新盆唐線のD000系は新盆唐線株式会社及び京畿鉄道株式会社が保有する車両である。全車両が現代ROTEM製で、第1期区間開業に備えて2010〜2011年に6両編成12本(72両)が製造され、さらに第2期区間開業に備えて2014〜2015年に6両編成8本(48両)が増備された。オールステンレス車両で、韓国鉄道技術院(KRRI)で開発中の次世代通勤形電車「AUTS」(Advanced
Urban Transit System)で得られた技術を多数採用している。 パンタグラフは韓国の通勤形電車で初めてシングルアーム式のものが採用されている。 前面には大きな非常扉が設置され、その中央には中央司令室が前方を監視するためのカメラが設置されている。前面形状や構造はこれまで現代ROTEMが輸出した香港のK-Trainやインド向けMRTの車両に類似している。運転台は進行方向左側に設置されており、無人運転時は格納されている。保安装置はATO・ATCで、盆唐線内用のATCも搭載している。 車両寸法は長さ20,000mm(先頭車20,500mm)×幅3,120mm×高さ3,600mm。加速度は3.0km/h/s、減速度は3.5km/h/s(非常時は4.5km/h/s)、営業最高速度は90km/h(将来110km/h、設計最高速度は120km/h)。 2010〜2011年製のD01編成〜D12編成は新盆唐線株式会社が所有し、2014〜2015年製のD13編成〜D20編成は京畿鉄道株式会社が所有している。両者の使用はほぼ同一だが、鴨居部に設置された案内装置が新盆唐線株式会社所有編成がマップ式であるのに対し、京畿鉄道株式会社所有編成がLCD式である。また、京畿鉄道株式会社所有編成は前照灯が製造時よりLED式である(現在は新盆唐線株式会社所有編成もLED式前照灯に交換されたため、差異はない)。なお、D07編成とD13編成には線路検査装置が設置されている。 車両形式は江南・龍山寄りからD100形(Tc)-D700形(M)-D400形(T)-D300形(M)-D200形(M)-D000形(Tc)の順で、下2桁が編成番号を示す(第1編成ならばD101-D701-D401-D301-D201-D001となる)。 8両編成化に対応しており、各駅のホームも8両分の有効長がある。 |
新盆唐線株式会社所有編成 | |
新盆唐線株式会社所有のD000系D06編成。D01編成〜D12編成は新盆唐線株式会社が所有している。 光教にて | |
D12編成。非常扉の中央には中央司令室が前方を監視するためのカメラが設置されている。 光教にて | |
光教駅に入線するD09編成(後追い)。京畿鉄道株式会社所有編成を含め、全編成とも最後尾も前照灯を点灯して走行する。 | |
光教駅に入線するD02編成。 | |
車両は無人自動運転に対応しているが、かつてKORAIL盆唐線内を回送で走行していた際は有人運転を行っていた。運転台は進行方向左側に設置。 | |
先頭車の屋根上にはCBTCの受信アンテナが設置されている。 | |
車両側面。パンタグラフは韓国の通勤形電車初のシングルアーム式で、パンタグラフのアームは車体中央部向き(外開き)である。全車両とも亭子・光教寄りの端に設置されている。 側扉はプラグドアを採用している。 台車は「AUTS」で使用されている新形状のものではなく、従来型の標準仕様のものとなっている。 | |
パンタグラフの拡大。剛体架線対応型。アームの形状はY字形となっている。 | |
側板。溶接跡から、裾部を除いてすべてレーザー溶接となっているのが分かる(ソウル市メトロ9000系は戸袋部のみレーザー溶接)。 | |
車両の側面中央部には小型のLED式行先表示機が設置されている。全駅にプラットホームスクリーンドア(PSD)を採用しているため、ホームからの確認は困難である(ソウル都市鉄道は全駅にホームドアが設置されたため、全編成の側面の行き先表示機を撤去した)。 腰板の車両番号はステンレス板の切り抜きである。 | |
新盆唐線株式会社所有編成の車内の様子。通路および座席にスタンションポールが設置されている。座席のモケットは青と橙で色分けされている。網棚は車端部を除いて省略。室内の照明はすべてLED。 | |
車端部と貫通路。天井には防犯カメラが設置されている。貫通路上にはLCDを設置。 | |
各ドア間の窓上の鴨居部にもLCDが設置されている。 | |
LCDの表示内容。左上から順に行き先、現在時刻、現在の速度、右下に次駅名、次駅までの残り距離が表示されている。 速度と残り距離が表示されるのは珍しい(ソウルでは初、韓国では釜山-金海軽電鉄に次いで2番目)。 | |
車端部は優先席となっている。網棚が設置されている。 | |
車両のプラグドアとプラットホームスクリーンドア(PSD)が開いた状態。 | |
ドアの両脇の柱には縦長のLEDが設置されており、駅到着時〜扉開閉時動作は点滅し、扉が開いているときは点灯する。アジアの通勤形車両で初採用である。 | |
新盆唐線株式会社所有編成のドアの鴨居部には、マップ式案内装置が設置されている。すでに走行した区間を赤、これから走行する区間を緑で表示する。 | |
亭子〜光教 間開通前のマップ式案内表示器。 | |
非常ドアコック。最近の韓国の通勤形車両で主流のハンドル式ではなく、手前に倒すレバー式となっている。 | |
非常用ハンマー(韓国の通勤形車両で初導入)と非常インターホン。 | |
車両先端部。運転台は左側に格納されている。完全無人運転で、前面展望は抜群。中央の非常扉は、車椅子が通過できる幅を確保している。非常時には扉の上辺が車外側に倒れるように開く。 | |
側面には乗務員用の小窓が設置されている。 | |
非常扉のスイッチ。アクリルカバーを割って、ボタンを押すだけで作動する。 | |
現代ROTEMの車内銘板。 | |
車内の車両番号プレート。①は車両のエンド側を示す。 | |
京畿鉄道株式会社所有編成 | |
京畿鉄道株式会社所有のD19編成。D13編成〜D20編成は京畿鉄道株式会社が所有している。新盆唐線株式会社所有の車両との外観上の際はほぼ皆無。 光教にて | |
京畿鉄道株式会社所有編成の車内の様子。新盆唐線株式会社所有編成とほぼ同一仕様。 | |
京畿鉄道株式会社所有編成と新盆唐線株式会社所有編成の唯一の差異は、ドア鴨居部の案内装置である。京畿鉄道株式会社所有編成はLCD1台が千鳥配置されている。 | |
LCDの表示内容。路線図と現在の走行位置が表示される。 | |
次駅案内表示。 | |
次駅及びドアが開く側の案内。 | |
車両先端部。 | |
貫通路。 | |
現代ROTEMの車内銘板。2016年製とあるが、実製造年は2015年である(納入完了日を基準としている?)。 | |
亭子〜光教 間開通に伴い導入された京畿鉄道所属の編成(D13編成〜D20編成)は、ドア上の案内表示器がLCDである(新盆唐線株式会社所属のD01編成〜D12編成)はマップ式案内装置。
LCDでは列車の走行位置や次駅案内等を表示する。 HD Video |
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駅接近〜到着時には、開く側のドアの両脇のLEDが点滅する。 HD Video |
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早めの切り替え間隔で韓国語・英語表記を交互表示する。 Full HD Video |
D000系走行音(板橋→亭子) | IGBT-VVVF制御で、制御装置は現代ROTEM製。 Tc-M-T-M-M-Tc(3M3T)の6両編成。 ドアエンジンは電気スクリュー軸駆動式。 |
D000系走行音(亭子→板橋) |