特別車両「KERETA ISTIMEWA」団臨運転

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「KERETA ISTIMEWA」は日本車両製MCW302系一般形気動車(KRD)の改造車で、巡察用気動車「Rail Two」を再改造して2019年9月28日(PT.KAIの74周年創立記念日)にデビューした特別車両(ジョイフルトレイン)である。PT.KAIで初めて個人ツアーでの利用申込も可能である。

2019年11月30日、毎度お世話になっている「JABODETABEK COMMUTERS NEWS」管理人のパクアン急行様の結婚式団臨(貸切列車)として、Tanjung Priok→Cirebon間(Ancol・Rajawali・Jatinegara経由)で片道運行された。当管理人もご招待頂いたため、有難く参加させて頂いた。「KERETA ISTIMEWA」が日本人の団体向けに運行されるのは今回が初であった(個人ツアーとしての運行も初?申込み順番自体は2番目であったとのこと)。

途中駅は全駅通過(ノンストップ)。但し、廃車車両が積まれているCikaum駅では主催者の要請により徐行運転を実施した。

主催者のパクアン急行様、及び関係者の皆様に心からお礼申し上げます。

当日の運行ダイヤ(設定上の時刻で、実績とは一部異なる):
 klb D1/14655(回送) Tanah Abang 7:00発→Kampung Bandan 7:14着
 klb D1/14604(回送) Kampung Bandan 7:15発→Pasar Senen 7:24着
 klb D1/14659(回送) Pasar Senen 7:34発→Tanjung Priok 7:55着
 klb kp/13438(営業) Tanjung Priok 9:45発→Kemayoran 10:05通過→Pasar Senen 10:05通過→Jatinegara 10:14通過→Bekasi 10:29通過→Cikampek 11:20通過→Cikaum 11:49着/12:20発(※1)→Cirebon 13:48着(※2)
  ※1:運行日直前にCikaum駅の廃車車両で火災が発生したため停車取りやめ、徐行で通過
  ※2:Cikaum駅の停車が取りやめになったため、13:05頃到着(約40分早着)

Duri駅に入線する、Tanah Abang発Tanjung Priok行き(Pasar Senenでスイッチバック)の送り込み回送列車。見慣れた環状線の通勤電車が行き交う中、見慣れない車両が通過する。その名は「KERETA ISTIMEWA」(インドネシア語で「特別車両」の意味)。
Duri駅に運転停車中。
Pasar Senenで折り返して、Rajawali付近の路線別複々線区間を行く「KERETA ISTIMEWA」。
「KERETA ISTIMEWA」は車体がジョイフルトレイン仕様として大幅に改造されている。一方、床下機器は原形を留めている(エンジンは製造時よりカミンズ製)。

Rajawaliにて
RajawaliからTanjung Priok線へと入る回送列車。なお、Rajawali駅はTanjung Priok線側にはホームはない。
Tanjung Priok駅に到着。今回の団臨(貸切列車)の乗客の方々(計37名)が集まっていた。
Tanjung Priok駅で並ぶ、「KERETA ISTIMEWA」と元 東京メトロ6000系6105F。
同じくTanjung Priok線の運用に就いていた、元 東京メトロ05系02Fとの並び。
今回の団臨のために用意された、特製の横断幕。列車名は「KRD GUNUNG JATI EKSPRES」。
この横断幕の前で団臨乗客の記念撮影を行った。
「KERETA ISTIMEWA」の台車。コイルバネ台車で製造時のものをほぼそのまま使用している。
台車の銘板には「ND-216」の文字が刻まれており、日本車両製の台車であることが分かる。ただ、他の台車には異なるメーカーのものも使用されており、混用されている模様である。
ステップは1段で、Tanjung Priokの低床ホームではホーム側にも可搬ステップが用意された。各車両のドアは片側1ヶ所。

