ブエノスアイレス地下鉄 D線
Subte de Buenos Aires - Linea D / Buenos Aires Metro Line D


Tweet

ブエノスアイレス地下鉄D線はCatedral(カテドラル)〜Congreso de Tucumán(コングレソ・デ・トゥクマン)間16駅10.4kmを結ぶ路線である。全区間地下。全区間複線(左側通行)で、架線集電方式による直流1,500V電化。軌間は1,435mm(標準軌)。車両基地はScalabrini Ortiz駅の北西側にあるTaller-Cochera Canning(Canning基地)の1箇所で、地下にある。

1937年6月3日にCatedral〜Tribunales間、1938年3月29日にTribunales〜Callao間、1938年6月10日にCallao〜Facultad de Medicina間、1938年9月5日にFacultad de Medicina〜Agüero間、1938年12月29日にAgüero〜Plaza Italia間、1940年2月23日にPlaza Italia〜Palermo間、1987年12月29日にPalermo〜Ministro Carranza(仮駅)間が開通し、1993年12月1日にMinistro Carranzaが仮駅から常設駅に移動(0.2km延伸)した。その後、1997年5月31日にMinistro Carranza〜Olleros間、1997年11月13日にOlleros〜José Hernández間、1999年6月21日にJosé Hernández〜Juramento間、、2000年4月27日にJuramento〜Congreso de Tucumán間が開通した。

列車は終日6両編成で運転される。車両は、Alstom製のSerie 100(100型)、Alstom製のSerie 300(300型)、Fiat Diesel Materfer・Fabricaciones Militares製の車両(現地での呼称は「Fiat-Materfer」)が使用されている。
Serie 100は2001年〜2009年にかけて6両編成16本(96両)が導入された。IGBT-VVVF制御車で、装置はAlstom製。ブラジルのSão Paulo(サンパウロ)及びアルゼンチンのLa Plata(ラ・プラタ)のAlstomの車両工場で製作された。ブエノスアイレス地下鉄初のステンレス製車両で、戸袋窓が設けられている。A線での使用も考慮して電圧を直流1,100Vと直流1,500Vに切り替えることができる複電圧車であるが、A線での使用実績はなく、現在のところD線専用の車両である。

Serie 300はH線で運行されている車両と同一仕様で、D線では2017年より運行している。

Fiat-Materferは当時のブエノスアイレス地下鉄の標準車として開発された車両で、1980年〜1988年に導入された。現在、D線では6両編成10本(60両)が運行されている(同形式はA線でも運行されている。最初期にはE線でも運用実績あり)。電機子チョッパ制御車で、制御装置はAEGもしくはSiemens製。

(路線図:管理人制作)

2001年〜2009年にかけて導入されたSerie 100。Alstomが展開する標準型地下鉄車両「Metropolis」シリーズの一員だが、ビード付き軽量ステンレス車、非冷房車であること等が他都市向けの仕様と異なる。戸袋窓が設けられているのも珍しい。前面の行先表示器はマグサイン式。

José Hernándezにて
後期車は行先表示器がLED式に変更された。

José Hernándezにて
車体側面に設置されているAlstomの製造所銘板。
Serie 100の車内の様子。4扉車で、扉間は5人掛け。非冷房車のため天井にはファンデリアが設置されている。
貫通路。
先頭車の車内。乗務員室仕切りには窓は設けられていない。
3号車と4号車の連結面には簡易運転台が設けられており、前照灯・尾灯も設置されている。貫通幌は接続されているが、非常時を除いて3・4号車の間は通り抜けできない(貫通幌の形状も、他の連結部とは異なる簡易的なものである)。
3・4号車間の連結面。この部分のみ貫通扉が設置されており、通常は閉鎖されている。
車体更新車。冷房を搭載し、車内照明をLEDに換装した。2015年2月に更新されたB編成を皮切りに、その他の編成も順次更新されている。

José Hernándezにて
更新車の車内の様子。車内照明がLEDに交換され、座席のモケットも涼しげな水色に更新された。天井には空調の吹出口が設けられ、替わりにファンデリアは撤去された。天井高さは更新前よりやや低くなっている。
「Fiat-Materfer」。電機子チョッパ制御で、制御装置はAEGもしくはSiemens製。A線で運行されているものと同一仕様であるが、A線が5両編成であるのに対し、D線のは6両編成である。

Facultad de Medicinaにて
Fiat-Materferのトップナンバー車である「1A」。

José Hernándezにて
風前の灯火のFiat-Materferの旧塗装編成。

Facultad de Medicinaにて
Tribunales駅を発車するFiat-Materferの旧塗装編成。
Fiat-Materferの旧塗装編成の側面。登場時はすべてこの塗装であったが、現在はMetrovías標準色に大半が塗り替えられている。また、一部は地下鉄開業100周年記念塗装になっている。
Facultad de Medicina駅のホーム。C線とほぼ同時期(1930年代)に開通したため、ホームの様子は類似している。
ホームのLED式案内表示器。次の列車到着までの残り時間や発車時刻等を表示する。
ホームの床に貼られている「いつも黄色い線の後ろでお待ちください」(ESPEREMOS SIEMPRE DETRÁS DE LA LÍNEA AMARILLA)の表示。
Ministro Carranza駅の出入口。写真左奥がMitre線のMinistro Carranza駅で、乗換え距離は短い。
終点のCongreso de Tucumán駅。ホームには国立歴史博物館やブエノスアイレスの複数博物館が寄贈した芸術品や歴史的オブジェが飾られている。同様にOlleros駅とJuramento駅も芸術品や絵画、1982年のフォークランド紛争で撃沈された巡洋艦「ARA General Belgrano」の記念品等が展示されている。
前面の行先表示器がマグサイン式であることが前期車の特徴。一部はブラジル製である。IGBT-VVVF制御。

Full HD Video
後期車は前面の行先表示器がLED式に仕様変更されている。IGBT-VVVF制御。

Full HD Video
2015年2月より冷房を搭載し、照明をLEDに換装した更新車が登場した。車端部に冷房装置が新設されているのが確認できる。最初に更新されたのはB編成で、その他の編成も順次更新されている。

Full HD Video
1駅間の車内の様子。IGBT-VVVF制御で、制御装置はAlstom製。車体は上半分が絞られている。

Full HD Video
Serie 100と共にD線で運行されるFiat Materfer。電機子チョッパ制御。

Full HD Video

D線の駅の出入口
円形の「Subte」マークの色は、ラインカラーに合わせてある。

Callaoにて

「ブエノスアイレス地下鉄」に戻る

Tweet