ロカ線車両紹介 CSR

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「CSR」は2015年よりRoca線で運行している、中国南車(現:中国中車)製の車両である。ブエノスアイレスの近郊電車(Sarmiento線・Mitre線・Roca線)向けに設計された標準車両で、路線ごとに細かな仕様差異はあるものの基本設計を極力共通化することにより低コスト化・短納期での納車を実現している。Roca線向けの車両はMC1-R1-R2-MC2(R=付随車)から成る2M2Tの4両固定編成で、2014年〜2015年に4両編成75本(300両)が製造された。全車両が南車青島四方機車車両で製造され、海路でアルゼンチンまで輸送された。

車体はアルミ合金製で、水色と白に塗装されている。各車両の乗降口は片側あたり3箇所。車内はオールクロスシートで、扉間の座席配置は集団離反式。安全対策として各車両に防犯カメラが設置されている。車両寸法は長さ24,500mm×幅3,136mm×高さ4,800mm。最高速度は120km/h。主要機器には日本・ドイツ・スウェーデン等で製造された部品も使用されている。車両の制御方式はIGBT素子VVVFインバーター制御。

Roca線の「CSR」の特徴は、Sarmiento線・Mitre線仕様の車両が直流830V・第三軌条集電方式であるのに対して、交流25,000V(50Hz)・架線集電方式であることだ。そのため、R1車にパンタグラフを2基搭載している(うち1基は予備用)。また、電動車・付随車の編成構成も、従来車のToshibaと同様に先頭車を電動車、中間車を付随車としている(Sarmiento線・Mitre線仕様のものは、先頭車はTc)。編成は4両だが、通常運用時は2編成を併結した8両編成で使用するため、先頭車の連結器には電気連結器を備えている(Sarmiento線・Mitre線仕様のものは通常時の連結運転は行わないため、電気連結器は省略)。この他、前面に前方監視用カメラが設置されたり、車内のドア上のマップ式案内装置が省略されているなど、Sarmiento線・Mitre線仕様との仕様変更点は多い。

2015年6月8日より営業運転を開始し、2015年7月6日よりConstitución - Claypole系統でも運行を開始した。2015年8月30日以降は、Constitución - Claypole系統の全列車がCSRによる運行となった。また、2016年1月30日に開業したConstitución - Quilmes系統もCSRによる運行である。

通常の営業運転では見られない4両編成で、Plaza Constitución〜Temperley間の複々線の急行線で試運転を行うCSR。

Hipólito Yrigoyenにて
Hipólito Yrigoyen駅を通過するCSRの試運転列車。
Temperley駅に停車中のCSRの試運転列車。営業運転開始前の2015年5月、CSRはPlaza Constitución〜Temperley間の急行線を日中に幾度も往復して、試運転と乗務員訓練を重ねていた。
Temperley駅の駅名標とCSR。Roca線のCSRの特徴である、R1車に搭載された赤いパンタグラフが目立つ。2基搭載しているが、通常は1基のみを使用する(もう1基は予備)。
試運転列車の窓に貼られたままのシッピングマーク。
Temperley駅を発車し、Plaza Constituciónへと向かう。
Plaza Constitución〜Temperley間の急行線を行き来する試運転列車。

上写真:Banfieldにて
下写真:Lanúsにて
複々線を走行する。

Hipólito Yrigoyenにて
CSRの甲種輸送列車。車両は2015年2月〜6月に陸揚げされ、続々と車両基地まで甲種輸送された。

Puerto Madero付近にて
EMD GT22機関車と連結されたCSR。
パンタグラフを搭載したR1車(付随車)。
甲種輸送は2編成を併結した8両編成で行われた。
最後尾にも機関車を連結し、プッシュプルで甲種輸送されてゆくCSRの新車。Sarmiento線のPuerto Madero駅(休止中)を通過していく。

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