ブエノスアイレス地下鉄 元 マドリード地下鉄6000型

Tweet

スペイン・マドリード地下鉄6000型はマドリード地下鉄9号線向けに、1998年〜1999年及び2003年・2006年に132両が製造された。製造会社はCAF(スペイン)。車両寸法は長さ18,090mm×幅2,760mm×高さ3,850mm。最高速度は110km/h。車体は鋼製。IGBT-VVVF制御。Mc-Mcのユニットを3本、またはMc-R-Mc(R=付随車)のユニットを2本繋いでの6両編成(6M0T)である。

2013年、老朽化が進む元 営団地下鉄500形の置き換え車両を希望していたブエノスアイレス地下鉄に84両を有償譲渡した。譲渡時点で車歴は10〜15年と若く、本来はマドリード地下鉄でも当面使用可能であったが、深刻な財政赤字を抱えるマドリードが車両売却益等で赤字を補填するための苦肉の策でもあった。なお、6000型の売却によって不足したマドリード地下鉄9号線には6号線の5000型4次車の一部と7号線の9000型の一部を転属させて補完している。

現地での運行に際して、車両側だけでなく地上設備側も大きな改良が加えられた。マドリードでは架線集電方式であり、先に譲渡された5000型では第三軌条集電方式に改造したが、6000型導入の際は車両を改造するのではなく、B線全線に架線を設置する工事が行われた(営団地下鉄500形も引き続き運行されるため従来の第三軌条も併設)。車両側では、台車の改造(マドリード地下鉄の軌間が1,445mmに対してブエノスアイレス地下鉄の軌間が1,435mm(標準軌)のため)、元 営団地下鉄500形と同様に車体裾へのスペーサーの設置、信号システム・無線機器のブエノスアイレス地下鉄仕様のものへの交換、車体カラーリングの変更(ラッピング)等が施された。

2015年4月11日よりプレ営業運転を行い、2015年6月より本格的な営業運転を開始した。現地ではメーカー名(CAF)を冠して「CAF6000」と呼称されている。2017年8月現在、6両編成9本(A1編成・B1編成・C1編成・D1編成・E1編成・F1編成・H1編成・I1編成・J1編成)が運用しており、10本目(G1編成?)もまもなく運用開始予定である。

関連ページ:「ブエノスアイレス地下鉄 B線」

5000型に次いでマドリード地下鉄から譲渡された6000型。マドリード地下鉄では青と白のカラーリングであったが、ブエノスアイレス地下鉄では車体全体を黄色を基調としたラッピングで覆われ、印象が変わった。
マドリード時代はMc-R-Mcの3両編成を2本繋いで6両編成としていたが、ブエノスアイレスでは大半の編成がMc-Mcの2両編成を3本繋いだ6両編成に変更された。
また、6000型の導入に合わせてB線全線に架線が整備された。しかし、6000型投入のために施した車両・地上設備の各種改造にかかったコストが結果的にB線に新車を入れた場合とほぼ同額となり、一時は政治問題に発展した。また、運用開始後にも天井からの雨漏りや発煙等のトラブルが幾度か発生している。

Echeverríaにて
ドアはマドリード地下鉄時代と同様に半自動式で、ドアのハンドルを回してドアを開ける(駅に停車してもハンドルを回さない限りドアは開かない)。
マドリード地下鉄では既に半自動扉の文化が浸透しているが、ブエノスアイレス地下鉄では初の導入であり、慣れていない乗客が扉を開けられず戸惑う姿も見かけた。
また、ブエノスアイレス地下鉄初のプラグドア採用車両でもある。
Mc車の車内の様子。マドリード地下鉄時代と大きな変化はない。車端部を除いてクロスシート(ボックスシート)である。B線でボックスシートの車両は6000型が初。車内照明は枕木方向に設置されている。
ボックスシートの様子。ドア間に左右1組設置されており、シートピッチは狭い。
片側の先頭車両に設けられている車椅子スペース。
半自動扉のハンドル。全客用扉に設置されている。ドアの開け方を示すステッカーも貼付。
ドア上に掲示されているB線の路線図。
車端部。2人掛けのロングシートが配置されている。ボックスシートはシートピッチが狭いため、座席はロングシートから埋まる傾向にある。貫通路は幅広で、扉はない。
貫通路の上に設置されているLED式案内表示器と製造会社のCAFのステッカー。案内表示器のROMはブエノスアイレス地下鉄B線仕様に改修されており、走行中は作動する。
R車(R=付随車(スペイン語でRemolque))の車内の様子。オールロングシートで、座席間は3人掛け。こちらもマドリード地下鉄時代と大きな変化はない。R車は2017年8月現在、E1編成とH1編成の2編成のみに連結されており、編成中に2両連結されている(Mc-R-Mc+Mc-R-Mcの6両編成)。
乗務員室仕切り。窓はなく、前面展望不可能。
乗務員室仕切りに設置されている電気設備メーカー(ADtranz・SIEMENS)の銘板と、車両番号プレート。
警笛を鳴らしてEcheverría駅に入線する、CAF6000 E1編成。

