ミャンマー国鉄元 JR東日本キハ40形・キハ48形

Tweet

キハ40形及びキハ48形は非電化路線向けの一般形気動車として、日本国有鉄道(国鉄)時代の1977年〜1982年に製造された車両である。製造会社は新潟鐵工・富士重工。キハ40形全392両、キハ48形全126両のうち、JR東日本にはキハ40形117両、キハ48形74両が国鉄分割民営化時に継承された。車両寸法は長さ21,300mm×幅2,930mm×高さ4,055mm。最高速度は95km/h。車体は鋼製。

このうち、小牛田運輸区、郡山総合車両センター会津若松派出所、新津運輸区に所属し、石巻線、陸羽東線、只見線、磐越西線等で運行されていた非冷房車のキハ40形・キハ48形が、2015年5月30日のダイヤ改正(仙石東北ライン開業)に伴う車両転配により2015年内に順次廃車となった。廃車後、全19両が2015年〜2016年にミャンマー国鉄へ譲渡された。

現地到着後、ドアへのステップ・手すりの設置、車軸の改造、屋根上のベンチレーターの撤去等の改造が施された。塗装は基本的にJR東日本時代のままであるが、キハ48 1547だけはJR東日本時代は盛岡色であったものを、ミャンマー国鉄にて東北地域本社色に変更された。現地の車両番号は前面・側面に赤字で追記。車両番号は竣工順にRBE25109〜25127で付番。なお、この車両譲渡と併せてJR東日本より車両保守の技術支援が行われた。

2015年9月28日より営業運転を開始した。全車両が主にヤンゴン環状線及びヤンゴン-ピィ線のHlawga以南にて運行されている。営業開始時は運賃200チャットのアトゥーヤター(アトゥー:特別、ヤター:列車)として運行されたが、2016年7月1日より環状線の全列車の運賃が100チャットに値下げされた。

【新旧車両番号対照表(JR東日本時代→ミャンマー国鉄、の順に表記)】
キハ40 548 :RBE25109
キハ40 2024:RBE25110
キハ48 501 :RBE25111
キハ48 553 :RBE25112
キハ48 1511:RBE25113
キハ48 1514:RBE25114
キハ40 514 :RBE25115
キハ40 562 :RBE25116
キハ48 551 :RBE25117
キハ48 1547:RBE25118
キハ40 542 :RBE25119
キハ40 549 :RBE25120
キハ40 550 :RBE25121
キハ40 559 :RBE25122
キハ40 578 :RBE25123
キハ40 579 :RBE25124
キハ40 581 :RBE25125
キハ40 2022:RBE25126
キハ40 2025:RBE25127

ヤンゴン環状線で運行されるJR東日本東北地域本社色のキハ40形。
写真の編成はキハ40形のみで組成された5両編成(RBE25126(キハ40 2022)+RBE25122(キハ40 559)+RBE25123(キハ40 578)+RBE25120(キハ40 549)+RBE25121(キハ40 550))。

Gyogonにて
離合するJR東日本東北地域本社色のキハ40形・キハ48形。2015年〜2016年に譲渡された19両は2016年8月現在、5両編成3本と4両編成1本に組まれて、主にヤンゴン環状線で運行されている。2016年8月現在、ヤンゴン環状線の最主力車両である。

Gyogonにて
車体前面及び側面に日本とミャンマーの国旗のステッカーが貼付されたRBE25112(キハ48 553)。譲渡された19両のうち、10両については日本のODA「草の根・人間の安全保障無償資金協力」を活用して車両輸送費及びメンテナンスに関する技術支援を日本政府より供与している。該当する10両(RBE25109〜25118)はそれを示すステッカーが貼られている。

Yangonにて
同じく前面及び側面に日本とミャンマーの国旗のステッカーが貼付されたRBE25114(キハ48 1514)。

上写真:Yangonにて
下写真:Inseinにて
貫通扉に掲示された、日本とミャンマーの国旗のステッカー。国旗の下には「JAPAN-MYANMAR」の文字。
このステッカーが貼付された車両は日本のODA「草の根・人間の安全保障無償資金協力」を活用して導入されている。
車両側面のステッカー貼付状況。側面は4箇所に掲示されている。
ミャンマー国鉄で活躍するJR東日本東北地域本社色のキハ40系列の中で最も若番で付番されたRBE25109(キハ40 548)。

