Jatibarang製糖工場

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Jatibarang製糖工場(インドネシア語:PG Jatibarang / Pabrik Gula Jatibarang)は、オランダ統治(オランダ領東インド)時代の1842年に建設された製糖工場である。2017年に操業を停止し、現在は観光名所として保存されている。運営はAgrowisata Besaran Hijau。

工場の構内及びその周辺では、かつてサトウキビ列車(現地では「Spoor Teboe」と呼ばれている)が運行されており、現在も蒸気機関車7両、ディーゼル機関車5両が保存されている。また、1916年に建てられた、オランダ建築の立派な扇形庫も健在である。原則日曜日には、当時のディーゼル機関車が牽引する観光用トロッコが工場と積替ヤードの間の約600mで運行されている。

住所:Jl. Raya Tim. No.1, Penumbukan, Jatibarang Kidul, Kec. Jatibarang, Kabupaten Brebes, Jawa Tengah 52261
入場料:5,000ルピア(2019年12月現在)
切符売り場閉店:16:00、閉館:16:30(開館時刻は不明)
公式サイト:http://mbesaran.blogspot.com/

Jatibarang(ジャティバラン)製糖工場の正門。
工場の入口。ナローゲージの軌道が足元に延びている。軌間は600mm。
工場内にある立派な扇形庫。1916年に建てられたもので、公式サイトによるとサトウキビ列車の扇形庫としては世界最大級の大きさ・壮大さとのことである。観光名所として再整備された際、扇形庫を俯瞰できる足場が新たに建設された(この写真はその足場から撮影)。
扇形庫の中央の屋根の部分には、かつて「LOCOMOTIEF REMISE 1916」という文字が刻まれていたが、いつしか無くなってしまっていた。しかし、公式サイトによると我々が訪問した直後の2019年12月にその文字を復活させた模様である。
扇形庫の前のターンテーブルに置かれている7号蒸気機関車。
7号蒸気機関車のキャブ(運転室)。
焚ロの上に設置されている、7号蒸気機関車の銘板。1924年Arnold Jung Lokomotivfabrik(ドイツ)製である。
7号機関車が載っているターンテーブル。手動式で、参加者総出で押しても数十cmしか動かせなかった。
現役時代の写真をネットで確認したところ、当時からターンテーブルの回転に難儀していた模様である。
扇形庫の中に保存されている各種機関車。工場全体で蒸気機関車7両、ディーゼル機関車5両が保存されており、扇形庫の中には前述の7号機関車と、後述の観光用トロッコ牽引用のディーゼル機関車を除く10両が置かれている。
以下、扇形庫の左側から順に紹介する。写真は小型ディーゼル機関車(車両の詳細は不明)。
上写真と同型と思われる小型ディーゼル機関車。
2号蒸気機関車。
4号蒸気機関車。
扇形庫の中央部には美しい三枝分岐器がある。
三枝分岐の先に止まっている11号蒸気機関車(中央)。
12号蒸気機関車(左)と5号蒸気機関車(右)。
庫内から見た12号蒸気機関車(手前)と、5号蒸気機関車(奥)。
D5ディーゼル機関車。ロッド軸駆動方式である。
D5ディーゼル機関車のキャブ内の銘板。1982年12月に北陸重機工業で製造された車両である。
扇形庫の近くに放置されている、台枠だけになってしまった機関車。
観光用トロッコ。原則日曜日に運行されており、工場内と積替ヤードの間の約600mを往復する(この日は団体で訪れたため、土曜日にもかかわらず特別に動かして頂いた)。
ロッド式ディーゼル機関車が客車3両を牽引する。
ディーゼル機関車のキャブ。唯一動態保存されており、機器類も丁寧に整備されている。
ディーゼル機関車の銘板。先述のD5機関車と同様に北陸重機工業製で、製造年月も同一(1982年12月)である。外観もほぼ同一で、同型車両と思われる。
いざ出発!なお、通常は一般客はトロッコに乗車するが、機関士さんの多大なるご厚意でキャブに添乗させて頂けた。
てっきり少しだけ動いて終わりかと思いきや、トロッコは工場の敷地を出て公道へ。
公道を横断するトロッコ。
公道を渡り、トロッコは積替ヤードへ。ポイントは手動で切り替えている。
ここから先は複線(きちんと複線として活用されていた)。
線路の両側には、おびただしい数のサトウキビ運搬用のトロッコの廃車体が放置されていた。
積替ヤードの東端の折り返し地点に到着。客車を切り離し、客車を手押しで機関車と別の線路に入れ、機関車を前後で付け替える。
なお、この折り返し地点の先は北側へ廃線跡が延びている。Google Earthで確認した限りでは、かつてはJatibarangの町の北側を半周するように総延長5km程の軌道があったようである。2017年の操業停止よりも前にサトウキビ畑からのサトウキビの輸送はトラックに切り替えられており、トラックで運ばれたサトウキビはこの積替ヤードでトロッコに積み替えられていた。
折り返し。トロッコは歩く速度よりも遅いため、復路は線路脇を歩き、列車を撮影しながら戻ることにした。
積替ヤード内を走行するトロッコ列車。機関車の先頭には先導係(分岐器切替係兼踏切での交通整理係)の2名が乗務している。
廃トロッコで遊ぶ子供たちと、観光トロッコ。そして、それらを撮る我々大人たち。
公道の踏切手前に差し掛かる。先導係の2名は踏切へ先回りしたため不在。
踏切を渡るトロッコ列車。
工場敷地内に戻ってきた。
終点(最初に乗車した場所)に到着。
再度機関車を切り離して、機回しを行う。
廃工場の前を行く機関車。
工場の内部も見学が出来た。今後さらに整備を進めて、公開範囲を増やしたいとのことであった。
工場内に存置されている、ピストンと巨大な歯車。レシプロ式蒸気エンジンを動力としており、装置は1916年製。2017年に操業停止するまで101年間も使われた。
Jatibarang製糖工場の北側に隣接している交通公園にもナローゲージ(軌間600mm)の公園内を周回する軌道と車両があり、原則日曜日に運行される(今回は乗車できず)。
公園のディーゼル機関車。Christoph Schöttler Maschinenfabrik GmbH(ドイツ)製。
公園内に静態保存されているディーゼル機関車。Brookville Equipment Corporation(アメリカ)製で、エンジンはCaterpillar製。
公園の前に保存されている蒸気機関車。
Jatibarang製糖工場(PG Jatibarang)で動態保存されている、1982年北陸重機工業製のディーゼル機関車の前面展望。Jatibarang製糖工場は2017年に操業を停止し、現在は観光名所として保存されている。この機関車は観光トロッコ牽引用に残されている。速度は人が歩くよりも遅い。

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