鉄原安保観光

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「DMZ train」で白馬高地に着くと、2種類のツアー(鉄原安保観光・鉄原シティーツアー)のバスが待機。鉄原安保観光のバスに乗車する。この日は2台体制の運行であった。
バスの車内。「DMZ train」からの乗客で満席となり、すぐに発車。座席は自由席。
バスにはガイドが乗車し、道中の観光案内をしてくれる。
まずは「トゥルミ平和館」で昼食をとる(トゥルミ=韓国語で「タンチョウ」)。昼食代はツアー料金(18,000ウォン)に含まれている。
「トゥルミ平和館」内部。
鉄原の農産物を使用した料理をバイキング形式で食べることが出来る。
入口に箱が置かれていた「DMZかぼちゃ」。どんなかぼちゃなのだろう?(現物確認できず)
「トゥルミ平和館」の敷地の傍らには「住民待避所」がある。韓国全域の地下駅・地下街・地下駐車場等あらゆる地下・半地下空間には「待避所」の標示が見られるが、ここの待避所は民間人統制区域に近接しており、住民退避を目的として建設された立派なものである。
住民待避所の地下への階段を降りると、頑丈な鉄の扉が構えている。扉の向こうの退避空間も普段は開放されている。
食後、最初に向かうのは朝鮮労働党舎跡である。1946年に建設され、ロシア式の建築様式である。正門の階段には朝鮮戦争時に韓国軍の戦車が通った跡が残り、壁面には無数の弾痕が残っている。建物の後方にある庭園にはムクゲの木々が植えられている。
建物の内部。戦争時に内部はほとんど破壊された。建物の一部は崩落しないよう補強されている。
続いてバスは民間人統制区域を越え、急斜面を登り「ミョルコンOP」へと向かう。
ミョルコンOP。OPはObservation Post(観測所)の意味で、北朝鮮側の動きを観測するために設けられた軍の施設である。内部及び北朝鮮側の撮影は禁止されている。
観光客はOP内に入ると、まずミョルコンOPを統括している第3歩兵師団(通称:白骨部隊)の概要及びこれまでの武力衝突の状況などに関するビデオを鑑賞し、ビデオが終わると建物のカーテンを兵士が一斉に開け、DMZ・北朝鮮側の風景が観光客の目に飛び込んでくる。その後、現役将校がミョルコンOP周辺のジオラマを用いて、DMZの状況や歴史について説明を行う。
ミョルコンOPの隣には「護国統一願鐘」が設けられている。
続いて向かうのは、金剛山電気鉄道(クムガンサンジョンキチョルト)の鉄橋である。鉄橋の横には「断ち切られた鉄路!金剛山90キロ」と書かれている。当時、金剛山電気鉄道で使用されていた車両は韓国側には残っておらず、北朝鮮・平壌の「鉄道省革命事績館」に1両が展示されている。

朝鮮半島南北で金剛山電気鉄道の軌道と車両の両方をこの目で見ることが出来たことは、管理人にとって非常に感慨深いものであった。
金剛山電気鉄道橋梁の解説。
上から見た鉄橋。
鉄橋は上を歩いて対岸まで渡ることが出来る。
鉄橋上の様子(鉄原寄りから内金剛方面を見たところ)。
橋梁の中央には架線柱が残されている。
鉄原駅寄りの鉄橋端。その先の軌道跡は草に埋もれていた。
続いて向かう先は、京元線の月井里(ウォルジョンニ)駅である。
月井里駅は京元線の廃駅で、朝鮮戦争の際に廃止となった。元々はDMZ内に位置していたが、1988年に現在の位置(民間人統制区域内の最北端)に移設された。Google Earth等で確認すると、DMZ内にそれらしき跡が残っている。また、現在の位置は京元線のかつての本線上である。
月井里駅の駅舎内部。元々簡易駅であり、質素な造りである。
ホーム側から見た駅舎。
京元線の軌道跡。
朝鮮戦争の際に破壊された車両が展示されている。残骸の形状から察すると、この写真の部分は客車の車端部(乗降口及びステップを含む)が90度上向き(仰向け)になって置かれているものと思われる。
別の車両。丸みを帯びているので、タンク車などの貨車か、蒸気機関車の一部と思われる。
1988年の駅舎移設時に車両の残骸等の輸送に使用された4001号も展示されている。
月井里駅の隣にある「鉄原トゥルミ館」。DMZ内の野生動物の剥製等が展示されている。この建物は、かつて「鉄の三角展望台」として使用されていた建物を改装したもの。展望台時代はDMZ内を見渡すことが出来たようだが、現在は不可能。
最後に回るのは白馬高地戦跡地。白馬高地は朝鮮戦争の激戦地で、14,000名余りの犠牲者を出した場所である。10日の戦闘で所有者が24回も変わり、砲撃によって変形した高地の姿が白馬が寝そべっているように見えることから白馬高地と呼ばれるようになったと言われている。
白馬高地を見渡す。
安保観光が終わり、バスは白馬高地駅へ戻ってきた。
白馬高地駅の内部。駅舎の壁には当駅を訪れた人々からのメッセージがびっしりと貼られている。
白馬高地駅の駅名標と鉄道中断点の標識。
白馬高地駅の駅舎と、復路の「DMZ train」。
夕日に照らされた「DMZ train」が出発の時を待つ。
ソウルへ向けて、白馬高地駅を後にする「DMZ train」。
KORAIL(韓国鉄道公社)最北端の駅、白馬高地駅を発車しソウルへと向かう「DMZ train」。

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