Yangonにて
RBE25110(キハ40 2024)。2016年8月時点では、先頭に立つJR東日本東北地域本社色のキハ40系列の中で唯一貫通幌が設置されていた。

Yangonにて
RBE25116(キハ40 562)。この車両は側面に日本とミャンマーの国旗のステッカーが掲示されているが、貫通扉にはない。

上写真:Pha Yar Lanにて
下写真:Yangonにて
RBE25121(キハ40 550)。RBE25119以降の車両は「草の根・人間の安全保障無償資金協力」の対象外であるため、日本とミャンマーの国旗のステッカーは掲示されていない(JR東日本の技術支援は19両全車を対象に行われた)。

Yangonにて
Yangon(ヤンゴン中央駅)にて離合するRBE25121(キハ40 550)とRBE25125(キハ40 581)。
Inseinを発車するRBE25124(キハ40 579)+RBE25119(キハ40 542)+RBE25127(キハ40 2025)+RBE25125(キハ40 581)の4両編成。キハ40形のみで組成されている。
Yangon(ヤンゴン中央駅)手前を行くRBE25125(キハ40 581)以下4両編成。

Pha Yar Lan〜Yangonにて
Yangon(ヤンゴン中央駅)で並ぶRBE25126(キハ40 2022)とRBE25124(キハ40 579)。
JR東日本とJR東海のキハ40系列がヤンゴン環状線で顔を合わせる。日本では出逢わなかった両者が、ここヤンゴンでは共存。これまでJR四国やJR北海道のキハ40系列も同線で運行された実績があり、ヤンゴン環状線はまさに日本各地のキハ40系列の楽園となっている。

上写真:Pha Yar Lanにて
下写真:Yangonにて
コンピューター大学支線運用のJR東海キハ11形に囲まれるRBE25114(キハ48 1514)。
ミャンマー国鉄Insein工場製の特別塗装機「DF1263」と並ぶ、JR東日本東北地域本社色のキハ40系列。
RBE25113(キハ48 1511)の車内。
RBE25111(キハ48 501)の車内。
JR東日本東北地域本社色のキハ40系列の一部更新車で採用されている1人掛け(2人1組)ボックスシート。
RBE25124(キハ40 579)の車内。左沢線で運行されていた際にロングシート化及びトイレ・デッキの撤去が行われている。左沢線出身の車両は同様の改造が行われており、ミャンマー国鉄へはキハ40 542、578、579の3両が譲渡されている。
RBE25119(キハ40 542)の車内。上写真のRBE25124と同様の改造が行われているが、バケットシートのモケットの色が異なる。
RBE25116(キハ40 562)の車内。座席配置は原型の2+2人掛けボックスシート。
JR東日本東北地域本社色のキハ48形の最大の特徴である幅広の貫通路。
デッキ付近のトイレは存置されているが、基本的に鍵がかかっており使用不可。
ミャンマー国鉄にて新たに設置された防犯カメラ。
ドアボタン。運行当初は自動ドアが動作していたようだが、2016年からはすべてのドアが開け放しのまま走行する。
「草の根・人間の安全保障無償資金協力」を適用して導入した車両には、車内に解説が書かれたステッカーが貼付されている。
津波警報発表時の避難方法の掲示はそのまま存置されている。
扇風機はJR東日本時代のままで、複数の形状がある。
RBE25123(キハ40 578)の車内。RBEで初めて広告放映用のLCDが設置された。LCDは両車端部付近に設置され、設置改造はミャンマーで行われている。
RBE25123(キハ40 578)の座席の袖仕切り部に設置されたLCD(液晶テレビ)。広告会社の「清工舎ミャンマー」が施工している。
乗務員室仕切り。
運転台。多くの日本語表記もそのまま残されている。
JR東日本時代の塗装そのままに活躍する、元JR東日本キハ48形・キハ40形の5両編成(RBE25114(キハ48 1514)+RBE25111(キハ48 501)+RBE25109(キハ40 548)+RBE25113(キハ48 1511)+RBE25112(キハ48 553))。車両の貫通扉と側面には日本とミャンマーの国旗と共に「JAPAN-MYANMAR」と書かれたステッカーが掲出されている。元JR東海のツートンカラーのキハ40系列とも顔を合わせる。

