フィリピン国鉄(PNR)元 JR東日本・JR九州12系客車

Tweet

12系客車は日本国有鉄道(国鉄)時代の1969年〜1978年に製造された客車で、計603両が製造された。製造会社は新潟鐵工・富士重工・日本車両。国鉄分割民営化時にJR東日本に219両、JR東海に43両、JR西日本に250両、JR四国に10両、JR九州に79両(全社計601両)が継承された。車体は鋼製。

このうち、JR東日本とJR九州の車両の一部がフィリピン国鉄に譲渡された。JR東日本からは2000年に16両(青森運転所(現:青森車両センター)所属車)、2001年に10両(高崎運転所(現:高崎車両センター)所属車)が譲渡された。また、JR九州からは2003年に熊本運輸センター(現:熊本車両センター)所属車の10両が譲渡された。

現地にて投石対策の金網やドアの手動化、塗装の一部変更等の各種改造が施され、車両番号はJR東日本からの車両は7A-2006〜7A-2031、JR九州からの車両はNR-01〜NR-10として現地改造竣工順に再付番された。2001年よりMetro Commuter(Commex)区間及び「Bicol Train」で営業運転を開始したが、整備不良が著しく、外板は投石や車体の腐食により無残な姿となり、車内も整備がされず退廃してしまった。2003年からは早くも順次運用離脱が始まり、2012年に最後まで残っていたTutuban〜Biñan間1往復の運用が203系に置き換えられ、Metro Commuterでの運用は終了した。

一方、Nagaに配置されていた5両は2009年に外観・内装が大幅にリニューアルされた。車体の塗装は白地にオレンジ帯となり、裾が床下方向に延長された。車内はカーテンや座席の枕カバーが新品に交換され、デッキ・トイレの内装が白色に塗装された。車両番号もCAR-1〜CAR-5と再付番。Bicol地方の普通列車の他、夜行列車「Bicol Express」の座席車としても使用された。現在、Bicol地方の普通車両はキハ52形・キハ350形・203系に置き換えられ、「Bicol Express」も2012年10月より運休中のため、定期運用はない。

その他、一部がInspection Car(事業用車)に再改造された。

※Tutuban駅構内での写真はすべて許可を得て撮影。

2012年7月、Tutuban〜Biñan間で最後の活躍をしていた12系客車「Commex」。4両編成。末期は朝・夜の1日1往復で運行されていた。

Tutubanにて
スハフ12 116(フィリピン国鉄車両番号:7A-2006)の外観。投石や腐食により満身創痍だが、これでも当時は現役であった。
スハフ12 111(フィリピン国鉄車両番号:7A-2007)と、整備中の203系。
スハフ12 116の車内。モケットは剥がれかけ、一部は修繕されている。元々1ボックス4人掛けで設計された座席であるが、マニラでは非常に混雑するため、乗客は6人掛けとして使っていた。
デッキ。貫通路上には「STRICTLY NO ROOF RIDERS」(屋根上乗車厳禁)の掲示。
くずもの入れも残っていたが、実際に使用して良いのかは不明。
トイレ。水は流れず、防犯上のためか鍵もかからない。
洗面所。洗面器は撤去されている。
オハ12 374(フィリピン国鉄車両番号:7A-2029)の車内。背面のモケットは青地であるが、座面は交換されてバラバラである。
車端部の「オハ12 374」の車両番号表記。
一部は座面が撤去されていた(紛失?)。
オハ12 374のデッキ仕切り。
貫通路。幌はない。
オハ12 233(?)の車内。背面のモケットは灰色。
蛍光灯はほとんど取り外されている。冷房装置はついているものの、どの車両も使用していない。
オハ12 233(?)のデッキ仕切り。車端部の車両番号表記欠落。
スハフ12 111の車内。
スハフ12 111のデッキ仕切り。
スハフ12 111の片側の車掌室の妻窓は鉄板で塞がれていた。
もう片方の車掌室。窓にガラスがない。
配電盤の計器は多くが欠損していた。
残存するドアコック位置表示板。
2016年1月現在、運用を外れた車両の大半はCaloocan工場付近に留置されていた。
比較的良好な状態で保たれている12系客車。車両番号不明。
2009年に5両がリニューアルされた。裾部が床下方向に延長されているのが特徴。写真の「CAR-1」は青地塗装となっている(他の4両は白地にオレンジ帯)。
延長された裾部の内側。台車と干渉しないよう、台車部分のみ裾部に切り欠きがある。
「Bicol Express」に連結されるCAR-2。12系リニューアル車の竣工時標準塗装である。行先表示窓・便所窓にはルーバーが取り付けられた。

Tutubanにて
未更新車の7A-2006(スハフ12 116)と、リニューアル車のCAR-2の並び。

Tutubanにて
CAR-2の車内。カーテンや座席の枕カバーが新品に交換されている。「Bicol Express」の座席車として運用されていた。
Tayuman基地に留置される、JR九州からの譲渡車両(元車両番号不明)。現地での車両番号は「NR-05」。
妻面の検査表記。JR九州出身の証である「小倉工」の表記が残る。
NR-05の側面。塗装は現地で変更され、「NORTH RAIL」の文字が確認できる。この車両は元々North Rail(現在休止中)で使用される予定の車両として、2003年頃にフィリピン国鉄に譲渡された。しかしながら、North Railの復活を待つことなく休車となり、ほとんど営業運転に供されることはなかったと思われる。
車両番号の「NR」はNorth Railに由来。
同じくJR九州からの譲渡車のオハフ12 136(フィリピン国鉄車両番号:NR-09)。Tayuman基地の倉庫として使用されている模様。
Tutuban駅構内の西側で営業している、12系客車改造の眼鏡店。「The "EYE" Train」と記されている。元車両番号不明。

「フィリピン国鉄(PNR)−日本からの譲渡車両」に戻る

Tweet