ブエノスアイレス地下鉄 A線
Subte de Buenos Aires - Linea A / Buenos Aires Metro Line A


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ブエノスアイレス地下鉄A線はPlaza de Mayo(プラーサ・デ・マージョ)〜San Pedrito(サン・ペドリート)間18駅9.7kmを結ぶ路線である。全区間地下。全区間複線(左側通行)で、架線集電方式による直流1,500V電化。軌間は1,435mm(標準軌)。車両基地はPrimera Junta駅の南西側にあるTaller Polvorín(Polvorín工場)と、San Pedrito駅の西側にあるCochera San Pedrito(San Pedrito基地)の2箇所(前者は地上、後者は地下にある)。

1913年12月1日にPlaza de Mayo〜Plaza Miserere間が南米初、及びスペイン語圏初の地下鉄として開業した(一般客への開放は1913年12月18日)。その後、1914年4月1日にPlaza Miserere〜Río de Janeiro間、1914年7月1日にRío de Janeiro〜Caballito(現:Primera Junta)間、2008年12月22日にPrimera Junta〜Carabobo間、2013年9月27日にCarabobo〜San Pedrito間が開通した。また、2013年1月12日から同年3月8日までは運休し、架線電圧をそれまでの直流1,100Vから直流1,500Vに昇圧した。

列車は終日5両編成で運転される。車両は、中国北車(現:中国中車)製のSerie 200(200型)とFiat Diesel Materfer・Fabricaciones Militares製の車両(現地での呼称は「Fiat-Materfer」)が主力として活躍しており、他にSiemens O&K(Siemens-Schuckert Orenstein & Koppel)製車両の更新車も少数派ながら運用されている。

Serie 200は2013年3月の昇圧に併せて5両編成9本(45両)が導入された車両で、2015年以降も引き続き導入されている。最終的には21編成(105両)が導入される予定。3M2T(Rca+Mpa+Mpb+M+Rcb、R=付随車(スペイン語でRemolque))のIGBT-VVVF制御車である。

Fiat-Materferは1980年〜1988年に導入された車両で、2008年のPrimera Junta〜Carabobo間の延伸開業に伴う車両不足を補うためにD線から3編成が転属してきた。その後、2013年の昇圧とSan Pedritoまでの延伸開通に伴い再度D線より4編成が転属し、2015年6月現在は5両編成7本(35両)が運行されている。電機子チョッパ制御車。

Siemens O&Kは1934年に製造され、現在A線で運行されている2編成は車体更新車である。吊り掛け駆動の抵抗制御車。

2013年の昇圧までは、開業時から運行されていた半鋼製車「La Brugeoise」が99年間活躍していた。この車両はベルギーのLa Brugeoise et Nicaise et Delcuve製で、1911年〜1944年に125両が製造された。初期の車両は路面電車と地下鉄の併用車で、中央に地下鉄用の高床扉、両車端部に路面電車用の低床扉が設けられていたが、1927年に更新され地下鉄専用車となった。電圧は路面電車用の直流550Vと地下鉄用の1,100Vに対応した複電圧車である。2013年の昇圧までに全車両が引退したが、産業遺産として保存されている車両も多く、Metrovíasでも5,10,16,22,27,48,81,83,86,100,107,114,121,124,125の15両を保有しており、Polvorín工場の出入庫線(周回線)で動態保存している。また、5,16,124,125の4両は直流1,500V集電に改造し、昇圧後のA線の本線でも走行可能である。

Pasco駅とAlberti駅の両駅は片方面にしかホームが設けられていない駅である。Pasco駅はPlaza de Mayo方面、Alberti駅はSan Pedrito方面の列車しかそれぞれ発着しない。両駅とも駅名は異なるものの反対方面のホームがあった(Pasco Sur駅とAlberti Norte駅)が、駅間隔が短すぎるため1953年に廃止となった(ホーム自体は現存している)。

関連ページ:ブエノスアイレス地下鉄 Polvorín工場

(路線図:管理人制作)

2013年より順次導入されているSerie 200。中国北車製で、現地では「CNR」(中国北車の英語名)、もしくは電装品メーカーと併せて「CNR-SATCO」、また車両導入にあたっての幹事会社の名と併せて「CNR-CITIC」とも呼ばれている。

Caraboboにて
Serie 200の先頭車側面。車体はビードレスの軽量ステンレス製。
VVVF制御装置はAlstom製である。主要電装品はSATCO(上海アルストム交通設備有限公司)とAlstomのものが使用されている。
パンタグラフは中国北車のグループ企業である北京賽徳高科鉄道電気科技有限責任公司(賽徳高科)製で、下枠部に社名が書かれている。
Serie 200の車内の様子。4扉車で、扉間は6人掛け。LED式車内案内表示器が各車両に2箇所(計4台)ずつ枕木方向に設置されている。ブエノスアイレス地下鉄初の新製冷房車である。
ドア上には千鳥配置でマップ式案内表示機が設置され、既に走行した区間を赤色、これから走行する区間を緑色のLEDで表示する。片方面しかホームがないPasco駅とAlberti駅にも対応しており、停車しない駅は点灯しない。
貫通路。貫通路の上には防犯カメラが設置されている。
車端部には、車両メーカーの中国北車(同グループ傘下の長春軌道客車)と、幹事会社である中信建設(CITIC)のステッカーが貼られている。
2号車と3号車の連結面には簡易運転台が設けられており、前照灯・尾灯も設置されている。貫通幌は接続されているが、非常時を除いて2・3号車の間は通り抜けできない。
2・3号車間の連結面。この部分のみ貫通扉が設置されており、通常は閉鎖されている。
Fiat Diesel Materfer及びFabricaciones Militares製の車両。現地での呼称は「Fiat-Materfer」。電機子チョッパ制御で、制御装置はAEGもしくはSiemens製。

