ミャンマー国鉄元 JR北海道キハ48形300番台

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キハ48形は非電化路線向けの一般形気動車として、日本国有鉄道(国鉄)時代の1977年〜1982年に製造された車両である。製造会社は新潟鐵工・富士重工。全126両のうち、JR北海道には7両が国鉄分割民営化時に継承された。車両寸法は長さ21,300mm×幅2,930mm×高さ4,055mm。最高速度は95km/h。車体は鋼製。

2012年の札沼線(学園都市線)の札幌〜北海道医療大学 間電化に伴い6両(キハ48形300番台3両、キハ48形1330番台3両)が廃車となり、うち、2012年にキハ48形300番台3両がミャンマー国鉄へ譲渡された。

現地到着後、ステップ設置、車軸の改造、屋根上機器の撤去等の改造が施された。塗装はJR北海道時代のままで、現地の車両番号が前面・側面に追加されている。車両番号は、キハ48 301が「RBE2588」、キハ48 302が「RBE2589」、キハ48 303が「RBE2590」。

2013年春より営業運転を開始した。営業開始時から2016年4月まで、RBE2588(キハ48 301)及びRBE2589(キハ48 302)の2両はYangon〜Computer University間(Yangon-Pyay線・コンピューター大学支線)で2両固定編成として運行されていた(RBE2590(キハ48 303)は予備車扱い)。2016年4月にRBE2588とRBE2589はBagoに転属し、5月1日よりBago〜Nyaung Kha She間(Bago-Dawei線・Nyaung Kha She支線)の運用に就いている。後にRBE2590もBagoに転属し、同区間で運用されている。

Yangon駅に停車中の、営業運転開始直後のRBE2588(キハ48 301)。JR北海道時代の塗装のまま活躍している(前面はJR北海道時代の車両番号表記「301」を除去したうえで現地車両番号「RBE2588」を赤字で追加)。
前照灯を点灯し、貫通扉を閉めた状態。
コンピューター大学支線よりHlawga駅に到着したRBE2588(キハ48 301)+RBE2589(キハ48 302)。
Insein駅に入線。
早朝のComputer University行き運用に就くRBE2588(キハ48 301)+RBE2589(キハ48 302)。

Yangonにて
RBE2588の側面車両番号表記。日本時代の車両番号表記(キハ48 301)も、「学園都市線」のステッカーもそのまま残されている。
RBE2589(キハ48 302)。

Yangonにて
対向車のヘッドライトを浴びて輝く前面。
RBE2589(キハ48 302)の側面車両番号表記。RBE2588(キハ48 301)と同様に日本時代の表記が残されている。
DRCに予備車として留置されているRBE2590(キハ48 303)。
RBE2590(キハ48 303)の両側面。

DRCにて
キハ48の空気バネ台車。床下機器の塗装はJR北海道時代は黒であったが、譲渡後はミャンマー国鉄標準のライトグレーに塗り直されている。
RBE2588(キハ48 301)の車内の様子。ほとんどJR北海道時代のままである。扇風機も稼働可能。

Computer Universityにて
RBE2589(キハ48 302)の車内の様子。こちらもJR北海道時代と大きな変化はない。
デッキ・トイレ周り。トイレはJR北海道時代と同様に施錠されており使用不可。
貫通路。2両固定編成の為、RBEでは珍しく幌も接続されているが、走行中の揺れが激しいためか外れかかっている。
RBE2588(キハ48 301)のデッキ・乗務員室仕切り部。
乗務員室の内部。
RBE2588の運転台。
前面窓のデフロスター。南国のミャンマーでは無用の長物であるが、存置されている。
DRCでの予備車時代のRBE2590(キハ48 303)の車内の様子。ほとんど使用された形跡はない。
Bagoの機関区から出区し、緑のトンネルを抜けるRBE2590(キハ48 303)+RBE2589(キハ48 302)。キハ48形300番台は2013年のデビュー時から3年間、Yangon〜Computer University間(Yangon-Pyay線・コンピューター大学支線)で長らく使用されていたが、2016年4月にBago(バゴー)に転属し、2016年5月1日よりBago〜Nyaung Kha She(ニャウンカシー)間(Bago-Dawei線・Nyaung Kha She支線)の運用に就いている。

Special Thanks:「地球公務員 落花生。再び」様
Bago〜Nyaung Kha She間の運用に就くRBE2590+RBE2589。先頭のRBE2590はDRC所属時代は予備車だったが、Bagoに転属してから定期的に運用に入るようになった。

