A.S.社(タイ) 元JR北海道DD51形

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DD51形ディーゼル機関車は日本国有鉄道(国鉄)時代の1962年〜1978年に649両が製造された車両である。製造会社は日立製作所・川崎車輛・三菱重工業・新三菱重工業の4社。国鉄分割民営化時にJR北海道に25両、JR東日本に29両、JR東海に4両、JR西日本に63両、JR九州に1両、JR貨物に137両が継承された。車両寸法は長さ18,000mm×幅2,971mm×高さ3,956mm。最高速度は95km/h。車体は鋼製。

老朽化等により廃車が進んでいるが、このうち、JR北海道のDD51 1137・1142の2両が2018年にタイのインフラ建設会社である「A.S. ASSOCIATED ENGINEERING (1964) CO.,LTD」(以下、A.S.社)に譲渡された。

・DD51 1137 落成:1975年5月20日(日立製作所)、配置:小樽築港機関区→空知運転区(→空知運転所)→函館運輸所、廃車日:2015年11月30日
・DD51 1142 落成:1975年6月27日(日立製作所)、配置:岩見沢第二機関区→小樽築港機関区→空知運転区(→空知運転所)→函館運輸所、廃車日:2015年3月31日

2015年11月17日にDD51 1137、2016年3月7日にDD51 1142がそれぞれ室蘭港崎守埠頭(陣屋町臨港駅)へ廃車回送された。その後、2年間以上埠頭に留置されたままであったが、2018年9月13日に船積みされ、2018年9月30日にタイのレムチャバン(Laem Chabang)港に到着した。

レムチャバン港到着後はノーンプラードゥック(Nong Pla Duk Junction)駅にほど近い、A.S.社の整備基地へ輸送された。到着後、車軸の改造(軌間が日本では1,067mmに対しタイでは1,000mmのため、車軸を切断後再溶接して対応)等を実施。一方、塗装はJR北海道時代の通称北斗星色のまま整備(再塗装)されることとなった。また、JR北海道廃車時に撤去されていた車両番号プレートは同じ番号で現地で再製され、タイ到着時にはホイッスルが欠落していたDD51 1137は新たな警笛装置が取り付けられた。

2019年に日本の鉄道愛好家主催のクラウドファンディングが行われ、日本人技術者の派遣によるメンテナンス技術と運転技術の指導等が行われた(詳細はこちら)。

将来的に、タイ国鉄南線の複線化工事等での使用が計画されている。

室蘭港崎守埠頭に留置されている、DD51 1142(中央)とDD51 1137(右奥)。他のDD51含め、当初はミャンマー国鉄譲渡と報道されたが、話が流れてしまったのか2年近く留置が続いた。当地には全部で11両のDD51形が2015年〜2016年に搬入されたが、今回譲渡されたのはこのうちの2両のみである(残りは室蘭港に留置されたまま)。

以下、2016年10月15日撮影
車体の脇に置かれた、DD51形の台車。
室蘭港崎守埠頭に並ぶDD51形。左奥には同じくタイ(タイ国鉄)に譲渡された「はまなす」用14系客車10両も見える。14系客車は一足先に2016年11月にタイへと旅立っていった。
(しかし、最終的にタイでの整備は2年後に旅立ったDD51形の方が先になるとは…)
あれから2年、タイにて感動の再会。北斗星カラーのまま整備されている。職長によると北斗星カラーがお気に入りのようで、塗装を変更するつもりはないとのことである。

