T3型・T3SUCS型は1号線万景台(松山)〜平壌駅 間の輸送力増強のため2008年に導入された車両である。全車両がCKD
TATRA製。 新製車両ではなく、チェコのPraha(プラハ)で使用されていた車両を購入した。1967年〜1987年に製造された車両で、20両が譲渡された。購入価格は全20両で1,300万コルナ(CZK)。2年間のメンテナンスサービスも行われたとのことである。 譲渡された車両の内訳は、プラハ市電時代の車両番号6710、6825、6889、6964、7040、7045、7069、7072、7073、7092、7096、7097、7104、7106、7107、7136、7206、7207、7216、7223(計20両)。6000番台の車両がT3型、7000番台の車両がT3SUCS型である。T3型とT3SUCS型はバンパーの形状が異なるが、その他外観や性能・内装はほぼ同一。 T3型は1960年〜1989年に製造され、旧ソ連圏(東側諸国)の約50都市で運行されている。総製造両数は14,113両(制御電動車13,991両+付随車122両)で、世界で最も多く製造された路面電車の車両である。運転台は片側、扉は進行方向右側のみに設置されている。3扉車で中央の扉が乗車用、両端の扉が降車用である。車内はオールクロスシートで、両側1人掛けの配置。車両寸法は長さ14,000mm(連結面間15,200mm)×幅2,500mm×高さ3,050mm。最高速度は65km/h。抵抗制御。 1号線万景台(松山)〜平壌駅 間(松山-平壌駅軌道電車)で運用に就いている。車両番号は1178〜1204(一部欠番)で付番されている(付番は元の車両番号順ではない)。塗装はプラハ市電時代から変更されていない。2両固定編成で運行されており、2両目は前照灯などを撤去し、付随車扱いとしている(パンタグラフ・運転台・モーター等は存置されている)。また、2両目は遅くとも2018年までに全車両が改番され、先頭車の車両番号から1000を引いた数字となった(例えば改番前は1178号車+1179号車で組成された編成は、改番後は1178号車+178号車となった)。 関連ページ:「【鉄道模型】平壌市軌道電車−T3SUCS」 |
西城通りを行く1185+1186。製造年は自社発注のKT8D5K型・T6B5K型・KT4K型よりも古い。バンパーの形状の差異から、先頭(1185)がT3SUCS型・2両目(1186)がT3型であることが分かる。 | |
1199+1200。タトラカーの代表格であるT3型が平壌市内を颯爽と走る。世界で最も東側で運行されているT3型である。日本の土佐電鉄にも一時期、元プラハ市電T3型の6319が存在したが、1度も土佐電鉄で走ることなく2006年に解体された。 平壌駅前にて | |
車両の右サイド(公式側)。4枚折戸が進行方向右側に3箇所設けられている。 | |
車両の左サイド(非公式側)。 | |
車両の後位側。片運転台車で、後位側には運転台はない。 | |
1197(元プラハ市電7092)の車内の様子。クロスシートが1+1人掛けで展開している。着席定員は23、立席定員は87。広告が一切ないほかは、プラハ市電時代と変化はない。この車両は1985年製。 | |
座席はFRP製。 | |
各車両には「英雄席」と「戦争老兵席」が設けられている。 | |
「軍人・栄誉軍人席」。各車両に設置。 | |
ドア。4枚折戸の自動ドア。中央の乗車用扉の両側には運賃箱が設置されている。 | |
運賃箱。運賃を直接投入するか、回数券「市内車票」を投入する。 | |
換気用の天窓。 | |
乗務員室の仕切り。 | |
運転台。運転台にはマスコンはなく、加減速共に自動車同様の足踏みペダル式(CKD TATRA社の路面電車では標準仕様)。 | |
運転台のコンソールのボタンにはチェコ語表記がそのまま残されている。コンソール上部には「無事故」と書かれたハングル(チョソングル)切り抜き文字が追加された。 | |
乗務員室内の前面窓の上には「松山-平壌駅軌道電車安全運転指示票」が掲示されている。方面別に各地点通過時の注意事項が細かく記載されている。 | |
車両最後尾。運転台はなく立席スペースとなっている。 | |
1197の最後尾から見た、後ろに連結されている1198。連結間には屋根上と前面窓下の2箇所でジャンパ栓が接続される。 | |
2008年にプラハ市電より20両を購入したCKD TATRA製T3型電車が、プラハ時代の塗装そのままに平壌で活躍する。 HD Video |