タイ国鉄 元JR北海道14系(「はまなす」用車両)

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14系客車は日本国有鉄道(国鉄)時代の1971年〜1978年に製造された客車で、寝台車251両、座席車325両の計576両が製造された。製造会社は新潟鐵工・富士重工・日本車両。国鉄分割民営化時にJR北海道に84両、JR東日本に218両、JR東海に37両、JR西日本に158両、JR九州に61両(全社計558両(他形式からの編入車両を含み、他形式への改造車両を除く))が継承された。車体は鋼製。

このうち、JR北海道にて急行「はまなす」等で使用されていた10両(オハ14 503・507・508・510・531、スハフ14 506・509・551・555・556)が2016年にタイ国鉄(SRT)に譲渡された。2016年4月11日〜12日に室蘭港崎守埠頭(陣屋町臨港駅)へ廃車回送された後、同年11月に同埠頭で船積みされ、同月25日にタイのレムチャバン(Laem Chabang)港で陸揚げされた。同月27日にはシーラーチャー(Si Racha Junction)駅まで回送された。

当初は2017年半ば〜2018年頃より通常の列車または観光列車として使用する計画であったが、2018年12月現在、手つかずのまま10両ともシーラーチャー駅に留置されている。なお、2017年6月頃にオハ14 503・オハ14 531・スハフ14 506の3両はマッカサン鉄道工場(Makkasan Workshop)に入場したが、特に改造も受けず2018年に再びシーラーチャー駅に返却されている。

室蘭港崎守埠頭に留置されている、元「はまなす」用14系客車。船積みのため、撮影数日前に陣屋町臨港駅から崎守埠頭の岸壁まで陸送された。

以下、2016年10月15日撮影
車体と台車を分離して留置される、「はまなす」用14系客車全10両(オハ14 503・507・508・510・531、スハフ14 506・509・551・555・556)。
車両の妻面にはチョークのようなもので車両番号が記されている。スハフ14形は床下に電源用ディーゼル発電機を搭載しているため、Powerを示す「PW」の文字が書かれている。なお、妻面の各種表記は残っているが、銘板類は廃車時に取り外された。
あれから2年後、タイ国鉄東線のシーラーチャー(Si Racha Junction)駅で再会。しかし、タイに到着後もほぼ手つかずのままで、色褪せや痛みが目立つ。
14系はタイ国鉄でJR西日本からの譲渡車が既に運用されているが、北海道向けの500番台改造車は初である。着雪・凍結防止のため、側扉が引戸化改造されているのが特徴。

以下、2018年11月23日撮影
タイの青空の下に佇む14系。14系はもともと青空よりも濃い青であったが、今では退色してしまった。再びタイで客を乗せて走れる日は来るのだろうか。
スハフ14 551。
側面の車両番号表記(ステンレス切り抜き文字)は全車両残存している。
オハ14 510。
ドア脇に残る「ドリームカー」の文字。なお、「ドリームカー」は急行「はまなす」にて普通車指定席の愛称として使われていた。
オハ14 508。
スハフ14 556。
スハフ14 555。
編成は通路確保のため切り離され、数メートル離れて5両ずつ留置されている。スハフ14 509以下5両編成。
スハフ14 509。
オハ14 507。
スハフ14 506。ここから後ろ3両は2017年6月〜2018年にマッカサン鉄道工場に入場歴あり(後述)。
オハ14 531。タイに譲渡されたオハ14形500番台の中で唯一の普通車自由席車両(他のオハ14形500番台は「ドリームカー」)。
オハ14 503。
側窓に掲示されたままのシッピングマーク。
妻面の各種表記。
製造所銘板撤去跡(JR北海道にて撤去)。
行先表示器もJR北海道で廃車時に撤去されていた。
着雪防止のため床下に設置されたカバー。500番台ならではの耐寒構造である。
普通車自由席(オハ14 531)の車内の様子。痛みが目立つ外観とは対照的に、車内は綺麗な状態のまま保たれている。特に手は付けられておらず、特徴的な座席のモケットや床敷物の柄もそのままである。
オハ14 531の車端部(デッキ仕切り)。
側扉にはJR北海道のドアステッカーも残る。
国鉄標準型の「非常用ドアコック」のプレート。「ほかの"汽車"や電車にもご注意ください」と書かれているものであることから、相当古いものと思われる。(後期のものは「ほかの列車や電車にご注意ください」となっている他、上の青い矢印の中の文字は「あぶないですから、非常の場合のほかは外に出ないでください」に改められている。)
トイレ。
洗面台。
普通車指定席「ドリームカー」(オハ14 503)の車内の様子。
キハ183系(キロ182形)のグリーン車の座席を転用した「ドリームカー」の座席。リクライニング角度も深い。
車内には2016年3月26日ダイヤ改正の広告が残っており、車内はあの時から時が止まっているかのようだ。
車内の車両番号プレート。
「ドリームカー」各車両の片側の車端部に設けられているミニラウンジ。
スハフ14 506は2017年〜2018年に一度マッカサン工場に入場したことがあり、デッキ内部や車外には各所を採寸された形跡がある。
14系が留置されている、シーラーチャー(Si Racha Junction)駅の外観。旅客列車は1日1往復しか運転されていない。
駅構内に隣接している機関庫(ヤード)。その向こうに14系は留置されている。
(なお、機関庫内は無断通り抜け厳禁のため、事前に許可を取るか、駅裏手から回る必要がある)
2015年に導入した中国南車製のディーゼル機関車と並ぶ。
シーラーチャー駅の機関庫と14系客車。
マッカサン鉄道工場(Makkasan Workshop)に留置されているオハ14 503・オハ14 531・スハフ14 506の3両。2017年6月頃に入場のため首都バンコクに初上京し、改造が始まるのかと期待された。しかし、特に改造も受けずに2018年に再びシーラーチャー駅に返却されてしまった。写真右側の高架はAirport Rail Linkのもの。

以下、2017年10月13日撮影。
マッカサン工場に留置されているスハフ14 506。後ろにオハ14 531とオハ14 503が連結されている。

(敷地外より撮影)
オハ14 503。

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