フィリピン国鉄(PNR)元 JR東日本キハ52形

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キハ52形はキハ20形の勾配線区仕様(2エンジン車)として、旧国鉄時代に本州・四国・九州のローカル線に導入された車両である。1958年〜1962年に0番台56両、1962年〜1966年に100番台56両が製造された。車両寸法は長さ21,300mm×幅2,928mm×高さ3,925mm。最高速度は95km/h。車体は普通鋼製。

このうちJR東日本新津運輸区に配置されていた7両(キハ52 102、120〜123、127、137)が、2011年にフィリピン国鉄に譲渡された。新津運輸区配置の車両は、カミンズ製エンジンに換装されており、羽越本線・磐越西線・米坂線で使用されていた。後継のキハE120形の導入に伴い、2008年より置き換えが開始され、2009年3月14日のダイヤ改正をもって全編成が定期運用から離脱した。一部の車両が団体・臨時列車として運行された後、2011年8月3日付で全車両が廃車となり、新潟東港から輸出された。なお、この7両がJRに最後まで在籍していたキハ52形である。

フィリピン国鉄では、編成固定の3両編成で使用されている。2011年12月より営業運転を開始し、キハ52 122+キハ52 127+キハ52 137で構成される3両(国鉄色)はTutuban〜Alabang間のMetro South Commuter(MSC)での運用に就いている、また、キハ52 102+キハ52 120+キハ52 121の3両はBicol地方のNaga〜Sipocot間37.1kmを結ぶ列車として使用されていた。フィリピン国鉄では前者を「Kiha Orange」、後者を「Kiha Blue」と呼んでおり、それぞれの編成の車体色に由来する。キハ52 123は現在は休車(部品供出車)となっている。投石対策としてすべての窓に金網が設置され、金網設置が不可能であるドアの窓は鉄板によって塞がれた。

キハ52 122+キハ52 127+キハ52 137(Kiha Orange)はキハ52 122の車軸が乗客の重みで折れた影響で2014年頃に運用を離脱し、Caloocan工場で長らく修理をしていたが、2017年7月より約3年ぶりにTutuban〜Alabang間での営業運転を再開した。但し、従来は自走であったが、復帰後は機関車牽引に変更されている。2018年には再度運行が中止された。

2019年6月8日からはキハ52 122が単行・自走でNorth Rail(Tutuban〜Gov. Pascual間)で営業運転を開始した。自走での営業運転は約5年ぶり、単行での運転はフィリピン国鉄譲渡後は初である。2019年7月現在、キハ52 122はフィリピン国鉄で運行している唯一のキハ52形である。

一方、キハ52 102+キハ52 120+キハ52 121(Kiha Blue)は2016年2月頃よりエンジン故障により営業を中止している。

関連ページ:「【鉄道模型】フィリピン国鉄(PNR)−元 JR東日本キハ52形」

編成 ←Tutuban Legazpi→
Kiha Orange キハ52 137 キハ52 127 キハ52 122
Kiha Blue キハ52 102 キハ52 120 キハ52 121
(休車) キハ52 123
※2017年11月現在

Metro South Commuterの運用に就く、キハ52 122+キハ52 127+キハ52 137の3両編成。国鉄色のまま活躍している。

Pandacanにて
Blumentritt駅に停車中のキハ52形。
非冷房車のため、前面の貫通扉は雨の日以外は開放して運行されることが多いようである。また、側面のドアも半自動(開けるときは手動で、閉まるときは自動)であるが、車内が暑いためかドアを手で押さえて閉まらないようにしている乗客もいた。

Pandacanにて
Tutuban基地の脇を通り、Tutuban駅に入線するキハ52 122+キハ52 127+キハ52 137の3両編成。
EDSA駅付近を行くキハ52。雨のため、先頭車前面の貫通路を閉めて運行していた。貫通扉にはPNRのロゴマークが追加されている。

