ロカ線車両紹介 Toshiba

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「Toshiba」は1985年のRoca線電化開業時より運行している車両である。1983年〜1984年に日本車両・近畿車輛・東急車輛・川崎重工・日立製作所で120両製造された他、アルゼンチンの車両メーカーのFabricaciones Militaresで12両、Materferで24両が製造され、3両編成52本の156両が開業時までに準備された。Mc-R-Mc(R=付随車)から成る2M1Tで、当初は2編成を連結した6両編成で運行していた。1987年〜1988年及び2002年〜2003年にR'車(付随車)を25両製造(Fabricaciones Militares・Materfer製)して中間に組み込み、新たにMc-R-Mc+Mc-R'-R-Mcの7両編成(3両+4両編成)となった。最終製造両数は181両。現在、「Toshiba」はすべて7両編成で運行されている。

車体は鋼製で、前面デザインは小田急電鉄9000形に準じたものとなっている。各車両の乗降口は片側あたり3箇所。車内はオールクロスシートで、製造時は転換クロスシートだったが、現在は固定クロスシートで車両の左右で座席の向きが異なるという珍しい座席配置になっている。また、一部の車両はロングシート化されている。車両寸法は長さ24,500mm(連結面間25,000mm)×幅3,136mm×高さ4,525mm(屋根高さ4,080mm)。最高速度は120km/h。制御方式はサイリスタ位相制御である。

「Toshiba」の呼称は主要機器のメーカー名による。車両メーカー連合の幹事会社は日本車両、鉄道システム輸出プロジェクトの全体の取り纏めは丸紅が担当した。

Roca線開業時から活躍する「Toshiba」。小田急電鉄9000形に準じた前面デザイン、下枠交差型パンタグラフ、柴田式密着連結器と日本テイストが強い外観となっている。架線支持金具の可動ブラケットの形状も日本式であり、日本とは地球の反対側でありながら日本のような雰囲気である。Roca線は車両の輸出だけでなく、交流電化・信号設備・軌道も日本の技術支援が行われた。

Guernicaにて
Roca線の運営事業者の変遷等により、車両の塗装はこれまでに5回変更されている。写真は5代目塗装で、水色を基調に裾部をグレーとしたものである。2015年秋頃より、CSRに準じた6代目塗装へ順次塗り替えられている。

Darío Santillán y Maximiliano Kostekiにて
El Jagüel駅を発車する、5代目塗装のToshiba。
5'代目塗装と言うべきか、Roca線の運営事業者がUGOFEでなくなった後に塗り替えられた編成。車両前面・側面のロゴが一切入っていない塗装。
4代目塗装。紺色に灰色の帯が入った塗装。塗り替えられてから月日が経っているため、どの車両も落書き被害が酷い。

Hipólito Yrigoyenにて
前面の落書き被害が比較的少ない編成。

Turderaにて
4代目塗装編成同士のすれ違い。

Banfieldにて
離合する新旧塗装編成(左奥:5'代目塗装、手前:4代目塗装)。なお、前面窓下の前照灯ユニットの下のライトは尾灯ではなく標識灯である(尾灯は前面窓上の両端側)。標識灯は前面窓上の中央寄りにも設置されている(写真は前照灯とすべての標識灯が点灯した状態)。

Banfieldにて
5代目塗装・4代目塗装編成の併結。

乗務員扉は運転台側のみ(進行方向左側)に設置されており、助士席側に扉はない。
小田急電鉄9000形に準じた、特徴的な前面形状。
前面行先表示器は当初方向幕式であったが、現在はすべてLED式に交換されている。基本的に終点で表示を切り替えることはなく、それぞれの先頭車が向いている方向の行先を出している(Constitución - A.Korn系統であれば、Plaza Constitución方先頭車は「PLAZA C」、Alejandro Korn方先頭車は「A.KORN」の固定表示)。
パンタグラフ周り。アルゼンチンの鉄道で唯一と思われる、下枠交差型パンタグラフを採用している(東洋電機製)。その隣には真空遮断器も設置されている。
屋根上。非冷房車のため屋根上に冷房装置はなく、モニター屋根となっている。
電動車の台車。コイルバネが側梁の内側にある独特の形状(軌間が広いためか?)。台車形式はND116。
付随車の台車。台車形式はND116T。
側梁の長さが上写真より少し短いタイプの台車もある(台車形式不明)。
床下機器。車両の呼称の由来の通り東芝の銘板が目立つが、日立製作所や三菱電機の部品も使用されている。
5代目塗装車の側面のロゴ。
妻面の日本車両の製造所銘板。Toshibaは新幹線車両メーカーの主要5社がすべて製造している。
東急車輛の製造所銘板。
川崎重工の製造所銘板。
日立製作所の製造所銘板。
車内の様子。FRPの固定クロスシートが設置されており、左右で座席の向きが逆となっている。なお、落成時は赤いモケットの転換クロスシートであった(劣化・破損により交換されたものと思われる)。車端部には自転車を搭載できる。
ドア脇は1人掛けの座席である。
パンタグラフ下は低屋根構造になっており、天井に段差が生じている。
天井のファンデリア。
乗務員室仕切り。窓はない。
車両番号プレート。着席定員も記載されている(Mc車が64名、R車・R'車が68名)。
プロジェクト・技術支援として東芝の銘板も掲げられている。その隣には、東芝・日立・三菱電機の電装品メーカーの銘板もある。
車内の路線図。
オールロングシートに改装された車両の車内。
ドア周り。
車端部。
一部車両は車端部の座席が撤去され、フリースペース化されている。
Materferの改造銘板(2005年改造)。
Adrogué駅に入線する、Plaza Constitución行きの列車。アルゼンチンの踏切は歩道側には遮断棒がないものが多く、この映像のように歩行者の直前横断も少なくない。

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Adrog駅を発車するPlaza Constitución行きの列車。前面行先表示器は当初方向幕式だったが、現在はすべてLED式に交換されている。

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Glew駅を発車する、当駅始発Plaza Constitución行きの列車。車両はサイリスタ位相制御。

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青空の下を双方向に走行するRoca線のToshiba新旧塗装車(4代目・5代目塗装車)。日本の技術により電化されたため(交流25,000V・50Hz)、架線支持金具の可動ブラケットの形状が日本のものと似ている。

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Guernica駅に入線する、Plaza Constitución行きのToshibaの5代目塗装車。線路をオーバークロスする鉄橋はBelgrano鉄道G3支線の廃線跡。

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Guernica駅に入線する、A.Korn行きのToshibaの4代目塗装車。

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車両基地が隣接するRemedios de Escalada駅を発車するToshiba電車。

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1駅間の車内の様子。座席は固定クロスシートで、左右で座席の向きが異なる。2ヶ所の工事区間を徐行で通過する。

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掘割の中を走行し、Turdera駅に入線するToshiba電車。

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Luis Guillón駅に到着する、Roca線Toshibaの5代目塗装車。自転車を持ち込むことが出来る。

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El Jagüel駅に到着するEzeiza行きの列車。

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