平壌地下鉄凱旋駅 全面改修工事実施

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平壌地下鉄千里馬線の凱旋(ケソン)駅は2018年9月より全面改修工事を実施し、2019年5月1日にリニューアルオープンした。平壌地下鉄で全面改修工事が行われた駅は凱旋駅が初である。

凱旋駅は1973年9月6日に開業。今回の全面改修工事により駅舎、ホーム、通路等は内装材がすべて交換され、駅舎の外壁も改修された。また、ホームにはLED式案内装置やLCDが新設される等、乗客の利便性も向上した。照明の数も大幅に増やされ、駅内部は従前よりも圧倒的に明るくなっている。その他、乗客が見えない箇所では新しい換気装置も導入されたとのことである。

工事期間中は営業を休止し、全列車が通過または運転停車する措置をとった。

平壌地下鉄の他の駅も同様に順次改修工事が行われる予定である(凱旋駅の次は統一駅で全面改修工事が実施された)。

関連ページ:「平壌地下鉄 千里馬線」

■改修前
改修前の凱旋駅の駅舎外観。
凱旋駅の駅舎と駅前の様子。
凱旋駅の駅舎内・改札口。改札の奥にホームまで降りるエスカレーターがあり、エスカレーター乗り場の上には「偉大なる主体(チュチェ)思想万歳!」のスローガン。
(2014年5月撮影)
自動改札機更新後の様子(2018年8月撮影)。エスカレーター上のスローガンのデザインが変更された(スローガンの内容自体は変更なし)。
エスカレーター側から見た駅舎内の様子。
エスカレーター。他の駅と同様、壁に特に装飾はなかった。照明はエスカレーター本体に設置されているもののみ。
地下側のエスカレーター乗降場。通路の上には「全社会を金日成-金正日主義化しよう!」のスローガン。
通路の両側には商店や新聞・雑誌の売店がある。
商店の様子。
地下通路。
凱旋駅のホーム。1面2線で、ヴォールト構造(アーチ状の天井)を採用している。
凱旋駅に到着したプルグンビョル行き列車。
写真は2014年5月に撮影したもので、ホームの壁は緑色のタイルを使用。
凱旋駅に停車中の復興行き列車。
写真は2018年8月に撮影したもので、ホームの壁のタイルが交換されている。
ホーム上からの様子(2014年5月時点)。
ホームの様子(2018年8月時点)。壁のタイルの交換、監視カメラの設置等が行われた。
ホームの照明。シンプルなデザインのシャンデリアが設置されていた。なお、平壌地下鉄のパンフレットの写真と比較すると、以前は異なる形状の照明が設置されていた模様である。
壁面の駅名標。「凱旋駅」と書かれている。
「戦友駅←凱旋駅」と書かれた駅名標(同じく壁面に設置)。
凱旋駅のプルグンビョル方面ホームの壁画。題名は「民族の太陽 金日成将軍の祖国凱旋を歓迎する人民たち」。当駅前の広場は1945年10月14日にソ連から帰国した金日成将軍(後の主席)が「ソ連解放軍歓迎平壌市民大会」で凱旋演説を行った場所であり、それに因んだ壁画となっている。
凱旋駅の復興方面ホームの壁画。題名は「新しい祖国建設に立ち上がる人民たち」。
金日成将軍の凱旋演説像(「ソ連解放軍歓迎平壌市民大会」で凱旋演説を行う金日成将軍を表したもの)。LED照明を浴びて輝いている。
銅像の土台には「2002年12月24日建立」とある。なお、この像が設置される前にも、別の金日成将軍像が設置されていた。
銅像の横を通過する、プルグンビョル行きの列車。
ホームでは金日成将軍の凱旋演説像が一際明るく輝いていた(ホームの照明よりも銅像の照明の方が明るい)。
■改修後
改修後の駅舎。外壁はすべて新品のパネルで覆われた。地下鉄のロゴマークと駅名看板も交換され、駅名看板の下には本日の日付等を表示するLED装置が設置された。
駅前広場も舗装が修繕された。
上から見た凱旋駅(凱旋門の展望台より撮影)。改修前から屋根は緑色だったが、鮮やかに塗り直された。