Caraboboにて
中間に封印された元先頭車。
Fiat-Materferの車内の様子。4扉車で、扉間にはFRP製の5人掛け席が設置されている。全ての車端部の貫通路は非常時を除き通り抜け不可(貫通幌はなく、扉も施錠されている)であり、各車両間の移動はできない。
車端部のFiat Diesel Materferの製造銘板。
Siemens O&K(Siemens-Schuckert Orenstein & Koppel)製車両。1934年製の吊り掛け駆動車で、車体は更新されている。

Caraboboにて
A線の保安装置はATSで、打子式ATSを使用している。先頭車の屋根上には打子式ATSの非常ブレーキ弁が設置されており、車両が誤って赤信号を通過した際は信号機から伸びたアームが屋根上の非常ブレーキ弁を叩いて停車させる。A線を視察したうえで開業した東京の地下鉄銀座線では、この打子式ATSのシステムを参考にしたと思われる(銀座線等で採用されていた日本の打子式ATSでは軌道脇に打子を設置)。
A線の起点駅であるPlaza de Mayo(プラーサ・デ・マージョ)。1面2線で、ホームは頭端式。
Plaza de Mayo駅の北側ホームの途中からは、D線への短絡線が分岐している。Catedral行きのD線の列車はホームから見える位置で停車し、折り返してゆく。なお、短絡線への分岐は短絡線側から来た列車がホームと接触しないよう、数メートルだけ分岐器付近がガントレットになっている。
また、分岐器と車止めの距離が短いため、この短絡線を通過できるのは3両が限界である(そのため、ここを通ってPolvorín工場へ出入場するC・D・E線の車両は3両以下で分割できるようになっている)。
駅名の由来であるPlaza de Mayo(5月広場)。ブエノスアイレスの中心の広場。奥は大統領府。
Plaza de Mayoの出入口。開削工法で作られ、ホームの深さは非常に浅い。建設工事の際の広場への影響を考慮して、駅は広場の南端に建設された。
C線との乗換駅であるLima駅。こちらも開削工法で建設された。初期に開通した駅のホームの鉄柱は装飾が施されている。
Lima駅に停車中の、Plaza de Mayo行きのSerie 200。
Plaza de Mayo行きのホームのみ設けられているPasco駅。Pasco駅とAlberti駅の両駅は片方面にしかホームが設けられていない。
Pasco駅のホーム端から見たAlberti駅。別駅扱いであるが、100m程しか離れていない。
San Pedrito行きのホームのみ設けられているAlberti駅。
Alberti駅の駅名標。
Alberti駅を通過する、Plaza de Mayo行きの列車。
Plaza Miserere駅は3面5線の構造であるが、現在は両端の2線しか使用されていない。5線のうち3線がA線用、中央の2線はSarmiento線用のもので、同線用の広軌の軌道や第三軌条が敷設されている(Once駅の西側でSarmiento線の本線と合流する)。現在、Sarminento線の列車が当駅に乗り入れる定期運用はない。
Plaza Miserere駅に到着した、San Pedrito行きのSerie 200。
2008年に開通したCarabobo駅に停車中のFiat-Materfer。ブエノスアイレス地下鉄の営業列車はすべて車掌が乗務している。A・B・C・D線の車両は乗務員扉があるため、そこからドア開閉・安全確認を行う。
コンプレッサーの作動音と電機子チョッパ制御特有の音と共にCarabobo駅を発車するFiat Materfer。

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2駅間の車内の様子。加速時には典型的な電機子チョッパ制御の音がする。非冷房車であり、窓を開けて走行する。

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2008年に開業したCarabobo駅に入線〜発車する、San Pedrito行きのSerie 200。

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2駅間の車内の様子。車内の造りやドアチャイムは中国北車(現:中国中車)製の中国内向けの地下鉄の車両に類似している。IGBT-VVVF制御で、制御装置はAlstom製。

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2駅間の車内の様子。1駅目のAlberti駅入線の直前にPasco駅を通過する。2駅目のPlaza MiserereはH線との乗換駅であり、自動放送では次駅案内に続いて乗換案内も流れる。

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Alberti駅はSan Pedrito方面行きのホームしかなく、反対方面の列車はすべて通過する。数百m先の隣のPasco駅は逆にPlaza de Mayo方面行きのホームしかない。

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San Pedrito方面行きのホームしか存在しないAlberti駅に発着する Fiat Materfer。

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A線の駅の出入口
円形の「Subte」マークの色は、ラインカラーに合わせてある。

Plaza Miserereにて

関連ページ:ブエノスアイレス地下鉄 Polvorín工場

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