以下、2018年11月23日撮影
タイ国鉄南線ノーンプラードゥック駅構内にある、タイのインフラ建設会社「A.S. ASSOCIATED ENGINEERING (1964) CO.,LTD」の整備基地で整備が進められているDD51 1137・1142。
タイ国鉄南線を行く列車とも顔を合わせる。
整備基地内で向かい合うDD51 1137(左)とDD51 1142(右)。
DD51 1137外観。
タイの青空に青い車体が映える。
前面及び側面にはA.S.社にて車両番号プレートが再製された。オリジナルのものはJR北海道で廃車時に既に撤去されている。
JR北海道時代と異なりプレートは青地で、車両番号表記もステンレス切り抜き文字ではなく銀色のステッカーであるが、フォントはJR北海道時代のものに類似したものにしている。
また、海外譲渡後は改番されるケースも多いが、ここでは元の車両番号を踏襲している。
側面。前面と同様に車両番号プレートが設置された。JR北海道時代との差異は側面にA.S.社のロゴマークのステッカーが貼られたことと、車輪の縁が白色で墨入れされたこと等である。
JR貨物苗穂車両所での検査表記(平成26年11月)。JR北海道は機関車の検査を同所へ委託していた。
午後の光を浴びて輝くDD51 1137。
DD51 1137のキャブ内の様子。特にJR北海道時代から改造はされておらず、今後主要機器周辺に英語・タイ語表記を追加予定とのことである。
旋回窓。雪とは無縁のタイの鉄道では初の装備。
キャブからの前面展望。
扇風機。JNRのマークが残る。
各種表示灯。
キャブ内の通路と検査表記。
SG休止(SG=蒸気発生装置;Steam Generator)の張り紙。1994年に廃止された「空知運転所」の表記が残る。
庫内で整備を受けるDD51 1142。
DD51 1142の車両番号プレート。
JR貨物苗穂車両所での検査表記。こちらは平成24年3月検査となっている。
JR北海道の銘板もそのまま残る。
エンジニアが集まって整備状況を確認。
タイ国鉄の車両限界は、床下についてはJRよりも狭い。そのため、車両限界を超える燃料タンクの一部を切除すべく準備が進められている。
開いたエンジンルーム。
A.S.社保有のマルチプルタイタンパーと並ぶDD51 1142。
DD51 1142のキャブ内の様子。
夕日を浴びるDD51 1137・1142。今日の整備も終了。
約1年後の2019年11月3日に再訪。車体は北斗星カラーのまま再塗装され(原色より僅かに青が濃い)、さらに前面窓の旋回窓の撤去・ワイパーの設置(暖地仕様化)、スノープラウのゼブラカラー化が図られた(DD51 1137・1142共に)。

以下、2019年11月3日撮影
下から見上げたDD51 1137。ゼブラー化されたスノープラウが目立つ。
車体は北斗星カラーに忠実に再塗装されたが、各種表記類の周りのみ塗り直さずに元の表記を残した(検査表記等)。そのため、文字の周りは原色のままとなっており、若干色合いが異なる。なお、再塗装された部分は青の色味が原色より僅かに濃い。
DD51 1142。DD51 1137と同じ仕様で再塗装され、前面窓も旋回窓が撤去された。
DD51 1137・1142ともに、スンガイコーロック側(ナムトク側・スパンブリー側)の尾灯レンズはプラスチック製のものに交換されている(恐らく元のものが何らかの理由で破損してしまったためと思われる)。なお、バンコク側の尾灯は原形のままである。
再塗装されたDD51 1142の側面。こちらも表記周りのみ再塗装されていない。
旋回窓が撤去され、ワイパーが設置された前面窓。雪と無縁のタイでは、確かに旋回窓よりもワイパーの方が理にかなっている。
運転台。スイッチや灯具の日本語表記の一部は、タイ在住の鉄道愛好家・翻訳家の方によるタイ語・英語表記のテプラが追加された。
運転台に常備された、タイ語訳・英訳されたDD51形の取扱説明書。
2019年11月3日に運行された「スパンブリー線白昼貸切列車」ツアーの際、参加者のペソギソチャソ様(@pesogisochaso)が製作されたヘッドマーク(レプリカ)を掲げて撮影会。「はまなす」がタイで甦った瞬間である。
「はまなす」を掲げたDD51 1137と並ぶマルタイ。
再びタイの地で「北斗星」を掲げるDD51 1137。感無量である。
「北斗星」のヘッドマーク(レプリカ)とDD51 1137。ASとタイ国鉄(SRT)のロゴマークも追加された特製デザインである。
タイのインフラ建設業者であるA.S. ASSOCIATED ENGINEERING (1964) CO.,LTDが2018年に元JR北海道DD51形ディーゼル機関車のDD51 1137とDD51 1142の2両を購入した。北斗星色のままNong Pladuk Junction駅に隣接した整備場で整備が進められており、今後タイ国鉄南線の複線化工事等に使用予定。
特別に職長がDD51 1137のエンジン始動及び構内走行の様子を見せてくださった。

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