ジブリパーク どんどこ森

「ジブリパーク」は愛知県長久手市の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)内にある、スタジオジブリの映画の世界観を再現したテーマパークである。整備主体は愛知県で、株式会社ジブリパークが運営する。2022年11月1日にオープンした。

この「ジブリパーク」内の「どんどこ森」エリアでは、麓と山頂(どんどこ堂)を結ぶスロープカーが運行されている。愛称は「どんどこ号」。このスロープカーは名古屋市電2000型をオマージュしたデザインが特徴で、車体の形状をはじめ、灯具や行先表示器、バックミラーに至るまで細部まで忠実に再現されている。スロープカーは8人乗り(1両)で、2021年嘉穂製作所製。VVVFインバータ制御、エアコン付き。レール長:約80m、運行速度:60m/分、傾斜:15度。三相交流220V/60Hz電化。レール規格はD350(D=Depth)。運賃はジブリパークの入場料に含まれている。 2022年11月1日のジブリパーク第一期オープンと共に運行開始した。

バリアフリー設備として整備されたため、車椅子やベビーカー利用者、高齢者、身体障がい者が優先して乗車できる。



名古屋市電2000型の特徴を忠実に再現した、「どんどこ森」のスロープカー、「どんどこ号」。形状だけでなく、各種表記類にもこだわりを感じる。
報道によると、デザインの発案は宮崎吾郎監督によるもので、地元の人に懐かしんでもらえるようなデザインにしたとのことである(昭和30年代の「となりのトトロ」の世界観ともマッチしている)。
屋根上のエアコンは外から見えにくいよう工夫されている。


正面から見た「どんどこ号」。
鉄道車両風のスロープカーは、ウェスパ椿山(青森県西津軽郡深浦町)の「リゾートしらかみ」風の「しらかみ号」(初代・2代目)や、対星館(神奈川県足柄下郡箱根町)の江ノ電風の車両に次ぐものである(ウェスパ椿山は2020年に、対星館は2013年に閉館)。


麓側から見た車両。


どんどこ森の中を行く「どんどこ号」。


トトロの形をした木製遊具の「どんどこ堂」と、スロープカー「どんどこ号」。
なお、「どんどこ森」という名称は、映画「となりのトトロ」の劇中でサツキとメイがトトロと一緒に踊る「どんどこ踊り」に由来しているという。


冬の日没後に走る「どんどこ号」は、より路面電車らしさが引き立つ。灯具類や行先表示器、室内等の柔らかい光が印象的に写る。


実車と同様、前進時は前照灯、後進時は尾灯が点灯する。前照灯のみならず、尾灯の位置も名古屋市電2000型を忠実に再現している。


スロープカー「どんどこ号」の前面腰部。ここだけ切り取ると、本物の路面電車のようだ。
「乗降者優先」や系統番号「15」、車両番号のフォントは実車(名古屋市電2000型)を忠実に再現している。設計・製作にあたって、「レトロでんしゃ館」に展示されている名古屋市電2000型2017号車を相当調査されたのではないかと思われる。
前照灯の下部は、名古屋市電2000型では「ワンマンカー」の表示であったが、このスロープカーは乗務員は乗務しない(エレベーターと同様、乗客が操作する)ため「全自動」の表示となっており、ユーモアがある。


系統番号は「15」。スロープカー乗り場のスタッフの方によると、「15」にした理由は諸説あり、「レトロでんしゃ館」に展示されている名古屋市電2000型2017号車の展示の姿が「15」系統でありそれを模したという説と、「15」が「行こう」の語呂合わせで、「行こう、どんどこ森」の意味を掛けているという説があるという(管理人的には後者の説を推したい)。
車両番号「2022」は、ジブリパーク(第一期)がオープンした年に合わせたものと思われる。なお、名古屋市電2000型にも2022号車は存在した。


前照灯周り。前照灯は今どきのLEDライトではなく、名古屋市電2000型に合わせてハロゲンライトを使用している。
進行方向右側下部に縦に2つ並んだライトは、ドアが開いている時は上のランプが、ドアが閉まっている時は下のランプが点灯する(名古屋市電2000型も同じパターンで点灯していたのかは調べてみたが不明)。


