ソウル都市鉄道SR000系(SRシリーズ)

ソウル都市鉄道SR000系(通称:SRシリーズ)は、ソウル都市鉄道と車両メーカーのロウィン(Rowin)が共同で設計・開発した、ソウル地下鉄7号線向けの車両である。2011年2月に最初の編成(SR001編成)が報道公開され、2011年〜2012年に7編成56両を製造。2012年10月27日の7号線の温水〜富平区庁 間延長開通に合わせて営業運転を開始した。

ソウル都市鉄道の久々の新車であり、様々な新機軸が導入された。車体はソウル都市鉄道初のアルミ合金製(ダブルスキン構造)で、白地に緑帯が塗装されている(従来のソウル都市鉄道の車両はすべてステンレス製の無塗装車体)。内装は従来車より大幅に変更し、旅客サービスの向上として各車両の車端部にタッチスクリーンを設置し、客はソウル都市鉄道が提供する様々なコンテンツを楽しめるだけでなく、インターネットに常時オンラインで接続することができ、外部サイトにもアクセスすることができる(通勤電車への本格的な導入例はアジア初である(KORAILの「民願電鉄365」のように、車内にパソコン本体が設置されている例を除く))。座席配置はロングシートだが、SR001編成とSR002編成の3号車と6号車は、車両中央にロングシートが背中合わせで配置され、客が窓側を向いて座るようになっている(SR003編成以降は全車両が通常のロングシート)。また、韓国の通勤電車で初めて、乗務員室仕切りに前面展望用の窓が設けられている(運転台からの操作で、窓はスモークガラスに瞬時に変更できる)。ドアエンジンはソウル都市鉄道初の電気スクリュー軸駆動式。車外の行先表示機は、ソウル都市鉄道の全駅にプラットホームスクリーンドアが設置された為、側面は省略され、前面も従来車と比べて小型化されている(従来車も側面の行先表示機は全車両使用停止している)。

4M4Tの8両固定編成で、IGBT-VVVF制御である。VVVF制御装置は韓国のタウォンシス(多元シス)製。車両寸法は長さ20,000mm(先頭車20,070mm)×幅3,120mm×高さ4,000mm。設計最高速度は100km/h(営業最高速度は80km/h)。加速度は3.0km/h/s、減速度は3.5km/h/s(非常4.5km/h/s)である。

編成番号はSR001編成〜SR007編成だが、車両番号は従来車両(7000系)の続番となっている。
SR001編成の車両番号は7164(TC1)-7264(M1)-7364(M2')-7464(T1)-7564(T2)-7664(M1')-7764(M2)-7064(TC2)である。従って、SR001編成〜SR007編成は従来車の編成番号法則に基づくと764編成〜770編成となる。先頭車の前面には編成番号(SR00*)と車両番号(7***)を併記している。

SR001編成は、構体・台車製作、艤装等をロウィンで行い、最終組立をソウル都市鉄道(道峰車両基地)で行った。しかし、車両メーカーではなく、鉄道事業者が車両に製造に携わることが7号線沿線自治体等で反対意見が出されたため、SR002編成以降はロウィンで一貫製造を行った。


ソウル都市鉄道の公式ブログ(http://5678blog.com/)によると、SR000系は2012年12月4日より初期トラブル発生対策のため、運用が平日朝のみに固定されている(休日・祝日は運用なし)。
運用は上記の公式ブログで確認ください。

参考までに、2013年1月7日の運用(管理人確認済)は以下の通り。

運用1
 温水06:35発→富平区庁06:52着(列車番号:7515)
 富平区庁07:02発→道峰山08:42着(列車番号:7020)
 道峰山08:49発→温水10:11着(列車番号:7059)

運用2
 温水06:52発→長岩08:19着(列車番号:7526)
 長岩08:23発→温水09:50着(列車番号:7053)



