多い釜山の旧市街の移動に役立っている。オルムギル(오름길)は韓国語で「上り道」という意味。
車両は2014年嘉穂製作所製で、専用軌道かつレール上に1両しか存在していないにもかかわらず、障害物接触バンパーと障害物検知センサーが車両前後に設置されている。また、潤滑油の給油口が前面に設置されているのは珍しい(給油口は車両側面への設置が標準である)。なお、潤滑油は走行中、レール上に自動的に滴下していく仕組みである(嘉穂製作所製のスロープカー共通仕様)。


下部ステーション(1階)は、釜山デジタル高校( 부산디지털고교)バス停に隣接している。


下部ステーション(1階)の外観。屋根付き。


すべての乗り場に地上側自動ドア(いわゆるホームドア)が設置されている。壁面に「瀛州洞オルムギルモノレール」(영주동 오름길 모노레일)のロゴが設置されている。


地上側自動ドアの「KMG/韓国モノレール」のロゴ。


下部ステーションから見たスロープカーの車両。釜山デジタル高校の敷地と階段の間に挟まれた軌道を行く。


スロープカー側面の釜山広域市中区のロゴ。当モノレールは同区によって設置された。


車内の様子。座席は4人分設置されている。上部ステーションと中間・下部ステーションで乗り場の向きが逆のため、両側にドアが設置されている。


座席は2人掛けのものが車内両端に設置され、座席は折りたたむことが出来る構造である。沿線の家のプライバシー保護のためか、階段側の窓はスモークフィルムが貼られている。


操作盤。エレベーターと同様に、乗客が操作する(オペレーターは乗務しない)。ステーションは3か所あり、1~3階で割り振られている。


車内の諸元表記名板(ステッカー)(写真中央部)。韓国モノレール社(KMG)の社名表記で、製造年度:2014年、最大定員:8人乗、最大荷重:520kgと表記されている。車両の実際の製造会社は嘉穂製作所だが、同社の名前はどこにも記載されていない(他の韓国向けスロープカーも、基本的に銘板は韓国モノレール社の社名のみ記載されている。これは韓国内ではスロープカーの商流が韓国モノレール社経由となっている(嘉穂製作所は韓国モノレール社を代理店としてスロープカーを販売している)ためと思われる)。また、日本国内向けのスロープカーの嘉穂製作所の車両銘板には記載されている型式、製造番号の情報が韓国向けのものは記載されていない。


下部ステーション(1階)~中間ステーション(2階)の間を走行するスロープカー。運行速度は60m/分(=3.6km/h)で、健常者が歩くのとほぼ同等の速度である。


中間ステーション(2階)の様子。小型ながら屋根付き。


中間ステーション(2階)~上部ステーション(3階)の間を走行するスロープカー。車窓からは山沿いに林立するビル・マンション群が一望できる。


モノレールの上部ステーションの近くには「朴琪淙記念館」があり、モノレールや道路は当記念館へのアクセスにも使用される。坂道には機関車のオブジェや写真が展示されている。
朴琪淙(パク・ギジョン、1839~1907年)は釜山出身の実業家で、韓国における民営鉄道敷設運動の先駆者として知られる。1898年に韓国初の民営鉄道事業者として「釜下鐵道會社」を創設し、釜山~下端浦(하단포)間に釜下鉄道の敷設を目指していた(資金不足により実現せず)。その後も1899年に大韓鐵道會社を設立し京元線や咸鏡線の敷設権を獲得し、1902年には嶺南支線鐵道會社を創立して三浪津~馬山を結ぶ三馬鉄道の敷設権を獲得したが、いずれも資金面や技術面、日本の関与等により実現はしなかった。


上部ステーション(3階)付近と山頂側のレール終端部。


上部ステーションに入線するスロープカー。


上部ステーションの様子。屋根付きで、モノレールの管理事務所も併設されている。
モノレールは無人運転だが、運行時間帯は沿線(階段)から職員が運行状況を警備している。


上部ステーションに停車中の車両。


上部ステーションの前には「朴琪淙記念館」の案内板がある。


釜山広域市中区瀛州洞の釜山デジタル高等学校付近で運行している「瀛州洞オルムギルモノレール」の走行映像及び双方向の前面展望映像。
2014年嘉穂製作所製のスロープカーで、レール長:70m、運行速度:60m/分、傾斜:18度。三相交流400V電化。運賃は無料。



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