Nichols〜EDSAにて
雨のEDSA駅に停車中のキハ52。最後尾の車両は雨が吹き込むことが少ないためか、前面の貫通扉を開けている。
豪雨のBlumentritt駅に停車中の、Tutuban行きのキハ52。
Tutuban駅で、Bicol Express運用に就く元 寝台特急「北陸」用の14系客車と並ぶ。
203系や14系客車に囲まれて、Tutuban駅に停車中のキハ52。
Tayuman基地にて小休止する。
側面の日本語表記はそのまま残っており、車両番号も変更されていない。各車両の車両番号表記の上にはPNRのロゴマークが追加された。
所属表記や定員表記等も存置されている。
ドア周り。キハ52は元々1段ステップがついているが、フィリピン国鉄のコミュータートレイン運行区間は一部の駅を除いて高床ホームのため、車両側のほうが一段低くなる段差が生じている。
車内の様子(3・4位側から1・2位側を見たところ)。側面のドアの窓を鉄板に交換し、すべての側窓に金網が設置されたほかは、大きな改造は行われていない。
ここが大都会・マニラであることを忘れてしまうような、ノスタルジーな雰囲気である。
車内の様子(前位側から後位側を見たところ)。
なお、キハ52は乗務員室付近のトイレの設置(4位側)の関係で、ドア付近の座席配置が前位側と後位側で異なる。
ドア。JR時代と同様、半自動ドアとして使用されている。ただ、ドアの幅が狭いため、両開きドアのDMR1と比べると乗降に時間を要しており、非常に混雑するラッシュ時間帯では、他の列車よりも遅延が発生していた。
優先席のモケットや、窓のステッカーもそのまま残されている。
ボックスシート。12系客車とは異なり、メンテナンスされている。
後位側(トイレ設置側)の妻面。なお、トイレは閉鎖されている(便所使用知らせ灯は常に点灯している)。
前位側の妻面。乗務員室の遮光幕は原則すべて下ろされて運行される。
連結部。
車内の車両番号プレートもそのまま残されている。
キハ52 122+キハ52 127+キハ52 137(Kiha Orange)はキハ52 122の車軸が乗客の重みで折れた影響で2014年頃に運用を離脱し、Caloocan工場で長らく修理をしていたが、2017年7月より約3年ぶりに、機関車牽引方式でTutuban〜Alabang間にて営業運転を再開した。なお、2018年には再び営業運転を休止した。

Blumentritt〜Tutubanにて
塗装は2017年11月時点でも国鉄色を保っている。機関車牽引方式でも車内照明や自動ドア等に電源が必要であるため、エンジンは稼働している。
Tutuban駅構内に留置されているキハ52 122+キハ52 127+キハ52 137(Kiha Orange)。機関車牽引方式となったことで、連結器の両側に連結開放防止用の鎖が設置された(同様の鎖は203系にも設置されている)。

※フィリピン国鉄職員同行の下、許可を得て撮影

Tutuban駅構内にて203系と並ぶキハ52 122+キハ52 127+キハ52 137(Kiha Orange)。キハ52形は毎日定期運用があるわけではなく、予備的に使用されている。

※フィリピン国鉄職員同行の下、許可を得て撮影
2019年6月8日からは、キハ52 122が単行・自走でNorth Rail(Tutuban〜Gov. Pascual間)で営業運転を開始した。マニラの高層ビル群をバックに堂々と走る。同区間ではキハ350形と共通運用されている(2019年7月現在)。

Tutuban〜Solisにて

South Railとの共用区間を行く、Gov. Pascual発Tutuban行きのキハ52 122。自走での営業運転は約5年ぶり、単行での運転はフィリピン国鉄譲渡後は初である。連結器の両側の連結開放防止用の鎖(機関車牽引時用)は存置されている。

Solis〜Tutubanにて
Bicol地方のNagaに所属する、キハ52 102+キハ52 120+キハ52 121の3両編成。Naga〜Sipocot間で1日2往復運行されていた。自走ではなく、機関車による牽引である。なお、2016年2月頃よりエンジン故障により営業運転を中止し、2016年6月より当区間は代替でキハ350形が運用に就いている。
写真のキハ52 102はJR東日本時代に前面に補強板が設置された。