関連ページ:ソウル地下鉄7号線

登場から1年半余りを経て、2012年10月に営業運転を開始したSR000系(SRシリーズ)。従来車(7000系)と大幅に異なる仕様が目を引く。

トゥクソム遊園地〜清潭にて
清潭大橋を渡るSR000系。前照灯はHID。

トゥクソム遊園地〜清潭にて
従来車(7000系2次車)と離合するSR000系。

トゥクソム遊園地〜清潭にて
水面が凍った、真冬の朝の漢江を渡るSR000系。

清潭〜トゥクソム遊園地にて
車内の様子。照明はLED。各車両に2箇所、スタンションポールが設置されている。
貫通路。ソウル都市鉄道の車両で初めて、貫通扉が廃止された。
車端部は優先席及び車椅子スペースとなっている。車椅子スペースは各車両に設置されており、その部分の妻面にはタッチスクリーンが設置されている。
タッチスクリーン。タッチするまでは広告等が切替え表示されている。
せっかく高機能なタッチスクリーンであるにも関わらず、それをアピールする案内が不足している(画面にも、最初にタッチしなければ特にそのような機能があることが表示されない)のと、SR000系の運用が少ないため、まだ乗客がほとんど認知していないと感じた(自分以外に使っている人は見当たらなかった)。
画面にタッチするとスタート画面が表示される。
このタッチシステムをソウル都市鉄道公社は「5・6・7・8 幸福タッチ」(オー・ユッ・チル・パル ヘンボットチ)と称している。
右側のボタンをタッチすると、ソウル都市鉄道公社提供の路線図検索機能「サイバーステーション」(http://www.smrt.co.kr/program/cyberStation/main.jsp)に直接アクセスできる。所要時間や最短ルート、料金、駅情報などが車内でも確認でき、便利。なお、ソウル都市鉄道のトップページ等にも直接ジャンプできる。
インターネットボタンをタッチすると、複数の検索サイトに直接アクセスできる。右上のキーボードボタンをタッチすればキーボードが表示される。車内備え付けのディスプレイでインターネットを楽しめる機能は世界初であると思われる(少なくともアジアの地下鉄車両では初である)。
弊サイトのトップページ(http://2427junction.com)もご覧の通り(笑)
Let's enjoy "2427junction.com" on the Seoul Subway Line 7 train !!
ドア周り。ドアはステンレス製で、ソウル都市鉄道のロゴマークの模様が入っている。ドアの上にはLCDが2台設置されており、左側のLCDで次駅・行先・乗換え案内、右側のLCDで広告などを表示する。LCDは千鳥配置である(1両当たり4箇所)。なお、既存のソウル都市鉄道の全ての営業車両も、2012年までに2段LEDからLCD2台設置に更新された。
座席はモケット張り。網棚は優先席の上を除いて省略された。
つり革の高さが一部低く設定されているが、つり革の長さを変えるのではなく、つり革を支持しているポールが上下方向に曲線を描いているのはユニーク。
先頭車の車内。
両先頭車の、一番乗務員室寄りのドア間は座席が設置されておらず、自転車駐輪スペースとなっている(一部の既存車も改造済み)。
乗務員室仕切り。韓国の通勤電車で初めて、前面展望用の窓が設置された。遮光幕はなく、運転台の操作でスモークガラスに変更できる。
なお、管理人が乗車した時は、残念ながらずっとスモークガラスモードであった(最後尾の車両も)。KORAILのヌリロ(200000系)も運行開始当初は前面展望を宣伝していたが、実際は大半がスモークガラスモードで運転している(「ITX青春」も同様である)。
ロウィンの車内銘板(製造所銘板)。
ロウィンがソウルの地下鉄車両の新造を行ったのは、今回が初めてである(先頭車化改造等は実績がある)。
ソウル都市鉄道の車内銘板。
7号線はSR000系が平日朝限定運用の為、車両不足となっている。2013年1月現在、暫定措置として平日ラッシュ時に6号線の6000系を7号線で運行している。

(左写真撮影時はそのような状況であることを把握しておらず油断しており、突然6000系が来たため、慌てて咄嗟にカメラを構えましたが、タイミングを逃しました(苦笑)。お見せできるレベルの写真でないですが、一応の証拠写真としてご笑覧ください)

トゥクソム遊園地〜清潭にて
清潭大橋を渡る、温水行きのSR000系SR003編成。

Full HD Video
清潭大橋で7000系2次車と離合する、温水行きのSR000系SR004編成。

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真冬の朝の漢江を渡る、道峰山行きのSR000系SR003編成。

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温水駅に当駅始発列車として入線する、富平区庁行きのSR003編成。

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温水駅を発車する、富平区庁行きのSR003編成。

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建大入口駅を発車する、長岩行きのSR004編成。

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主要駅到着時には、韓国語・英語・中国語・日本語の順の4ヶ国語自動放送が行われる。

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ソウル都市鉄道SR000系走行音(温水→加山デジタル団地)IGBT-VVVF制御で、制御装置はタウォンシス製。
TC1-M1-M2'-T1-T2-M1'-M2-TC2(4M4T)の8両編成。
ドアエンジンは電気スクリュー軸駆動式(ソウル都市鉄道初採用)。

関連ページ:ソウル地下鉄7号線

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