江陵線KTX

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江陵線KTXは中央線と京江線(西原州〜江陵 間)を経由して、ソウル、清凉里(チョンニャンニ)と江陵(カンヌン)を結ぶKTXの運行系統である(2018年4月15日までは「京江線KTX」と案内されていた)。2017年12月22日の京江線(西原州〜江陵 間)開業と同時に営業運転を開始した。

2018年平昌オリンピックに対応して建設された。平昌オリンピック招致の際に計画が発表され、オリンピック開催決定後に計画を変更したうえで(ソウル〜江陵 間のKTX専用線建設を中止し、西原州〜江陵 間に最高速度250km/hの高規格鉄道を建設)、2012年6月1日に江陵駅前で起工式が行われた。オリンピック関連予算の中で最も多くの予算(全体の25%〜30%)が投入され、起工式から僅か5年半で開通した(2017年3月28日に全区間の軌道敷設が完了)。開通により、ソウル(清凉里)〜江陵は従来、中央線・太白線・嶺東線経由で6時間近くかかっていたものが、僅か最速86分に短縮された。

京江線には万鍾(マンジョン)、横城(フェンソン)、屯内(トゥンネ)、平昌(ピョンチャン)、珍富(五台山)(チンブ(オデサン))、江陵の6駅が設けられ、うち、 平昌、珍富(五台山)、江陵の3駅は平昌オリンピック会場への最寄り駅。全120.7kmのうち、トンネル区間が76km(32箇所)、橋梁区間が14.2km(42箇所)あり、全区間の75%を占める。特に、大関嶺トンネルは全長21,755mで、韓国のトンネルでは水西平沢高速線の栗(ユリョン)トンネルに次いで2位、韓国の山岳トンネルとしては最長である。また、江陵付近は当初地下化計画はなく、江陵〜南江陵を廃止する計画であったが、南江陵が江陵市の外れにあり市街地へのアクセスが悪化するため、市街地区間(2.9km)を地下化して存置することとなった。大半の区間は複線だが、南江陵信号場〜江陵 間は単線である。

2017年12月22日よりソウル、清凉里〜江陵 間で平日18往復、週末26往復で運行を開始。オリンピック・パラリンピック期間中は増発され、仁川空港2ターミナル駅発着の列車も設定された。車両は「KTX-山川」の140000形が使用され、2016年〜2017年に15編成が現代ROTEMで製造された。開業時からオリンピック期間中までは、2018年平昌オリンピックを記念したラッピングが両先頭車に施された他、先頭車側面には「KTX-平昌」と書かれたロゴが掲出された(オリンピック閉幕後はラッピングを解かれ、側面ロゴも「KTX-山川」に戻された)。京江線区間のホーム延長の都合上、全列車が10両編成で運行され、他の路線のKTXのような重連運転は行われない(但し、珍富(五台山)駅のみ20両分のホーム有効長があり、平昌オリンピック開催期間中に臨時便でKTX-Iが同駅まで運転された)。

2018年平昌オリンピックを前に運行を開始した江陵線KTX。韓国の鉄道は開通が後ろ倒しになる例が少なくないが、京江線は平昌オリンピックへのアクセスの要として建設されたため、計画時期通りに開通した。
京江線区間は最高速度250km/hで、KTX専用路線ではなく、高規格な在来線扱いである(将来的な一般列車運行も考慮して、保安装置はATS・ATPとし、信号機も設置されている)。将来的には「EMU-250」と呼ばれる最高速度260km/hの新型車両で運行される計画である。

