CRH(和諧号)

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JR東日本のE2系1000番台をベースとしたCRH2型。(にて)

「CRH」(China Railway High-speed;中国鉄路高速)とは、2007年4月18日の「全国鉄路第6次大提速」(第6次鉄道高速化)より本格的に営業運転を開始した高速鉄道車両を指す。中国国鉄は「中華之星」(DJJ2型)の開発失敗により自国開発を諦め、川崎重工、ボンバルディア、シーメンス、アルストムの4社から技術移転を受け、高速鉄道車両をライセンス生産することとなった。車両はいずれも動力分散方式(電車方式)で8両固定編成となっている。

CRHの車両は、「和諧号」(フーシエハオ)という愛称を持つ。「和諧」とは中国語で「調和」の意味で、人と自然の調和、技術の調和、社会の調和を願ってつけられたものである。

CRH型車両は現在、ボンバルディア製の、Regina C2008型をベースにした「CRH1」、川崎重工製の、E2系1000番台をベースとした「CRH2」、シーメンス製の、ICE3をベースにした「CRH3」、アルストム製の、ETR600(ペンドリーノ)をベースにした「CRH5」の4種類が存在する。CRH2、CRH3、CRH5の3形式はいずれも60編成が導入され、最初の各形式3編成ずつは技術供与側の車両メーカーで製造され、残りの57編成は中国での生産という方式を採った。また、CRH1は40編成が導入され、ボンバルディアと四方機車が合弁で山東省青島市に設立した「BSP」(Bombardier Sifang Power Transportation)社が全車両を製造した。

2008年4月現在、CRH1、CRH2、CRH5が既に運用に入り、CRH3は2008年8月より営業運転を開始する。中国国鉄はこれらCRH車両の製造で得た各国の技術を活かして、将来的には国産の高速鉄道車両を製作する見込みだ。

CRHで運転される列車は、列車番号の頭文字にD(D=電車を意味する「車組」のピンイン頭文字)がつく。主な運転系統は、北京〜天津・北戴河・秦皇島・瀋陽北・長春・哈爾濱(CRH2・CRH5で運転)、北京〜上海(CRH1・CRH2で運転)、北京〜済南・四方(CRH2で運転)、上海〜蘇州・常州・南京・済南・四方・鄭州(CRH2で運転)、上海・上海南〜杭州・義烏・長沙・南昌 (CRH1・CRH2で運転)、北京西〜石家荘・鄭州・漢口(CRH2で運転)、広州・広州東〜深セン(CRH1・CRH2で運転)等である。列車の最高速度は200km/h〜300km/hで、現在は大半が線形改良(高速運転化改良)した在来線を走行する。2008年8月には北京南〜天津 間113.5kmに高速新線(京津城際鉄路)が開通予定で、同線は最高速度300km/hのCRH2と最高速度350km/hのCRH3で運行される予定。

台湾高速鐵路(台湾新幹線)の700T型新幹線に次いで第2の新幹線車両の技術輸出となったCRH2型を中心に、CRHの各形式を紹介する(CRH3は未取材)。

(路線図:管理人制作)


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