1号車の車両番号はK1 3 82 02。なお、車両番号はインドネシアの鉄道法規56号に従って、以下の法則で付番されている。

K1  82 02
*1  *2  *3  *4

*1:車両の等級を示す。K1=Eksekutif(エグゼクティブ)、K2=Bisinis(ビジネス)、K3=Ekonomi(エコノミー)
*2:車両の種類を示す。0=客車、1=電車、2=電気式気動車、3=液体式気動車
*3:車両の導入年(西暦)を示す。82であれば1982年導入。
*4:車両固有番号。
2号車の車両番号はK1 3 80 01。その隣の「THB」は所属表記(THB=Tanah Abang)。
1号車の車内の様子。乗降口より前位側はソファ席になっている。奥の大型テレビはリアルタイムな前面展望映像の放映のほか、カラオケが可能。
先頭部の展望席(パノラマキャビン)。2人掛け+2人掛けの座席が2列設置されている(着席定員8名)。
前面窓に投石除けの網が設置されていないため、前面展望は抜群。
展望席の座席。レッグレスト付きのリクライニングシート。
窓側の座席の前にはコンセントが設置されている。
運転台側から展望席を見たところ。車両名の「KERETA ISTIMEWA」の表記がある壁の背面には前述のカラオケ対応の大型テレビが設置されている。
運転台。客室が大幅に改装されているのに対し、運転台はほぼ製造時の仕様のままである。但し、速度計はGPS計測のLED式のものに変更されている(GPS式のため多少の誤差があり、停車中でも0kmにならないこともある)。
運転台の基本構造は日本国内向けの車両と類似している。運転台は右側。
前面窓の上部には前面展望用のビデオカメラが設置されている。
乗降口と、後位側を見たところ。
乗降口の脇に設置されている礼拝所。
礼拝所より後位側は機器室で、通路は片側に寄っている。車端部にはトイレ(洋式)が設置されている。
2号車の車内(乗降口より前位側)。会議も可能な長机と、キャスター付きオフィスチェアが8席設置されている。
奥には1号車と同様に大型テレビが設置され、前面展望映像の放映やカラオケが可能である。カラオケの機能は号車ごとに独立している。
2号車の展望席。1号車と同様の構造である。
2号車の乗降口より後位側の様子。展望席と同様のリクライニングシートが並んでいる。
2号車の車端部側に設置されているサービスカウンター。
貫通路。渡り板の上には赤絨毯が敷かれている。
Tanjung Priok駅を9:45定刻に出発!Tanjung Priok〜Ancol間の複々線区間を行く。沿線の至る所では現地の鉄道ファンが撮影しており、駅の警備員も列車に向けて敬礼したりと、まるで我々がVIPになったような気分を味わうことが出来た。
Ancol〜Rajawari間を行く。この区間は複線だが列車の本数も少なく、少しスラム街のような様相である。但し、初めて当方がこの区間に乗車した10年前と比較するとこれでも整備されたほうであり、10年前は片側の線路は放置され、単線運転を行っていた。
Pasar Senenを通過。なお、乗務員の方々のご厚意により、前面窓にビデオカメラを設置させて頂いた(全区間の前面展望ビデオを撮影)。
JatinegaraからCakungまではBekasi線の複々線の急行線(列車線)側を行く。この複々線は2019年4月12日に完成した。
Klender駅を通過。急行線側は非電化で、ホームはない。
Bekasi線を行く205系と離合する。
Cakung駅の東側で既存の線路と合流。なお、ここからBekasiまでも引き続き複々線化工事が進められている(工事は一時期中断されていたが、2019年より再開された)。
Cakung〜Kranji間で離合する205系。
乗務員室には3名が乗務し、3名とも終始キビキビと指差呼称を行っていた。
滅多に見れない前面展望を楽しむ乗客の方々。代わる代わる席を譲り合い、賑わっていた。
最後尾側の展望席。こちら側は乗務員(車掌)も1名で、乗客もまったりとした時間を楽しんでいた。
駅構内に機関車の廃車体が並ぶCikampek駅を通過。
電車・客車の廃車体が数多く置かれているCikaum駅を通過。この駅は2017年5月に訪問したが(その際の様子はこちら)、その後客車が追加で搬入され、2014年度廃車分の車両は解体される等の変化もあった。
なお、当初予定では30分ほど停車し、撮影時間が設けられる予定であったが、運が悪いことに運行日直前の2019年11月中旬にCikaum駅の廃車車両で火災が発生したため停車は取りやめとなり、徐行で通過することとなった。
103系の存在を車内から確認。そのほかの車両は手前に客車が追加で搬入されたため、見えづらくなった。
2014年度廃車車両が解体された後に搬入された、客車の廃車体。2019年11月中旬に大規模な火災が発生し、全車両が燃えてしまった。
火災の熱で大きく変形してしまった客車。
ここからは運行中の車内の様子を紹介する。車内では各種食事や飲み物が提供され、自由に飲食することが出来た。写真は1・2号車に置かれた野菜盛り合わせ(とうもろこしがハート形に配置されている)。
2号車のカウンターで提供された各種料理(一例)。
上写真:Daging Smoor(インドネシア風牛肉煮込み)
下写真:Nasi Bakar Ayam(インドネシア風鶏おこわ)
インドネシア鉄道グッズの物販会。非常に盛況であった(当方もCOMMETやタンブラーを購入)。
ジャカルタ鉄道ファンのカラオケの十八番である、Duo Anggrekの「Cikini Gondangdia」のPVを放映して盛り上がる。PV内で映るPKD(警備員)と共演する偽PKD。
なお、同歌の公式PVはYoutubeで視聴可能(こちら。205系の車内でロケが行われている)。
カラオケをノリノリで操作する偽PKD。インドネシアで最も有名な日本の歌である、五輪真弓の「心の友」のカラオケを流す。日本ではあまり有名な歌でないが、インドネシアでは知らない人がいないほど広く浸透している。
Tanjung Priok駅を発車して3時間強、車内での興奮冷めやまぬまま終点のCirebon駅に入線。
Cirebon駅に到着した「KERETA ISTIMEWA」。
Cirebon駅の駅舎。1912年に建設された風格ある駅舎である。
この後、オプショナルツアーでJatibarang製糖工場へと移動した。また、翌日にはKuninganにてパクアン急行様の結婚式が盛大に開催された。
2019年11月30日にTanjung PriokからCirebonまで運転された、特別列車「KERETA ISTIMEWA」による貸切列車の全区間前面展望。

この貸切列車はJABODETABEK COMMUTERS NEWS( http://krl.ldblog.jp/ )管理人のパクアン急行様によって、klb kp/13438列車としてTanjung Priok→Cirebon(Pasar Senen経由)で片道運行された。

貸切列車に使用された「KERETA ISTIMEWA」は日本車両製MCW302系一般形気動車の改造車で、巡察用気動車「Rail Two」を再改造して2019年9月28日(PT.KAIの74周年創立記念日)にデビューした車両である。同車両はPT.KAI初の民間人も利用できる特別列車で、日本人の団体向けに運行されるのは今回が初であった。車体は大幅に改造されている一方、床下機器は原形を留めている。エンジンは製造時よりカミンズ製。

途中駅は全駅通過(ノンストップ)。但し、廃車車両が積まれているCikaum駅では主催者の要請により徐行運転を実施している。通過する各駅の駅名の字幕を追加した。

主催者のパクアン急行様、及び関係者の皆様に心からお礼申し上げます。

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特別列車「KERETA ISTIMEWA」による貸切列車の走行の様子(Duri・Rajawali・Cirebonにて)。貸切列車の回送区間で撮影。

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