凱旋駅周辺を俯瞰(凱旋門の展望台より撮影)。駅舎背後の丘は標高95mの牡丹峰(モランボン)。凱旋駅のホームは牡丹峰の直下にあり、ホームは地上(牡丹峰の頂上)から約130mの深さにある(駅舎からのホームの深さ自体は約60mで、その上に牡丹峰の高さ分(約70m)が加わる)。地面からの深さでは凱旋駅が平壌地下鉄で最も深い駅と思われる。
凱旋駅前の七星門通りを行く無軌道電車(トロリーバス)。写真奥には万寿台の千里馬像や、倉田通りの高層ビル群もかすかに見える。
駅舎の内部。内装が完全に交換され、全く異なる印象となった。スローガンは撤去され、代わりにLED式案内装置が設置された。
駅舎の天井。以前は無機質なドーム状の天井だったが、凝った照明が取り付けられた。
目的地までの経路を表示する「総合案内板」も、背景が凱旋駅の写真となった。
コンコースの壁面にはLED式案内装置の他、朝鮮にまつわる各種絵画(金正日花、金日成花、万景台(金日成主席生家)・正日峰と白頭山密営・千里馬像等)が飾られている。
エスカレーター。壁面に白とピンクを基調としたパネルが取り付けられた。また、天井にも照明が設置されたため明るくなった。
天井にはテレビ(LCD)が複数箇所に設置された。
ライザー(蹴込み)部は青色に塗られている(元々青色だったが、照明が明るくなったことにより目立つようになった)。
地下側のエスカレーター乗降場。こちら側も通路の上にあったスローガンが撤去された。
「駅ナカ」の店もリニューアルされた。店の上に「商店」、「新聞、雑誌」の看板も追加された。また、両店共に車椅子対応の低いカウンターも設けられた(カウンターに車椅子マークがある)。
地下通路の様子。
駅前の凱旋門の写真。
主体思想塔と大同江の花火の写真。
通路上にある時計。朝鮮の時計メーカーである「牡丹峰」製。
ホームの様子。照明や内装がすべて交換された。照明の数も圧倒的に増え、やや薄暗かったホームも非常に明るくなった。
ホーム上には新たにベンチが設置された。なお、これまで平壌地下鉄でベンチが設けられている駅はほとんどなかった(勝利駅ぐらいか?)。
一方、平壌地下鉄の特徴であった新聞のスタンドは、凱旋駅からは姿を消した。
天井や壁にはLCDやLEDが設置された。
ホームの照明を受けて輝く車両。
凱旋駅を発車するプルグンビョル行きの列車。
LCD。各ホーム上に3台(上下線合わせて6台)設置されており、テレビ番組を放映している。LCDは朝鮮の「アチムコンピューター合弁会社」製。
天井から吊り下げられたLED。駅名標の役目を果たしており、駅名の下には日付や温度・湿度も表示する。各ホーム上に2台(上下線合わせて4台)設置。写真は復興方面ホームのもの(次駅は統一駅と表示)。
プルグンビョル方面ホーム上のLED(次駅は戦友駅と表示)。下段では天気予報をスクロール表示している。
(スクロール内容:「天気:曇りで午前から時々雨模様。最低気温25℃、最高気温29℃」)
ホーム壁面のLED式駅名標。「戦友駅←凱旋駅」と表示。
壁画は従来からあるもの(「民族の太陽 金日成将軍の祖国凱旋を歓迎する人民たち」・「新しい祖国建設に立ち上がる人民たち」)が存置されている。凱旋駅を代表する壁画作品のため存置したとのことであった。
金日成将軍の凱旋演説像も存置されている。但し、LED照明の配置や色味が変更された。
ホームの階段。
■比較写真(左:改修前、右:改修後)
2019年5月1日にリニューアルオープンした凱旋駅。平壌地下鉄の駅で全面改修工事が行われたのは凱旋駅が初で、テレビや新しい換気装置も導入された。他の駅も順次改修工事が行われる予定である。

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2019年5月1日にリニューアルオープンした凱旋駅のエスカレーター。内装はすべて交換され、天井にもテレビが設置され、非常に近代的になった。

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