Bagoにて
Bago駅構内に林立する腕木式信号機と共に。
始発駅のBago駅にて大勢の乗客が一斉に乗り込む。
RBE2590の運転台。
Bago〜Nyaung Kha She間の運用に就くRBE2590(キハ48 303)の車内の様子。木製の棚を通路上に通して、荷棚を増設している。
Bagoを出てから2時間弱、終点のNyaung Kha She(ニャウンカシー)駅に到着。
緑に囲まれている、雨季のNyaung Kha She駅。1日2往復の列車が発着する。
Nyaung Kha She駅での発車待ち。外を眺める親子。
Nyaung Kha She支線のレール。本当にここを列車が通るのか目を疑いたくなるような、ヘロヘロのレールが続く。
車体を上下左右に揺らし、聞いたこともないような軋み音を上げながら、重量級のキハ40系列が貧弱なNyaung Kha She支線のレールをゆっくりと走る。

Nyaung Kha She〜Ah Byarにて
上写真の後追い。レールは貧弱だが、ところどころPC枕木に交換されている。
水田地帯を行くRBE2589+RBE2590。

Nyaung Kha She〜Ah Byarにて
Bago-Dawei線とNyaung Kha She支線の並列区間を行く。本線のため比較的軌道が整備されているBago-Dawei線に対して、Nyaung Kha She支線の軌道は草に埋もれており、整備の差は歴然。

Nyaung Kha She〜Ah Byarにて
Ah Byar駅の腕木式信号機とキハ48形。
Ah Byar駅を発車するBago行き列車。
スコールの中、Bago-Dawei線を行く。

Ka Thi Win〜Wawにて
1駅間の前面展望(最初のComputer University出発時は切れています)。コンピューター大学支線は単線だが、将来の複線化の準備工事として、土地の確保と一部橋梁の複線分架設が完了している。

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全区間ノーカットの前面展望映像。
Hlawga→Aung Sanmyo間はキハ48 301(RBE2588)の貫通路から、Aung Sanmyo→Yangon(ヤンゴン中央駅)間は同車の助士席側窓から撮影。全区間複線。高運転台からの眺めは非常に良く、対向列車よりも高く見える。先行列車のYangon駅入線待ちにより、Pha Yar Lan駅及びその手前で長時間停車している。Yangon駅ではホーム屋根の雨どいと車両の屋根が接触している。

※ミャンマー鉄道運輸省の許可及び乗務員の方々の多大なるご厚意の下撮影

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早朝の5:50、朝焼けの中Yangon(ヤンゴン中央)駅を発車する、Computer University(コンピューター大学)駅行きの列車。発車時に警笛を鳴らす(タイフォンカバーの開閉が確認できる)。

元JR北海道のキハ48(キハ48 301+キハ48 302)は2両固定編成のため、総括制御が出来るようジャンパ栓やブレーキホース(エアーホース)は接続されている。エンジンは片方の車両しか稼動させない。この時は2両目のキハ48 301(RBE2588)をエンジン稼動させ、先頭車は無動力状態で運転していた。

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Yangon駅(ヤンゴン中央駅)始発Insein(インセイン)駅行きの、元JR北海道キハ48と、East University(東大学)始発Insein行きの元JR東日本キハ58の一瞬の並び。両者とも日本時代は寒冷地で活躍していたが、現在は灼熱の地で活躍する。
(キハ48 302(RBE2589)の凄まじい排気により、ビデオカメラが転倒しかけた)

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Yangon駅(ヤンゴン中央駅)の5番線から6番線に低速で転線する、Insein行きの列車。バックの金色の屋根は、ミャンマー伝統建築様式のYangon駅の駅舎。

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夕方のYangon駅(ヤンゴン中央駅)を発車する、Insein行きの列車。エンジンは2両編成のうち先頭車両(RBE2589=元キハ48 302)のみ稼動させている。乗務員さんが手を振ってくれた。

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早朝5:20、Yangon駅(ヤンゴン中央駅)に入線する、Insein発Yangon行きの列車。折り返しComputer University(コンピューター大学)行きとなる。ホームではまだ多くの人がベンチやハンモックで寝ている。

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ミャンマー国鉄の車両のドアは、通常走行中も常に開放されており、ドアが自動開閉することは滅多にないが、乗務員さんのご好意で特別にドアコックを操作してドアが閉まる様子を見せて頂いた。

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613Up列車の全区間前面展望。Ah ByarまでのBago-Dawei線は幹線のため軌道も整備されているが、最後の1区間のNyaung Kha She支線区間(Ah Byar〜Nyaung Kha She)は軌道の状態も悪く、最徐行で走行する。軌道上で牛もくつろいでおり、急停車する場面もある。

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聞いたこともないような軋み音をあげながら、ヘロヘロの軌道をゆっくりと走る612Dn列車。

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■日本時代の記録
キハ48 302(現:RBE2589)。札幌駅にて2000年2月4日撮影。

写真ご提供:久保料理長様
キハ48 303(現:RBE2590)。札幌駅にて2009年2月20日撮影。

写真ご提供:なべTEA様

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