フィリピン国鉄(PNR)元 JR東日本キハ59系「こがね」

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キハ59系「こがね」は、JR東日本が1989年にキハ58形・キハ28形を改造して登場したジョイフルトレインである。当初は「グラシア」としてデビューし、2003年に「こがね」に再改造された。デビュー時から引退時まで終始、小牛田運輸区に所属。車両寸法は長さ21,300mm×幅2,944mm×高さ3,925mm。最高速度は95km/h。車体は普通鋼製。

2010年12月26日に引退し、2011年にフィリピン国鉄に譲渡された。2011年7月19日〜21日にかけて小牛田から藤寄まで東北本線・磐越西線・信越本線・白新線経由で配給輸送され、2011年9月にキハ52形や203系マト67編成とともに新潟東港から輸出された。

フィリピン国鉄でもJR東日本時代の編成のまま活躍している。投石対策としてすべての窓に金網が設置され、金網設置が不可能であるドアの窓は鉄板によって塞がれた。現地でも「KOGANE」と呼ばれており、フィリピン国鉄公式の案内等でも「KOGANE」の愛称が用いられている。

2011年11月25日にTutuban〜Naga間の不定期夜行列車として運用を開始した。その後、2012年3月16日よりTutuban〜Ligao間を結ぶ定期夜行列車「Mayon Limited De Luxe」として運行されるようになったが、同年7月10日に発生した自動車との衝突事故により一時運用を離脱。同年10月1日よりTutuban〜Naga間を結ぶ隔日運転の夜行列車「Isarog Limited Express」として運行を再開したが、同月にLutucan〜Lucena間で大雨による橋梁崩落で路線が休止となった影響で再度運休となった。車体塗装を一部変更して、2014年3月3日からはTutuban〜Mamatid間を結ぶ「Premiere Train」として運用され、平日に2往復が設定された。しかしこの列車も2014年末に廃止され、長らくTayuman基地やCaloocan工場に留置されていた。

2019年10月24日より、約5年ぶりに定期営業運転に復帰した。座席定員制列車として運転され、1日1往復運転している(土曜日の下り、日曜日の上りは運行なし)。当初の運行区間はTutuban〜Calamba間で、2020年12月1日からはTutuban〜IRRI間に運行範囲を拡大した。朝にCalamba→IRRI→Tutubanと運行され、日中はTayuman基地に留置。夕方にTutuban→IRRI→Calambaと運行される。なお、日曜日の下りに限りTutuban駅から客扱いをするが、その他の曜日の下りはDela Rosa駅から客扱いを開始する(Tutuban→Dela Rosaは回送)。土曜日は朝の上り運用の後、日曜日夕方までTayuman基地に留置される。
編成 ←Tutuban Legazpi→
KOGANE キハ59 510 キハ29 506 キハ59 511
※2016年1月現在

Tayuman基地に留置されている、キハ59系「こがね」。写真は塗装変更前の様子で、JR東日本時代の塗装のまま活躍していた。長らく運用を離脱し車体の傷みが目立っていた。
投石対策ですべての窓に金網が設置され、非常に厳つい面持ちになった。金網設置が不可能であるドアの窓は鉄板によって塞がれている。写真の先頭車はキハ59 511。
キハ59 511の反対側側面。
2014年3月からの「Premiere Train」(プレミアトレイン)運用開始に備えて、金色塗装部分を紺色に改めた上で車体修繕が行われた。写真はキハ59 510。

Tayuman基地にて
キハ59 511側。
キハ29 506の側面に追加された「PREMIERE TRAIN」のロゴ。
塗装を変更し、金網をすべて撤去したうえで、2019年10月24日より約5年ぶりに定期運行に復帰した。座席定員制のライナー的な位置づけとして、朝に上り、夕方に下りが運行される。駅ごとに乗車券の発売枚数が決められている。定員は82名。乗車券は普通列車よりも割高な設定となっている。各駅停車で運行され、乗車可能駅は限られているが、降車はすべての駅で可能。

Blumentritt〜Tutubanにて
Blumentritt〜Tutuban間を行く。朝の上り列車では、この区間(North Railとの分岐部以南)のみ車両が順光となる。
早朝のBicutan駅付近を行く。軌道は歪んでおり、車体を大きく揺らしながら走る。

Sucat〜Bicutanにて
砂煙を上げながら走り去る。写真奥がBicutan駅。キハ59 511は助士席側のワイパーが欠損している。

Sucat〜Bicutanにて
EDSA駅付近を行く。この区間は軌道が周辺道路から遮断されており、線路内を行く人はほとんど見られない。
マニラでの数時間のトランジットの合間に撮影したカット。

Nichols〜EDSAにて
夕方、Tayuman基地からTutuban駅に入線する「KOGANE」。
平日はTutubanからは客扱いせず、Dela Rosa駅まで回送される。
平日の下り「KOGANE」の始発駅となるDela Rosa駅。「KOGANE」の乗車券を求めて駅の窓口に行列が出来る(写真右)。
「KOGANE」の乗車券は、発車時刻の10分前頃から発売開始となり、購入には駅員から先に整理券を受け取る必要がある。Dela Rosa駅での乗車券発売枚数(=乗車定員)は43。
Dela Rosa駅の窓口に掲示された、「KOGANE」に関する案内。列車の時刻と、座席定員制列車であることが記されている。
Dela Rosa駅に入線する、当駅始発の「KOGANE」。
「KOGANE」の車内(写真はキハ59 510)。JR東日本で使用されていた時と大きな変化はなく、特徴的な座席配置もそのままである。座席のモケットも変更されていない。
キハ59 511の車内。
両先頭車の展望室。職員用スペースとして使用されている。
客室内の前後端に設置されていた大型テレビ(28インチ)は撤去され、撤去跡は板で塞がれた。
車内の車両番号表記。写真右下にあった、自由席/指定席を示す反転表示板は撤去され、ビスの跡が残っている。
デッキの様子。こちらには自由席/指定席の反転表示板が残されている。
なお、トイレは使用可。
Tutuban駅を発車する、IRRI行きの「KOGANE」。
当駅折り返しの普通列車(203系)が側線(機回し線)側に退避している。
2019年10月24日より、約5年ぶりに営業運転に復帰したキハ59形「こがね」。全席指定の列車として運転され、1日1往復運転している(土曜日の下り、日曜日の上りは運行なし)。Tutuban〜Calamba間で運行を開始し、2020年12月1日からはTutuban〜IRRI間に運行範囲を拡大した。

Full HD Video

JR東日本時代のキハ59系「こがね」。

写真ご提供:@tincusguin
仙台にて(2004年5月撮影)

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