廃車車両の墓場 Cikaum駅

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Jakarta Kota駅から115km、Cikampek-Cirebon線(和名:ジャワ北幹線)の休止駅であるCikaum(チカウム)駅。この駅には2017年6月現在、162両もの廃車車両が打ち捨てられており、そのうち126両が日本からの譲渡車両である。

この駅には2014年度廃車分の72両(全車両が日本からの譲渡車両)と、2016年度廃車分の90両(うち、日本からの譲渡車両:54両、Rheostatic:14両、HITACHI:4両、KRL-I:8両、客車:10両)が廃棄されている。廃棄物処理体制が不十分であるためか、廃車後は解体されることもなく、車体と台車、床下機器が分離された後、車体は数段に積まれた状態で置かれ、物悲しい姿を晒している。

なお、電車の廃車体はPurwakarta駅構内及びDepok基地内にも廃棄されている。

※駅係員の許可を得て撮影(撮影前に駅係員に許可を取る必要あり)

Cikaum駅の駅舎。当駅は休止駅で、現在は停車する旅客列車は皆無(一部貨物列車の退避は行われている)。
駅舎の向こうから、早速103系やRheostatic等の廃車車両がお出迎え。
駅舎を抜けると目に飛び込んでくる、おびただしい量の廃車体。Cikaum駅は4面4線の構造(うち、中央2線が本線(複線)、両端が副本線)。東西に貫く線路に対して南側に駅舎、北側に廃車体がある。

廃車体は2つの「山」を形成しており、駅舎から見て左側(西側)にあるのが、2016年度廃車分の90両の車体である。
駅舎から見て右側(東側)にあるのが、2014年度廃車分の72両分の「山」。
Cikaumの駅名標と低床のホーム、そして廃車体。
2016年度廃車分の90両の全景。
2016年度廃車分の車両群を東側から西側へ順に観察。東側の端には103系やRheostaticが車体2段重ねで並ぶ。
Rheostaticの屋根上には、積み上げる前に取り外された床下機器が無造作に置かれている。
西側に順に移動。東京メトロ5000系(66F)や東京都交通局6000形(6281F・6201F)、HITACHI、そして最上段に客車が並ぶ。
まるでテトリスのよう。下段の一部は外された台車に阻まれて見えない。
2016年度廃車の「山」の西側の終端部。上から東葉高速鉄道1000形(1060F)、東急8000系(8039F、但し8039は元8007の改番)、東京都交通局6000形(6278、6121)、Rheostatic、東京メトロ5000系(66F)が並ぶ。
西側端の上段の角を1060が陣取る。
山の一角とはならず、西側の端に並べられているKRL-I。インドネシア初の自国設計の電車として2001年に鳴り物入りで導入されたが、わずか10年強で運用離脱し、全8両がこうして廃車となってしまった。
Cikaumの廃車体の中では最も製造から日が浅いKRL-Iと、その奥に聳え立つ廃車体の山。今はただ、本線を通過する列車を見守っている。
西側の端から廃車体全体を眺める。
廃車体を間近から眺める。3段重ねの廃車体は近くで見ると圧巻であるとともに物悲しい。車両の前面・妻面には車両番号と廃車の通し番号がスプレーで記されている。
外された台車も積み重ねられている。元の車両形式も台車枠にスプレーで書かれている。
再利用の必要もない銘板類は取り付けられたまま。
5363の車内の様子。座席は外され、一部のモケットは車内に放棄されている。
5816の車内の様子。66Fは2012年に「Djoko Vision」として車内にLCDが設置されたが、廃車時にLCD本体は外され、枠だけが残る。また、一部の手すりや網棚、つり革は外され、シートモケットも車内に散乱している。
5816の乗務員室。
行先表示器もそのまま残されている。
運転台。速度計やマスコン類は外されている。
5816の前面車両番号銘板。
元JR東日本武蔵野線の103系E22編成。E21編成・E22編成は2014年5月の4度目の塗装変更でKCJ標準色となったが、2015年12月に引退した。JR東海風カラーのままのE20編成・E27編成を含めた全4編成16両がここCikaumに並べられている。
103系E22編成を東端に並ぶ廃車体の山。
103系E20編成は台車の山の奥に埋もれていた。前面の方向幕は「むさしのドリーム 府中本町」を表示した状態のまま残されている。
2014年度廃車分の72両の全景。
2016年度廃車の車両は大半が車両の老朽化により廃車された車両であるが、2014年度廃車の車両は機器故障や事故廃車、車両余剰等によって廃車となったものが多く、車齢が比較的若いものが多い。車両の割合は東京メトロの車両が多く(6000系、7000系(中間車のみ)、05系)、その他に東急8500系8613F「JALITA」、203系の中間余剰車等が加わる。
3段積みされた2014年度廃車群。2016年度の廃車車両がこの地に来るまで、2014年度の廃車車両群は積まれずに全車両が地面に直置きされていたが、2016年度廃車車両群も置く際にスペースの都合上、移設・重ね積みが行われた。廃車体の手前には大型クレーンが移動した際に出来た溝が刻まれている。
線路側に面を向ける05系07F、6000系12F、8500系8613Fの先頭車。いずれもジャカルタでの活躍期間は短く、事故や機器不調によって早期廃車となってしまった。
05-007。2012年10月4日に発生したCilebut駅での脱線事故により、車齢は若いにも関わらず廃車となってしまった(一時期は車両復活の方向で整備が進められていただけに無念である)。この編成がKRL JABODETABEKに渡った05系で初めての編成単位での廃車となった。
他の廃車体と異なり、線路と平行方向に置かれた東京メトロ6000系・7000系、JR東日本203系の廃車体7両。
東側の端から廃車体全体を眺める。
東京メトロ6000系の廃車体の上に打ち捨てられた床下機器。
台車の山。
Cikaum駅を通過する列車。複線の幹線である故、列車本数は多い。なお、休止駅であるものの列車通過時には接近チャイム(ウエストミンスターの鐘)が流れる。
現在Cikaum駅に停車する列車はないため、ジャカルタからCikaum駅へ向かうには一度、東側の隣駅のPegaden Baru駅まで行き、そこからオジェック(バイクタクシー)で向かうのが最も所要時間が短い。Pasar SenenからPegaden Baruまでの所要時間は片道2時間弱。但し、Pegaden Baru駅に停車する列車は2017年6月現在、1日4.5往復しかないので注意が必要である。

写真はPegaden Baru駅。
Pegaden Baru駅に到着した、Pasar Senen発Surabaya Gubeng行きの「Gaya Baru Malam」号(列車番号:KA174)。
「Gaya Baru Malam」号の車内から撮影した、Cikaum駅通過中の車窓。
Cikaum駅の近辺は、のどかな田園風景が広がっている。
Pegaden Baru駅からCikaum駅へはオジェック(バイクタクシー)で30分程。最初は幹線道路沿いに走るが途中から脇に逸れてデコボコ道を走り、有料の吊り橋(通行料1,000ルピア)も渡る。この橋を渡ると、Cikaum駅はもうまもなくである。なお、この吊り橋は自動車は通行不可。
駅構内に3段重ねで廃車体が積み上げられているCikampek-Cirebon線(ジャワ北幹線)のCikaum駅の構内を車内から見る。駅構内に留置されている廃車両数は162両。

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