平壌市無軌道電車車両紹介 千里馬-321型

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千里馬-321型は2018年7月より製造されている車両(単車)である。平壌無軌道電車工場製。

同年に製造された千里馬-316型の技術をベースとしながらも、電動機を新たに設計製作して牽引力を1.4倍高めている。また、車体は千里馬-316型から完全にモデルチェンジし、車体の屈曲面の加工精度と側面の平滑度が大幅に改善された。騒音・振動も千里馬-316型よりも低減されている。LED式行先表示器は千里馬-316型ではフロント及びリアに設置されていたが、千里馬-321型では公式側の側面及び車内にも設置された。営業最高速度は40km/h。3扉車で、ステップの数は2段。

2018年8月3日に金正恩朝鮮労働党委員長が平壌無軌道電車工場にて千里馬-321型(量産先行車)を現地指導し、かつ同日夜に同車両の試運転に乗車した。その際に使用された量産先行車の番号は、現地指導日の8月3日にちなんで483号車とされた。

2018年〜2019年に40台以上が製造され、今後も量産が続くとのことである。なお、平壌に加えて、元山の無軌道電車(トロリーバス)にも2019年4月より同型車が投入された。

千里馬-316型の登場から僅か半年でモデルチェンジして登場した、千里馬-321型。2018年7月から製造されている。車体の配色やデザインが、同時期に製造された軌道電車(路面電車)の「統一」と類似している。
写真は千里馬-321型の第1号車(量産先行車)である483号車。2018年8月3日に金正恩朝鮮労働党委員長が現地指導し、車両番号は現地指導日にちなんで483号車とされた。
千里馬-321型量産先行車(483号車)のリア。テールランプの形状や梯子の有無などで量産車と仕様が異なる(後述)。
千里馬-321型の量産車(472号車、車両番号は製造順ではない)。量産車はヘッドライトの上にウインカーが追加された。
量産車のリア・非公式側。テールランプの形状が量産先行車から変更され、リアには点検用の梯子が設置された(量産先行車は無し)。
側面のカラーリングが異なる車両も存在する(写真は514号車)。フロント・リアの配色は標準塗装車と同一だが、赤が若干明るい色である。
普通門と千里馬-321型。
紋繍-2百線(5号線)の清流洞に停車中。
西浦-西平壌線(11号線)の運用に入る千里馬-321型。前面の行先表示器は「新しく作った車(セロ マンドゥン チャ)」と表示している。
前面のエンブレム。千里馬をデザインしたもので、軌道電車の「統一」にも同一のものが設置されている。
量産先行車(483号車)の車内の様子。座席はタイヤハウスの直上を除いて前向きに設置されている。座席はFRP製。冷房は設置されていない。
車内のLED式行先表示器。車内向けLED装置は平壌の無軌道電車(トロリーバス)の車両で初めて設置された。
左右のアクセントピラーを車内から見る。アクセントピラーが入った無軌道電車(トロリーバス)は朝鮮で初。
右最前列席は「英雄座席」となっている。
グライドスライドドアを採用しており、最前部のみ片開き、その他は両開きである。ステップは2段。
運転席背面。仕切りが低く、広々としている。
運転席の上にはLCDが設置されており、朝鮮中央テレビ等を音声付きで放映する。乗客が有意義な時間を過ごせるように設置されたもので、金正恩朝鮮労働党委員長がLCDの設置位置等も指導したとのことである。なお、他国のバスのような次駅案内等は表示されない。LCDは普通江電子製品工場製。
運転席脇の電子放送操作盤。上のスイッチは「マイク⇔放送」、下のスイッチは「TV⇔放送」となっており、その下のダイヤルは音量調整、一番下は主電源である。車内放送はテレビの音声だけでなく、車内のマイクの放送にも対応している。
右最前列席(英雄座席)からの前面展望。フロントガラスは大型1枚窓で、眺望は抜群。
運転席。ハンドルにも千里馬エンブレムが入っている。
グラスコックピットを採用しており、左から架線電圧計、速度計、蓄電池電圧を表示している。架線電圧は直流323Vを示しているが、緑色の枠内が正常値だとすると、直流300V〜700Vで対応している模様である。
また、画面下に「起動画面」「運転情報」「技術学習」「開発単位」の4つのボタンが表示されており、タッチパネルで画面切り替えができるようになっている。
前面窓の上部。

敬愛する最高領導者 金正恩同志が
乗られた無軌道電車

主体107(2018)年8月3日


と書かれた金色の記念プレートが掲げられている(金正恩朝鮮労働党委員長が現地指導した483号車のみ)。
また、運転台脇にも同内容の小型のプレートが設置されている。
千里馬-321型から見た柳京ホテル。高さ330m・105階建てで、朝鮮で最も高い建物である。
千里馬-321型の側窓から柳京ホテルを見る。
後部座席。一番後ろの席のみ3人掛けである。リアウィンドウは大きく、眺めも良い。
一番後ろの席から車内を見る。
座布団が置いてある席は、車掌用座席である。
祖国解放戦争勝利記念館前を発車する千里馬321型。この車両は2018年8月に第1号車(483号車)が完成し、その後も平壌無軌道電車工場で量産されている。この483号車は2018年8月3日に金正恩朝鮮労働党委員長が平壌無軌道電車工場で現地指導した。車両番号の「483」は現地指導した日である8月3日にちなんだものである。

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西平壌-平壌駅無軌道電車(2号線)のルートを走る、チャーター運転中の千里馬-321型。車窓からは普通門や柳京ホテルが見える。車内のLCDでは朝鮮中央テレビを放映中。テレビから流れている最初の曲は「偉大な我が国」、その次の曲は「金正恩将軍 命懸けで死守しよう」。

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平壌駅前の広場を走行する千里馬321型。車内にはテレビ放送を流すLCDや、行先を表示するLEDが設置されている。冷房はない。

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