ミャンマー国鉄元 JR北海道キハ183系

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JR北海道キハ183系は1979年〜1991年に181両が導入された特急形車両である(両数は同形式のジョイフルトレイン「ニセコエクスプレス」「クリスタルエクスプレス トマム&サホロ」「ノースレインボーエクスプレス」を含む)。製造会社は新潟鐵工・富士重工・日立製作所(キサロハ182形のみ)・JR北海道苗穂工場(ジョイフルトレインのみ)。車両寸法は長さ21,300mm×幅2,903mm×高さ4,090mm(一部車両を除く)。最高速度は100〜130km/h。

日本国有鉄道(国鉄)時代からJR化後にわたって増備され、設計や性能が増備過程で変更されている。また、現在までに塗装変更・内装更新・中間車の先頭車化改造・最高速度向上改造・エンジン換装等の各種改造も行われている。2001年より老朽化等による廃車が開始。このうち、2008年・2010年に廃車になった車両がミャンマー国鉄へ譲渡された。譲渡された車両はキハ183-1・2・103・207・217(先頭車)、キハ182-1・2・4・5・13・17・106・108・224〜227(中間車。但し100番台は簡易運転台設置改造車)、キハ184-2・7(発電装置つき中間車)の19両。

現地到着後、ステップ設置、車軸の改造、屋根上機器の撤去、冷房装置搭載部分の低屋根化等の改造が施された。塗装は原則JR北海道時代のまま(一部はJR北海道時代塗装に準じた色に再塗装)で、一部は現地の車両番号が側面に赤字で追加されている。

2009年より営業運転を開始した。Nay Pyi Taw〜Mandalayでミャンマー国鉄初の冷房付き優等列車として運用に就いていたが、2012年に同区間の優等列車廃止に伴い全車両が運行中止。一部はミャンマー国鉄対応改造工事が途中で中断され、放置されている車両も存在する。大半の車両はMyitnge(ミンゲー)工場内で保管。

キハ183-2。当車両は2001年に国鉄特急色に復元され、2010年に廃車となった。同年にミャンマー国鉄へ譲渡。

Carriage and Wagon Workshop (Myitnge)にて
キハ183-2の先頭部。運転室部分の上部が撤去された状態で放置されている。改造途中で中断されたものと思われる。
キハ183-2を反対側の車端部側から見る。
側面の車両番号表記。ミャンマー国鉄の車両番号は追加されていない。
キハ182-1または2と思われる中間車。その両側には「とかち色」のスラントノーズのキハ183(キハ183-207及び217)が留置されているが、こちらも運転台が撤去された状態となっている。

Carriage and Wagon Workshop (Myitnge)にて
運転室部分の上部が撤去された状態のキハ183形200番台(キハ183-207または217と思われる)。
キハ183系200番台同士で組成された状態で佇む。
キハ183-103。キハ183形100番台はキハ184形を1984年〜1985年に先頭車化改造した車両。外観はHET色(通称:青坊主)のままで、ミャンマー国鉄では2011年に改造工事が完了し運用に就いていた。冷房装置部分の屋根が低屋根化され、その部分用の雨どいが車体側面に2本設置されていることが外観上の大きな変化。
キハ183-103の先頭部。運転席側の窓の下に書かれていた「HET183」(HET=Hokkaido Express Train)のロゴは青色で塗り潰されて消滅。特急シンボルマークはJR北海道時代の末期には撤去されていた。
キハ183-103の反対側の車端部付近の電源装置機器室。キハ183形100番台の大きな特徴である。
キハ183-103の車両番号表記。ミャンマー国鉄では「RBE25201」を名乗っている。運転台付き車両は「(cab)」表記付き。RBEの後ろの「(P)」は冷房車(P=Powerの略)を示す。
キハ182-106。キハ182形100番台は簡易運転台設置改造車で、1996年〜1997年にキハ182-6〜8の3両が改造され、キハ182-106〜108となった。2007年度に全車両が廃車。ミャンマー国鉄では2009年に改造工事が完了し運用に就いていた。他のキハ183系の改造工事完了車と同様、冷房装置部分の屋根が低屋根化され、その部分用の雨どいが車体側面に2本設置された。
キハ182-106の反対側の車端部。当車両はJR北海道時代の塗装をベースにミャンマー国鉄で再塗装された、ベースの白色塗装がJR北海道時代より濃くなり、灰色になっている。
キハ182-106の車両番号表記。ミャンマー国鉄では「RBE5021」を名乗っている。1運転台車両を示す「(1cab)」表記付き。冷房車だが何故かP表記は省略。
元の「キハ182-106」の車両番号表記は塗り潰されているが、よく観察すると元の文字が確認できる。
ブルートレインカラーに変更されたキハ182-225(現:RBE25102)。前後の24系客車と違和感なく連結されている。
Nay Pyi Taw駅の側線にて留置されているキハ182-108(左)と、ブルートレインカラーに変更されたキハ184-2(現:RBE25106)(右)。
キハ182-108の側面及び屋根上の様子。ミャンマー国鉄の車両番号は「RBE5022」。冷房装置周りの低屋根化と、側面に新設された2本の雨どいの改造状況が確認できる。
キハ184-2(現:RBE25106)外観。塗装だけ見るとまるで24系客車のようである。
キハ184-2(現:RBE25106)の屋根上。塗装は変わっても屋根上の集中式冷房装置がキハ183系であることの証である。
キハ182-4。未改造の状態(冷房装置のみ撤去)のまま留置。

Carriage and Wagon Workshop (Myitnge)にて
キハ182-226。JR北海道時代の塗装(とかち色)をベースにミャンマー国鉄で再塗装済み。
キハ182-226のミャンマー国鉄の車両番号は「RBE25103」で、運転台なし車両を示す「(No Cab)」表記付き。冷房車を示すP表記は省略。JR北海道時代の車両番号表記は再塗装の際に消滅。
キハ182-5。未改造の状態(冷房装置のみ撤去)のまま留置。

Carriage and Wagon Workshop (Myitnge)にて
キハ184-7(現:RBE25105)。JR北海道時代の塗装(HET色)をベースにミャンマー国鉄で再塗装済み。JR北海道時代の車両番号表記は再塗装の際に消滅。

Carriage and Wagon Workshop (Myitnge)にて
Myitnge工場で1列に並んで留置される、各種塗装(HET色・とかち色・国鉄特急色)のキハ183系。
妻面の表記や各種銘板は存置(ミャンマー国鉄での再塗装車は塗り潰されている)。
側窓に貼られたままの、JR北海道内での甲種輸送の際の発送伝票。
Pyinmana Locomotive Shed(Pyinmana機関区)にて保管されているキハ182-108(現:RBE5022)。

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