国立果川科学館(韓国型標準電車)

2008年11月14日にオープンした「国立果川科学館」(クンリプクァチョンクァハッグァン)は、約4万9500平方メートルの規模を誇る韓国最大の科学館である。685のテーマで4203点の展示物があり、体験型コーナーも数多く、一日ですべてを回るのは困難なほどである。

その中で、鉄道に関する展示にスポットを当てて紹介する。当科学館には、KRRIの韓国型標準電車試作車3両と、KORAILの2100形ディーゼル機関車(2101号)、セマウル号の客車(1987年製)1両が展示されている。韓国型標準電車はこれまで詳細がほとんど明らかになっていなかった車両であるだけに非常に興味深い。2100形ディーゼル機関車(2101号)、セマウル号の客車は、現役時代には存在しなかったKORAILの新塗装をまとっている。また、本館にはKRRIのブースや磁気浮上列車(リニアモーターカー)等、鉄道関係のブースもある。

アクセス:KORAIL果川線 大公園(テゴンウォン)駅 5番出口前
入場料:大人(20〜64歳):4,000ウォン、青少年・子供(7〜19歳):2,000ウォン、65歳以上及び障がい者・国家有功者・基礎生活受給者:無料
開館時間:9:30〜17:30(入場は16:30まで)
休館日:毎週月曜日、公休日、1月1日、ソルラル(旧正月)・秋夕の連休、臨時公休日

公式サイト(韓国語):http://www.scientorium.go.kr/index.do
公式サイト(日本語):http://www.scientorium.go.kr/jp/

国立果川科学館(本館)の外観。「宇宙を遊泳する飛行体」をイメージした形状となっている。
本館のメインエントランス。内部は基礎科学館、先端技術館、子供探求体験館、自然史館、伝統科学館等のテーマ別に分かれており、体験型コーナーも数多く設けられている。
屋外展示では、鉄道車両の実車5両が展示されている。
左はKRRI(韓国鉄道技術開発院)の韓国型標準電車の試作車、右はKORAILの2100形ディーゼル機関車2101号とセマウル号の客車(1987年製)。
韓国型標準電車の試作車。1999年に4両1本(Tc-M1-M2-Tc)が製造されたが、うち3両(Tc-M1、Tc)が保存された。
義王の鉄道博物館に保存されている車両とは異なり、これまで表舞台に出ることの無かった車両が展示されたのは非常に興味深い。完全に試作用途で製造された車両で、一般客を乗せたことは無い。アルミ車体やプラグドアの採用など、新機軸が採用されている。
前面デザイン。「垂れ目」の独特なデザインとなっている。
4両中3両が保存された韓国型標準電車の試作車。当車両での試験成果は、光州地下鉄1号線1000系以降に登場した通勤形車両で生かされている。
先頭車側面。ドアはプラグドアとなっている。前頭部の形状は、真横から見ると仁川メトロ1000系に通じる印象。台車は205系の台車(DT50・TR235)をベースとしているが、ベアリングの小型化などの改良が加えられている。
解説の看板。題名は韓国語・英語・日本語・中国語の4ヶ国語表記で、本文は韓国語・英語。以下のようなことが記されている。

・直流1,500V集電、設計最高速度は100km/h(営業最高速度80km/h)、加速度3.0km/h/s、減速度3.5km/h/s(非常4.5km/h/s)。
・KRRIを主体として、(株)ロテム、(株)暁星、(株)宇進産電が共同で1997年〜1999年に開発。ソウル都市鉄道7号線での本線走行試験、専用試験線での10万km走行試験を実施した。
・アルミ車体により既存車両(ステンレス車)よりも20%軽量化し、主要部品の国産化比率が58%から95%に向上した。
・現在、光州地下鉄1号線、釜山地下鉄3号線、大田地下鉄1号線、空港鉄道などの車両で、この技術が使用されている。
車内の様子。車体側面は「くの字」型になっている。案内表示機は枕木方向に1両当たり2箇所設置。ドアエンジンは空気圧作動式。
(貫通路から撮影。車内には立入不可。)
運転台。右手操作式ワンハンドルマスコンである。右手前にATO用の緑色のボタンも見える。
国産化されたVVVFインバータ制御装置。現代精工製。
三菱電機製の高電圧IPM素子「PM1200-CHC330」を技術供与の上国産化したものである。
展示スペースは駅のホーム状になっており、「科学館駅」の駅名標も設置されている。
2100形ディーゼル機関車(2101号)。エンジンルームがガラス張りになっており、内部を観察することが出来る。
セマウル号の客車。1987年製。外の車番プレートは撤去されている。
ピーナッツ型の低床CNGバス試作車。車体の素材は炭素ガラス繊維。
本館のKRRIのブース。TTXの模型等も展示されている。
リニアモーターカーの模型。実際に浮いて走行する様子を見ることが出来る。
館内には航空、宇宙をはじめ、各種分野の科学技術が紹介されている。丸1日かけても時間が足りないほど充実している。

「国立果川科学館」入場券

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