行先表示器は、麓側は「のぼり」、山頂側は「くだり」の固定表示で、本物の方向幕のように裏面に照明が組み込まれている(夜間だと特に目立つ)。


山頂側の「くだり」表示。


車両側面。名古屋市電2000型と同様、側窓の部分には保護棒が設置されている(但し、名古屋市電2000型では保護棒は窓の外側だが、スロープカーは外吊りドアで外側に保護棒を設置すると干渉するため、窓の内側に設置)。
側面の表記類も名古屋市電2000型を彷彿とさせるものである。ドアは両開き(名古屋市電2000型は片開き)。


側面の車番表記。外吊りドアの沓摺部は木目調デザイン(実車の名古屋市電2000型の内外装に木材は使われていないが、スロープカーはレトロなイメージを出すためにあえて木目調にした?)。


進行方向左側には、名古屋市電2000型に合わせてサイドミラーが設置されている。サイドミラーが設置されたスロープカーは極めて珍しい。


車内の様子(両端から撮影)。車内空間確保等のため、座席の代わりにヒップバーが両端に設置されている。
床は木目調で、内装やヒップバーの座面の色使いは名古屋市電2000型よりも、むしろ1400型に近い(同じく「レトロでんしゃ館」に保存されている1400型1421号車を参考にしたのではないかと思われる)。


車内にある嘉穂製作所の製造所銘板。型式:KMR-8、定員:8名、製造番号:R02V7、製造年月:2021年8月。


操作盤。液晶表示器・インターホン付き。


操作盤とボタン。泉陽興業と嘉穂製作所の連名となっている。
(ジブリパークは鹿島建設が愛知県と工事契約を締結しており、泉陽興業と嘉穂製作所がそれぞれ何次下請けにあたるかは不明だが、両者の関係でいうと泉陽興業が元請け、嘉穂製作所が下請けと思われる)


操作盤の液晶画面。停車中はステーション名(下部乗場・上部乗場)が表示される。


走行中は進行方向を表示。


到着直前にはドアが開く側の案内が表示される。


ドアステッカー。


天井にはつり革が設置されている。握り部は丸型。


天井のエアコン。オーストラリアのHoughton Leisure Products(ホートン)製で、同社のエアコンはキャンピングカー等でも使用されている。
エアコン型式はHB3500。


どんどこ森のスロープカー乗り場の案内看板。


スロープカー乗り場と「どんどこ号」。テントの先からは「ジブリパーク」のチケットがないと入場できない(入口でチケットの確認がある)が、チケットがなくてもテントの手前から「どんどこ号」を見ることだけはできる(チケットがないと乗車は不可)。


下部ステーションに停車中のスロープカー。上下ステーションとも地上側自動ドア(いわゆるホームドア)が設置されている。可動式ホーム柵(APG)タイプである。


地上側自動ドアの脇に設置されている乗車ボタン(スロープカー呼出ボタン)。押すとボタンが赤く光る。


地上側自動ドアの戸袋部に設置されている、スロープカーの使用方法と注意事項。


スロープカー乗り場のバス停風看板。
(裏面は「となりのトトロ」の劇中に出てきた「稲荷前」となっている)


スロープカーの前面展望(写真は下部ステーション停車中)。全長は約80mで、途中にカーブがあるため、全区間は見渡せない。


カーブを右に曲がると、上部ステーションが見えてくる。


どんどこ堂がある山頂(上部ステーション)に到着。


山頂にある、トトロの形をした木製遊具「どんどこ堂」。高さは約5mで、小学生以下の子供に限り中に入れる。


どんどこ堂は両側にトトロの顔が付いている。


下りの前面展望。


カーブを左に曲がる。


下部ステーション(麓)に到着。


ジブリパーク(愛知県長久手市)の「どんどこ森」では、麓と山頂(どんどこ堂)を結ぶスロープカー「どんどこ号」が運行されている。このスロープカーは名古屋市電2000型をオマージュしたデザインが特徴で、車体の形状をはじめ、灯具や行先表示器、バックミラーに至るまで細部まで忠実に再現されている。前面には実車の「ワンマンカー」表示に代わり「全自動」の文字が入る。

スロープカーは8人乗りで、2021年嘉穂製作所製。レール長:約80m、運行速度:60m/分、傾斜:15度。三相交流220V電化。運賃はジブリパークの入場料に含まれている。

2022年11月1日のジブリパーク第一期オープンと共に運行開始。

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2022年11月1日にオープンした「ジブリパーク」の「どんどこ森」エリアにて、麓~山頂(どんどこ堂)間約80mを結ぶスロープカー。名古屋市電2000型を模したデザインが特徴で、進行方向に合わせて前照灯や尾灯も点灯する。
2021年嘉穂製作所製。定員は8名。

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