E331系

E331系は2006年に京葉線向けに製造された車両である。JR東日本初の連接車(14両編成)で、その他にも新技術であるDDM(車軸直接駆動式モーター)やPMSM(永久磁石同期電動機)等が本格採用された(DDM・PMSMともに新製の営業用鉄道車両での採用は初、DDMはE993系「ACトレイン」や103系モハ103-502で実用試験を目的に採用)。連接構造は台車数の削減(10両分換算(E331系では14両)で20台→16台)と、オーバーハングがない分の車体幅の拡大(従来車:2,950mm→E331系:2,989mm)に寄与した。情報管理システムはE231系の「TIMS」を発展させた「AIMS」を使用(後に登場したE233系ではTIMSを使用)。

2007年3月18日より営業運転を開始した。運用は休日に限定され、技術的なトラブルのためか同年4月より早くも運用離脱。メーカー(東急車輛・川崎重工)に返送して修理したのち、1年半後以上経った2008年12月に営業復帰したが、その後も不調が続き、2009年5月頃〜2010年3月は営業に就かなかった。そして2011年1月16日に発生した車両故障からは再び離脱し、その後は一度も営業運転に復帰することなく、2014年3月に長野総合車両センターに配給輸送(廃車回送)され、同年4月に除籍された。

当初予定では201系を本形式で置き換え予定であったが、量産先行車の1編成のみ(AK1編成)が製造され、結局量産されることはなかった。試作用途以外の車両形式の中では恐らく日本の通勤形電車で一般営業運転に就いた日数が最も短かかったと思われるE331系。新技術が詰まっていたものの実用に至らなかった、悲運の車両を振り返る。

休日95運用にて限定運用されていたE331系。6M8Tの14両編成。JR東日本初の連接車で、1両の長さは16,500 mm(1・7・8・14号車)もしくは13,400 mm(その他の号車)。3扉車で、ドアの位置は4扉車と異なる(各駅のホーム床には「14両編成」と書かれたE331系用のドア位置ステッカーが貼付されていた)。前面窓下のデザインにE993系「ACトレイン」の流れを汲む。

南船橋にて
201系と並ぶE331系。

海浜幕張にて
車内の様子。内装はE231系に近い配色であるが、座席の形状や袖仕切りは新規設計のもので、各側窓は下段固定・上段下降式である。各ドアの鴨居にはLCD(アスペクト比4:3)2つとドアランプが設置されている(京葉線車両ではLCD初採用。後継のE233系でも採用されたが、アスペクト比は16:9に変更)。ドア間の座席は5人掛けと6人掛け(1・7・8・14号車は7人掛け)、車端部は3人掛け(7・8号車の非連接部は6人掛け)となっている。
運行に就く機会が少ないことから、普通の広告は入らず、すべてJR東日本の自社広告や子供のイラスト(京葉線全線開業20周年記念のもの)等で広告枠は埋められていた。
先頭車。最も乗務員室寄りのドア間にはボックスシート・ロングシート可変座席が設置された。
車端部の号車・車両番号・製造メーカー表記。
1・14号車の乗務員室直後の乗降口に設置された、車椅子用の格納式電動スロープ。
乗務員室仕切り。手前の空間は車椅子スペースとなっている。
運転台。グラスコックピットでLCDは3画面設置。
2007年7月、京葉車両センター内で待機するE331系。2007年3月に土休日限定で営業運転開始したものの、わずか数日の運転で営業運転から離脱してしまった。
2010年10月9日の「京葉線全線開通20周年記念 京葉車両センターフェア」でE233系・209系・205系・201系とともに展示されたE331系。
201系とE331系の並び。当初の計画であれば201系の後継車両となる予定であったE331系だが、201系よりも先に引退してしまった(201系最終運転日:2011年6月20日、E331系:2011年1月16日(同日運行中に発生した車両故障で離脱))。
E331系外観。
正面から見たE331系。前照灯はHID。行先表示器は3色LED。
当日設置された、特製のヘッドマーク。「ONLY HOLIDAY」の文字が自虐的で物悲しい。
DDM(ダイレクトドライブモーター)採用等により、加速時の音は非常に静かである。6M8Tの14両編成。ドアエンジンはリニアモーター式。

HD Video
連接車独特のジョイント音がする。

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