平昌にて
ソウル駅に停車中の江陵線KTX。ソウル〜江陵 間を最速114分を結ぶ。
2018年平昌オリンピックを記念したラッピングが両先頭車に施された140000形。
先頭車側面の「KTX-平昌」のロゴ(平昌オリンピック期間限定で、オリンピック閉幕後は通常の「KTX-山川」に戻された)。
江陵行きKTX811号の側面表示。
車内のLCD表示。案内表示及び案内放送は韓国語・英語・中国語・日本語の4か国語放送が行われる。
ソウル駅を発車した江陵線KTX。龍山駅の北側で京釜線の線路をオーバークロスする。この区間を走行する定期列車は江陵線KTXが運行開始するまで、ほぼ皆無であった。
清凉里駅に到着。京義・中央線の電車と並ぶ。
上鳳駅に到着。KTXの上鳳駅は既存の中央線上鳳駅と忘憂駅の間に設けられ、両駅からアクセスできる。
京江線区間に入ると最高速度が250km/hに向上。冬は雪景色が広がる。
屯内駅に停車。横城駅と屯内駅は2面4線で、外側のホームは高床となっている(現在は未使用)。また、万鍾・平昌・江陵の3駅も将来的なホームのかさ上げに対応した構造となっている。
平昌駅到着案内。
平昌駅。2面4線の構造。なお、2018年平昌オリンピックの大半の競技場は平昌駅が最寄りではなく、珍富(五台山)駅または江陵駅が最寄り駅である。
平昌駅の駅名標。
平昌駅に入線する、上下線の江陵線KTX。
KTX-平昌 in 平昌。
平昌駅の駅舎外観。
駅前には2018年平昌オリンピックの旗がたなびいていた。
平昌オリンピック・パラリンピック公式マスコットキャラクターである、白虎の「スホラン」とトキノワグマの「パンダビ」が駅前でお出迎え。
平昌駅の内部。コンコースは2階にある。
平昌駅営業開始と江陵線KTX(ソウル-江陵KTX)の開通を祝う幕。
珍富(五台山)駅。平昌オリンピック・パラリンピックの開・閉会式が行われる「平昌オリンピックスタジアム」の最寄り駅だが、17km程離れている。平昌オリンピック・パラリンピックの開催期間中は駅前よりシャトルバスが運行。なお、珍富(五台山)駅からのアクセス道路の整備が京江線建設と同時に行われた。
珍富(五台山)駅のホーム。コンコースは1階で、ホームは築堤上にある。
珍富(五台山)駅の駅名標。
珍富(五台山)駅に入線する江陵線KTX。当駅のみ20両分(KTX-I対応)のホーム有効長があり、平昌オリンピック開催期間中に臨時便でKTX-Iが同駅まで運転された。
珍富(五台山)駅の駅前広場に掲げられたオリンピックシンボルと、「2018平昌冬季オリンピック」の文字。
珍富(五台山)駅へのアクセス道路には、平昌オリンピック・パラリンピック開催に合わせて特製のゲートが設置された。
平昌オリンピック・パラリンピックの開・閉会式会場の「平昌オリンピックスタジアム」外観。
「アルペンシア・スキージャンプセンター」。スキージャンプ台は98mと125mの高さがあり、韓国唯一のスキージャンプ台である。平昌オリンピックでは、スキージャンプ、ノルディック複合、スノーボードビッグエア競技の会場として使用。
平昌オリンピックの会場近くでは、オリンピック開催期間限定で「オリンピックレーン」(オリンピック専用車路)が設定された。
終点の江陵駅。地下化工事に伴い2014年9月15日より一時営業を停止していたが、2017年12月22日の京江線開通と共に再開した(嶺東線は2018年7月18日に乗り入れ再開)。
江陵駅の駅舎前に立つ、「スホラン」と「パンダビ」。
各種キャラクターが平昌オリンピック競技を楽しむ。
江陵駅の内部。駅舎は円形で、天井の照明の色は変化する。ホームは地下1階。
江陵駅の内部にある「原州〜江陵高速鉄道体験型総合展示館」。入館無料で、大関嶺トンネルのVRコーナー等、高速鉄道建設の技術を展示している。
江陵駅のホーム。ホームは半地下構造。
江陵駅で並ぶ「KTX-山川」(140000形)。
ホームの南側には江陵トンネル(長さ2,860m)が見える。市街地の騒音・振動防止のため、京江線整備に際して地下化された。
ホームの北側の留置線。駅構内も含めて鋼体架線を使用している。
140000形の特室(3号車)の車内。
140000形の一般室。
1号車に設置されている、車椅子対応の化粧室。扉はボタンによる自動開閉式。
車椅子の乗降には、各駅に常備している専用のリフトが使用される。
珍富(五台山)駅に到着する、江陵行きの江陵線KTX。

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江陵駅を出発する、ソウル行きのKTX-山川。江陵駅を出るとすぐに地下トンネルである江陵トンネル(長さ2,860m)へと入る。

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珍富(五台山)駅に到着する江陵線KTXの車内の様子。到着放送は韓国語・英語・中国語・日本語の4か国語放送である。
珍富(五台山)駅は2018年平昌オリンピック・パラリンピックの開会式・閉会式会場である「平昌オリンピックスタジアム」の最寄り駅である。

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南江陵信号場〜江陵 間を走行する江陵線KTXからの車窓。南江陵信号場から先は単線区間である。途中、京江線の車両基地である南江陵車両事業所が見える。江陵駅手前の2.9kmは京江線開通に伴い地下化され、江陵駅も半地下構造の新駅となった。

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終点の清凉里駅に到着する江陵線KTXの車内の様子。到着放送は韓国語・英語・中国語・日本語の4か国語放送である。

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車掌の合図とともにドアが閉まり、ステップを収納したのち発車して行く、江陵行きのKTX-山川。

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