Full HD Video
De los Incas - Parque Chas駅に入線〜発車する、CAF6000 J1編成。CAF6000はブエノスアイレス地下鉄の車両で初の半自動ドアの車両である(開ける際はドアのハンドルを回す)。

Full HD Video
De los Incas - Parque Chas駅で離合する、CAF6000 F1編成とE1編成。2017年8月現在、CAF6000のうちE1編成とH1編成は中間車が2・5号車に組み込まれた珍しい編成である(大半の編成は全車両先頭車)。

Full HD Video
De los Incas - Parque Chas駅を発車する、CAF6000 H1編成。

Full HD Video
1駅間の車内の様子。ブエノスアイレス地下鉄の車両で初の半自動ドアの車両である(開ける際はドアのハンドルを回す)。
CAF6000の大半の編成は2両編成を3本繋いで6両編成としているが、2017年8月現在、E1編成とH1編成のみは3両編成を2本繋いで6両編成としている。

Full HD Video

■編成別写真(2017年8月現在運行中の全編成分)
A1編成。
6011-6012+6013-6014+6047-6048
B1編成。
6027-6028+6039-6040+6031-6032
C1編成。
6017-6018+6003-6004+6015-6016
D1編成。
6065-6066+6019-6020+6007-6008
E1編成。
6059-6459-6060+6055-6455-6056
F1編成。
6063-6064+6057-6058+6067-6068
H1編成。
6051-6451-6052+6045-6445-6046
I1編成。
6029-6030+6001-6002+6023-6024
J1編成。
6053-6054+6025-6026+6005-6006

■マドリード時代の記録(提供:「Australia and New Zealand Rail FAN」管理人 haya様)
マドリード地下鉄9号線で運行していた頃の6000型6004-6403-6003+6024-6423-6023。現在、6004-6003はC1編成、6024-6023はI1編成に組み込まれている。

Núñez de Balboaにて
Colombia駅に停車中の6000型6004-6403-6003+6024-6423-6023。
Estrella駅に入線する、6000型6023-6423-6024+6003-6403-6004。6023-6423-6024はドア回りの塗装パターンが異なる。
Artilleros駅で並ぶ6059と6029。現在、6059-6459-6060はE1編成、6029-6030はI1編成に組み込まれている。
Estrella駅に停車中の6031-6431-6032+6019-6419-6020。現在、6031-6032はB1編成、6019-6020はD1編成に組み込まれている。
マドリード地下鉄時代のMc車の車内の様子。
マドリード地下鉄時代のR車の車内の様子。
半自動扉のハンドル。マドリード地下鉄では半自動扉の文化が浸透しているため、ドアの開け方に関する注意書きはない。
Artilleros駅を発車する6031-6431-6032+6019-6419-6020。現在、6031-6032はB1編成、6019-6020はD1編成に組み込まれている。

※haya様(http://www.aunzrailfan.com/)ご提供

Full HD Video
Núñez de Balboa駅を発車するマドリード地下鉄6000型6004-6403-6003+6024-6423-6023。現在、6004-6003はC1編成、6024-6023はI1編成に組み込まれている。

※haya様(http://www.aunzrailfan.com/)ご提供

Full HD Video
Estrella駅を発車するマドリード地下鉄6000型6023-6423-6024+6003-6403-6004。現在、6024-6023はI1編成、6004-6003はC1編成に組み込まれている。

※haya様(http://www.aunzrailfan.com/)ご提供

Full HD Video

関連ページ:「ブエノスアイレス地下鉄 B線」

「ブエノスアイレス地下鉄−日本・スペインからの譲渡車両」に戻る

Tweet