「西探」制作秘話
(「西船junctionどっと混む」・「西探」開設10周年記念)

2013年1月29日、本サイト「西船junctionどっと混む」及び西船橋駅探索シミュレーションゲーム「西探」(にしたん)は、おかげさまで10周年を迎えました。

開設当初、本サイトは「西船橋駅」、「東西線」、「総武線・中央線」、「武蔵野線・京葉線」、「京成線」と、当時利用していた「西武線」を扱うサイトとしてスタートしました(「京成線」と「西武線」は現在コンテンツ廃止)。2004年11月のサーバ障害により、本サイトはすべてのデータを消失しました(当時バックアップは一部のソースを除いて保存していませんでした)が、3ヶ月間をかけて一から作り直し、2005年2月に再公開。その際より、「アジアの地下鉄・都市鉄道」のコンテンツを追加し、管理人の行動範囲も東アジア・東南アジアに順次広がっていきました。これまでに国内外のメディアや書籍等でも、本サイトの写真や動画を紹介・使用して頂いています。本サイトは今後も西船橋駅や当駅を通る各路線、及びアジアの地下鉄・都市鉄道関連の情報のjunction(ジャンクション)として更なる内容の拡充に努めて参ります。

本サイトの特色のひとつである、西船橋駅を題材とした探索シミュレーションゲーム「西探」は、サイト開設と同時に公開しました。「西探」開設10周年を記念して、当時の制作秘話を紹介します。

■「西探」のコンセプト
本サイトは西船橋駅をご存知でない方や訪れたことのない方にも、西船橋駅に興味を持って頂ける内容にしたいと考えました。しかし、駅の基本情報を文章で羅列したり、駅の写真を単に掲載しても、人々の興味を引き付けることは困難です。様々な検討の末、最終的に行き着いたアイデアは西船橋駅を題材としたゲームを作ることでした。

本シミュレーションゲームの発想のヒントとなったのは、以前管理人が熱中したコンピューターゲーム「MYST<ミスト>」(1993年発売)です。「MYST」は本の中の世界「MYST島」を舞台としたアドベンチャーゲームで、静止画主体ながらも美しいCGによる独創的な世界観で、画面をクリック(ないし、コントローラーを操作)すると次の場所に移動したり、視点を変えたりすることが出来るものでした。このアイデアを基に西船橋駅の撮影及びゲームの制作を行いました。

■Ver1.0及びVer2.0
こうしてゲームの基本方針が決まり、西船橋駅を撮影したのは主に2002年12月末〜2003年1月初旬の年末年始。その後、およそ2週間で編集を行い、Ver1.0は本サイト公開と同時(2003年1月29日)に公開開始しました。当初のスタート地点は「北口」「南口」「総武線で到着」「東西線で到着」の4箇所でしたが、その後、2003年8月2日にルートやスタート地点の追加(「武蔵野線で到着」・「京成線で到着」の追加)や音声の更新などを行ったVer2.0に更新しました。いずれもステージは西船橋駅改装前(旧北口駅舎時代)を舞台にしています。

両バージョン共に、ボーナスステージや名前登録などの機能はありませんでした。
Ver2.0のトップ画面。Ver2.0はVer1.0とほぼ同様の構成で、これら初期の「西探」は2003年1月29日〜2004年11月29日(サーバ障害によるデータ消失日)のおよそ2年間公開していた。

←画面はサンプルのため、クリックできません
「北口」のスタート地点の画面。ゲームの内容は現行のVer3.0(後述)と比較するとシンプルなものであったが、当時撮り溜めた西船橋駅改装前の写真や旧北口駅舎構内の写真は今となっては貴重となった。

←画面はサンプルのため、クリックできません

■Ver3.0
2004年11月29日のサーバ障害によるデータ消失で、「西探」はすべてのデータ(ソースを含む)を消失しました。2005年2月1日でサイト自体は復旧したものの、「西探」はページデータも多く、復旧には膨大な時間を要するため、復旧を断念することにしました。

しかし、「西探」は本サイトの「売り」の1つであったことと、西船橋駅新北口駅舎建替えや「Dila西船橋」のオープンにより、2005年1月に西船橋駅が生まれ変わったことから、「西探」は従来データの「復旧」ではなく、完全な「新規開発」で復活させることとしました。ゲームで使用する写真もすべて撮り直しました。さらに、今回はゴールで公開するプロモーション風ビデオを制作(全3種類))し、従来の写真と音声だけでなく、動画も楽しめるようにしました。

