元 ソウルメトロ2000系外観

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客車として活躍する元ソウルメトロ2000系。
これまでベトナム国鉄の標準軌用客車は骨董品ものしかおらず(旧満鉄客車も現役)、さらに2008年時点で標準軌用客車は8両しか存在しなかった。そんな中で導入された元ソウルメトロ2000系は久々の標準軌用客車であり、標準軌用客車としては最新型(1986年製)かつ最も豪華な車両である。6両が導入され、日によって車両を組み替えて3〜5両で使用されている。すべて中間車で、先頭車は存在しない。塗装はソウルメトロ時代のままである。

Dong Dang(ドンダン)にて
Dong Dang駅にて入換を行う元ソウルメトロ2000系2322+2233。
Tu Son駅に入線する、Dong Dang発Gia Lam(ザーラム)行きの5HD2列車。ドンダン線は中国国鉄からの乗り入れ車両があるため当初からDong Dang〜Gia Lam間は全区間三線軌条になっており、標準軌のソウルメトロの車両も台車周りは特に手を加えることなく運用できた。
ハノイ近郊のGia Lam駅にて待機中。Gia Lamから先のハノイ寄りはメーターゲージのみのため、中国国鉄の乗り入れ車両を含め、標準軌の車両は当駅で折り返す。
Gia Lam駅に停車中のDong Dang行き5HD1列車。最後尾の車両は赤色の丸い円盤を妻面に取り付ける。
中国・南寧行きの国際列車の中国国鉄25B系客車と並ぶ。

Gia Lamにて
ソウルメトロ車両と中国国鉄車両の横並び。平壌まで乗り入れている中国国鉄車両がいつの日かソウルや釜山まで乗り入れれば並ぶかもしれない(ソウル以南で1号線の車両と)が、そんな「夢の並び」が第三国のベトナムで実現するようになったとは運命のいたずらか。
ベトナム仕様に改造されたソウルメトロ車両の外観の最大の特徴は、両車端部に設けられたドア(開き戸)。ソウルメトロ時代からある既存のドアは締切で、乗降はこのドアから行う。
新設されたドアの隣にはトイレが設けられ、台車の前に汚物流し管が新設されている(水洗式トイレであるが、汚物タンクはない)。
各車両床下に設けられた水タンク。中の水はトイレ・洗面台用に使用される。
黄色い配管が給水用ホース接続箇所。
Gia Lam駅での給水の様子。
台車自体は特段改造されていない。台車形式はND310T(日本車両が設計したもので、201系900番台の台車に類似している)。元々付随車であるため、電動機は搭載していない。
ジャンパ栓。一部はベトナム仕様に交換されている。
「HALONG EXPRESS」としてデビューした際は中央の車両番号プレートの上にロゴマークが記されていたが、現在は車体色で塗り潰されている。しかし、塗装のムラの隙間から僅かに「HALONG EXPRESS」の文字の跡が確認できる。
妻面の諸元表記。
2222。元ソウルメトロ2000系222Fに組み込まれていた車両。各車両とも冷房装置は屋根上に3台設置されていたが、中央の1台は撤去されている。ベトナム国鉄での正式な車両番号は「A2222」(「A」はベトナム国鉄でソフトシート車を示す記号)。
なお、ソウルメトロ時代に順次冷房装置を新型のものに更新していたが、更新の際は1両分まとめてではなく3台バラバラに更新していた。そのため、2222の冷房装置は新旧のものが混在した状態のままとなっている(写真左手前が旧型、右奥が新型)。

Gia Lamにて
同じく2222(上写真と反対のエンド側から見る)。
譲渡された6両はソウルメトロ時代、側面に行先表示部(方向幕式)があったが、その窓はベトナムにて完全に塞がれている。
各車両の窓下には「DUONG SAT VIET NAM」(ドゥオンサッ ヴィエットナム=ベトナム鉄道の意。漢字表記の場合「塘鐵越南」)と記されている。
2322。上の2222と同じく、元ソウルメトロ2000系222Fに組み込まれていた車両。ソウルメトロ時代に冷房装置更新が完了し、新型で統一されている(中央の1台は撤去)。ベトナム国鉄での正式な車両番号は「A2322」。

Gia Lamにて
同じく2322(上写真と反対のエンド側から見る)。

Dong Dangにて
2333。元ソウルメトロ2000系233Fに組み込まれていた車両。ソウルメトロ時代に冷房装置更新が完了し、新型で統一されている(中央の1台は撤去)。ベトナム国鉄での正式な車両番号は「A2333」。

Gia Lamにて
同じく2333(上写真と反対のエンド側から見る)。

Dong Dangにて
2233。上の2333と同じく、元ソウルメトロ2000系233Fに組み込まれていた車両。
この車両のみカフェ車(食堂車)兼電源車で、車内の半分は発電機が搭載されている(関係者以外立入禁止)。この車両は1両しか存在せず、この車両を連結しないと他の車両に電源を供給できないため、運行時には必ず連結されている(他のソフトシート車5両は適宜車両を組み替えて運用)。方転しない限り、常にDong Dang寄り先頭車となる。
冷房装置は元々3台設置されていて、他の車両が中央の1台を撤去しているのに対し、この車両は発電機側の端の冷房装置を撤去し、中央部とカフェスペース側の冷房装置を残している。ソウルメトロ時代に冷房装置更新が完了し、新型で統一されている。
ベトナム国鉄での正式な車両番号は「CVPD2233」(「CVPD」はベトナム国鉄で職務(=乗務員居住車)・電源車を示す記号)。

Gia Lamにて
発電機搭載部のドアが開いた状態の2233(この部分の既存のドアのみ開閉可能)。
同じく2233(上写真と反対のエンド側から見る)。

Dong Dangにて
同じく2233(上写真と反対側の側面)。この2233のみ床下に水タンクを2つ搭載している(他の車両は1つ)。
2233は発電機搭載側の車端部に乗降用ドアが新設されておらず、既存のドア本体にルーバーが設置された。また、発電機搭載部の屋根に排気口が設置されている。
屋根上に新設された排気口。
2233の車内に搭載されている発電機。
発電機を起動!黒煙が上がる。
牽引機のD14E機関車(標準機用の中国製電気式ディーゼル機関車)とソウルメトロ2000系との連結部。車両の高さの違いが目立つ(ソウルメトロ2000系が小さいというよりも、機関車が大きい。2000系の高さ寸法は日本の標準的な通勤形電車とほぼ同一)。
2015年10月21日に接触事故が発生し、車体側面に大きく傷が入ってしまった2233と2333。車体やドアも歪み、またしても再起が危ぶまれたが、この後2015年10月22日〜同年11月10日に傷跡がほとんど目立たないまでに修理が行われ、無事同年11月11日に営業運転に復帰した。車両修理中は一般のベトナム国鉄のメーターゲージ車両で代走していた(ダイヤは同じで、列車番号のみDD5〜DD8に変更)。

Gia Lam付近にて
2両目の2333まで入った傷。現在は修復し、運用に復帰した。
Tu Son駅に入線する、Dong Dang発Gia Lam行きの5HD2列車。客車は元ソウルメトロ2000系2222+2333+2322+2233の4両。

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Gia Lam駅での1時間の折り返し時間で給水や車内清掃などの各種準備を行う、Dong Dang行きの5HD1列車。機関車次位の2233は食堂車兼電源車。

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