Full HD Video
Gyogon駅前の踏切を通過して駅に停車する、元JR東日本キハ40形の5両編成(RBE25126(キハ40 2022)+RBE25122(キハ40 559)+RBE25123(キハ40 578)+RBE25120(キハ40 549)+RBE25121(キハ40 550))。ミャンマー国鉄の踏切は2016年現在すべて手動で、列車通過時には踏切警手が旗を振る。

Full HD Video
Gyogon駅付近で離合する、JR東日本キハ40系列同士(画面奥へ去っていく車両がRBE25126(キハ40 2022)+RBE25122(キハ40 559)+RBE25123(キハ40 578)+RBE25120(キハ40 549)+RBE25121(キハ40 550)、向かってくる車両がRBE25112(キハ48 553)+RBE25113(キハ48 1511)+RBE25109(キハ40 548)+RBE25111(キハ48 501)+RBE25114(キハ48 1514))。 2016年8月現在、ヤンゴン環状線で最も多く運行されている気動車はJR東日本から譲渡されたキハ40系列である。

Full HD Video
Yangon駅(ヤンゴン中央駅)で離合するJR東日本とJR東海のキハ40系列。同じ形式ながら日本では並ばなかった両者がヤンゴンで共存する。

Full HD Video
Yangon駅(ヤンゴン中央駅)を発車する元JR東日本キハ48形・キハ40形の5両編成(RBE25116(キハ40 562)+RBE25115(キハ40 514)+RBE25118(キハ48 1547)+RBE25117(キハ48 551)+RBE25110(キハ40 2024))。 3両目のRBE25118(キハ48 1547)は元々盛岡色の車両であるが、ミャンマー国鉄の匠の塗装技術により東北地域本社色に変更されて竣工した。車両番号の文字が盛岡色時代の黒色のままであるのが特徴。

Full HD Video
Mahlwagon駅を発車する元JR東日本キハ40形の4両編成(RBE25125(キハ40 581)+RBE25127(キハ40 2025)+RBE25119(キハ40 542)+RBE25124(キハ40 579))。暑さ対策のため、すべてのドア・窓は開け放たれている。

Full HD Video
■日本時代の記録
只見線・磐越西線で運行されていた頃のキハ40 581(現:RBE25125)。

会津若松付近にて2015年9月12日撮影
郡山総合車両センター会津若松派出所に留置されるキハ40形。同派出所に所属していた非冷房車全11両(キハ40 514,542,548,549,562,578,579,581,2022,2024,2025)が2015年〜2016年に冷房車のキハ40形に置き換えられて廃車となり、すべてがミャンマーへと旅立っていった。

2015年9月12日撮影
左からキハ40 2022(現:RBE25126)とキハ40 579(現:RBE25124)。
キハ48 501(現:RBE25111)の側窓下の行先表示器。

石巻にて2002年7月14日撮影
2015年7月から2016年2月まで7回に分けて行われた、郡山総合車両センターから横浜港大黒埠頭までの陸送。2回目の陸送にて栃木県矢板市内で停泊するキハ40 548(現:RBE25109)、キハ48 1514(現:RBE25114)、キハ40 2024(現:RBE25110)の3両。

以下、2015年7月28日撮影
手前からキハ48 1514(現:RBE25114)とキハ40 548(現:RBE25109)。
キハ40 548(現:RBE25109)。
キハ48 1514(現:RBE25114)。
キハ48 1514(現:RBE25114)の「仙ココ」(小牛田運輸区)の所属表記。小牛田運輸区からは計4両(キハ48 501,553,1511,1514)がミャンマーへと渡った。
キハ48 1514の妻面。輸送中、貫通路は保護されていた。
キハ40 2024(現:RBE25110)。
キハ40 2024(現:RBE25110)の上写真と反対側の先頭部。
車体と台車は切り離され、車体は台座に載せられて輸送された。
キハ40 2024(現:RBE25110)の「仙コリ」(郡山総合車両センター会津若松派出所)の所属表記。
矢板市内のローソンの駐車場に停泊する3両。この夜、横浜港大黒埠頭へと向かった。
横浜港大黒埠頭にて船積みを待つキハ48 501(現:RBE25111)、キハ48 1511(現:RBE25113)、キハ48 553(現:RBE25112)の3両。

横浜ベイブリッジを走行する路線バスの車内から撮影
特徴的な貫通路を向けて埠頭内で待機するキハ48 501(現:RBE25111)、キハ48 1511(現:RBE25113)、キハ48 553(現:RBE25112)。

「ミャンマー国鉄−日本からの譲渡車両」トップに戻る

Tweet