西船橋駅は改装により、床面積が従来と比べて格段に増え、また駅ナカ店舗も大幅に増えたため、初期の「西探」と比べて圧倒的に取材に時間がかかりました。また、駅ナカ店舗を紹介するため、当時のすべての飲食店に入り、料理や飲み物をオーダーしました。日によっては1日で3店舗以上の料理を一人で食べたのも、いい思い出です(笑)

また、Ver3.0の大きな特徴として、各ゴール地点にキーワードを記し、すべてのキーワードをつなぎ合わせるとボーナスゲームを楽しめたり、完全クリアした方の名前を登録できる機能を追加しました。実はVer3.0企画当初は、このような機能をつけることを思いつきもしませんでした。しかし、公開1週間前の2005年11月4日に、深夜の西船橋駅で東葉高速鉄道2000系新製車(2106F)の搬入回送を撮影した際に、深夜の西船橋駅を舞台としたボーナスステージ設置のアイデアを思いついたのです。Ver3.0の公開日は2005年11月11日と先に告知していたため、1週間で急遽仕様の変更を行いました。

ボーナスステージを設けるにあたり、どのような条件を満たしたらボーナスステージをプレイできるようにすればよいか・・・。考えた結果、今回もヒントになったのは、あの「MYST」でした。前回はゲームの進め方や画面の構成で「MYST」を参考にしましたが、今回は「MYST」の謎解きの考えを参考にしました。「MYST」は作中に様々な難解なカラクリが仕掛けられており、メモを取ったり発想力がないとステージを進めることは出来ません。技ではなく、頭脳で進めるという「MYST」の考えこそが、私(管理人)を当時このゲームの虜にしたのだと思います。そこで、「ゲームクリアに必要なキーワード」という考えを「西探」に取り入れ、各ゴールにキーワードの表記を追加しました(元々ゴールは8箇所しかなかったのですが、キーワード追加にあたり10箇所に増やしました)。また、同時に名前登録機能の追加やボーナスステージ用のプロモーションビデオ(エンディングロール)の制作も行いました。

こうして大幅にバージョンアップしたVer3.0は度重なる設計変更をした上で、何とか予定通り2005年11月11日に公開できました。ゲームで使用されている写真枚数は411、音声ファイルは25、そしてゲームのページ数は全部で463コマもあります(ボーナスゲーム分を含む)。これまでに延べ20万人以上の方に楽しんでいただき、600人以上がゲームをクリアしました。公開から既に7年も経ちましたが、今も多くの方に楽しんで頂いています。
「西探」Ver3.0制作に先立ち、作成した設計図(配線図)。Ver3.0はルートが非常に複雑となった為、「西探」で初めて設計図を作成し、カラクリやゴールの配置を検討した。
(左の設計図は一部を消去加工ないしモザイク処理済)

■おわりに
Ver3.0公開後も、西船橋駅はJRと東京メトロ・東葉高速鉄道の改札口の分離、東京メトロ側区画のリニューアル、「Dila西船橋」のリニューアル及び「Dila西船橋駅別館」のオープン等、多くの変化がありました。西船橋駅はまるで生き物であり、その姿は日々刻々と変わっています。新たなバージョンの作成も必要ではあると思いますが、残念ながら社会人となった今では、制作にかける体力・気力・時間がなかなかありません(Ver3.0までは学生の時に制作しました)。改札口分離後の、改札口付近の写真の取材は2008年に完了していますが、残念ながら編集するに至っていません(ルートが複雑となるため、既存のVer3.0に組み込むのは困難です)。もし次のバージョンを作成するとしたら、ゴール以外の地点にも隠しカラクリやキーワードを追加したり、或いは金額という概念を追加したりしたいという構想はあります。

開設10周年という一つの区切りを記念して、これまで明らかにしてこなかった当時の想いを綴りました。
今後も、「西探」をより多くの方にプレイして頂き、西船橋駅や本サイトに興味を持って頂ければ幸いです。

2013年1月29日
「西船junctionどっと混む」管理人
Pierre2427

「西探」トップに戻る