Nagaにて
Nagaに停車中のキハ52 121以下3両編成。塗装は2012年7月に旧新潟色からブルートレイン風塗装に変更された。
キハ52 121の車両番号表記。
キハ52 102の車内。Bicol地方で活躍する3両のうち、唯一ドア間のボックスシートが原形の12組を保っている車両である。Tutuban寄り先頭車。
キハ52 102の前位側車端部。JR東日本時代末期に増設された、助士席側のプラスチック製仕切り板も残存している。
キハ52 120の車内。キハ52 120・121は混雑対策で、JR東日本時代にドア間のボックスシートの数が12組から8組に削減され、ロングシート化された。ドア窓は投石対策でどの車両も鉄板で塞がれている。
キハ52 120の車端部。JR東日本時代に車端部もロングシート化された。
編成固定であるためか、中間車扱いであるキハ52 120の貫通路部分には旧新潟色が残っていた。
キハ52 121の車内。Legazpi寄り先頭車。
キハ52 121の車端部のトイレ。施錠されておらず使用可能だが、水が流れるかは不明。
Naga駅出発前のキハ52 121の車内の様子。1日2往復の運行で、マニラ程の混雑ではないが、すべての座席が埋まり立客も出るほどの混雑率である。
Mambulo駅に停車中の、Sipocot行き列車。Sipocot駅以外の駅はホームが低床式のものか、ホーム自体もなく、乗降に時間を要している。
Naga出発から1時間で、終点のSipocot駅に到着。
Sipocot駅は2009年12月の運転再開に合わせてホームが高床化された。
Sipocot駅にて機回しを行うディーゼル機関車。
復路のNaga行きのキハ52形。

Libmananにて
Libmanan駅のホーム。地方都市で1日2往復しか列車はないにもかかわらず、非常に混みあっている。
Pamplona駅に停車中のNaga行き列車。
黄昏時の空の下、Naga駅に戻ってきたキハ52形。
線路内を人が歩いていたり、線路を無許可で走行・営業するトロリーが多数あったりするため、常に警笛を鳴らしながら走行する。

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非冷房車で車内が暑いため、前面の貫通扉を開けて運行している。また側面のドアも半自動扉だが、閉まらないように乗客がドアを押さえている箇所もある。

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10km以上に亘って続く直線の区間を行く。線路は緑化している。

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雨のEDSA駅を発車するキハ52。多くの乗り降りがある。

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終点のTutubanに向けて発車していく。奥に見える高架はマニラLRT1号線の軌道・駅舎で、その直下にある踏切は非常に交通量が多い。

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Tutuban駅に入線する、国鉄色のキハ52形3両編成(キハ52 122+キハ52 127+キハ52 137)。元JR東日本新津運輸区所属の車両である。

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Tutuban駅を発車する、Alabang行きのキハ52形3両編成(キハ52 137+キハ52 127+キハ52 122)。車両番号や所属表記もJR東日本時代のまま残存している。

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1駅間の車内の様子。「キハ52 137」の車両番号プレートや、禁煙のステッカー等はそのまま残されている。1:50付近で、対向列車のDMR1と離合する。3:35以降はTutubanの機関区内を走行し、部品供出車のキハ52 123(新潟色)、改造待ちの203系、留置中の12系客車やDMR1を車窓から望みながら終点のTutuban駅に到着する。

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1駅間の車内の様子。元々キハ52は急勾配のローカル線区向けに開発・使用された車両であるため、大都会のマニラを行く姿は少々違和感がある。

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2駅間の車内の様子。車内はノスタルジーな雰囲気であるが、車窓からは大都会マニラの景色が広がる。軌道状態はよくないため、揺れが大きい。ドアはJR時代と同様に半自動(開けるときは手動、閉まるときは自動)である。ホームが高床のため、車両側の方が低くなっている。

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1駅間の車内の様子。Bicol地方のキハ52形はNaga〜Sipocot間37.1kmを朝夕の1日2往復運行されている。3両編成の車内は発車前に満席となり、混雑している。車両老朽化のため現在はディーゼル機関車牽引で運行しており、サービス電源確保のためキハ52形側のエンジンも回している。列車の最高速度は運転台のメーターを見た限り約70km/h。
車掌3名とエンジニア2名が乗車し、車掌は発車後検札を行う。

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2019年6月8日よりNorth Rail(Tutuban〜Gov. Pascual間)にて営業運転に復帰したキハ52 122。単行運転を行っている。フィリピン国鉄にわたったキハ52形の自走での営業運転は久々であり、単行運転は初である。
2019年7月現在、North Railにてキハ350形と共通運用されている。

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JR東日本時代のキハ52 122。新潟色の頃のもので、2006年1月に国鉄色に変更された。

米坂線 坂町にて(2002年9月7日撮影)

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