濱海快速導軌電車1号線
(トランスロール)

導軌電車(ダオグイディエンチャー)1号線は泰達(テダ)〜学院区北(シュエユァンチユベイ) 間14駅7.9kmを結ぶライトレールである。この路線は「トランスロール」と呼ばれるフランスのロール(Lohr)社が開発したゴムタイヤトラムのシステムを採用しているのが最大の特徴で、アジアでは初めてこのシステムで営業運転を行った(ヨーロッパではフランスとイタリアの4都市で導入されている)。このシステムは一本の案内軌条を2本の車輪でV字型にはさみ、走行はゴムタイヤで行うものである。日本でも2005年〜2009年に、大阪府堺市にある堺浜試験線(新日鐵堺製鉄所内)で同システムの列車の走行試験を行っていた(一般非公開)。2007年5月10日に現営業区間が開業した。
路線は天津経済技術開発区内の洞庭路を南北を結んでいるもので、泰達駅付近を除いて併用軌道(但し軌道内は自動車走行不可)。軌道は道路の中央に位置し、ホームは泰達駅以外すべて島式。泰達〜第一大街 間の泰達寄り約100mはアンダーパスする陸橋の高さが低い故に無架線区間となっている。この区間は列車はパンタグラフを下げて、車両に搭載しているバッテリーで走行する。車両基地は第七大街〜第九大街 間にある。運転間隔は15〜25分間隔で日中は3編成が運用に就いている。全区間の所要時間は約30分であるが、交通信号により若干左右される。運賃は一律2元で乗車時に運賃箱に入れる。
車両はフランスのロール社製のもので、100%低床式車両である。直流750V架線集電式。加速度は最大4.68km/h/s、減速度(非常最大)は18km/h/s、設計最高速度は70km/hで自動車と同様に足元のペダルで操作する。
ちなみに、かつて天津には1908年から1973年まで路面電車(一般的な鉄車輪式)が走っていた。

トランスロールが導入された天津の導軌電車1号線。「導軌電車」はトランスロールの中国語訳。フランスのロール社製の車両で、3連接車。

学院区北にて
泰達大街をアンダーパスする導軌電車。ほぼ全区間が洞庭路を走る。

第三大街〜第四大街にて
道路の中央にホームがある。手前の道路標識に書かれているとおり、一番内側の車線は「有軌電車(=路面電車)専用車道」。

第三大街にて
トランスロールの軌道。中央に案内軌条が一本敷かれているのみで、非常にシンプル。この案内軌条を車両側にV字型に設置された車輪で挟み込む。

第三大街にて
車両のゴムタイヤ。片側4箇所(運転台下と連接部)に設置されている。タイヤが走行する部分はコンクリート舗装。乗り心地は電車よりバスに近い。
車内の様子。100%低床式で、床面高さは250mm、車幅は2200mm。天地方向に非常に大きくとられた窓ガラスのため圧迫感はない。
片側3扉のうち、乗車用の扉は中央1箇所、下車用が両側2箇所である。乗車用の扉の横には運賃箱が設置されている。お釣りや両替は不可。車掌も乗務している。
扉はすべて半自動式。開ける時はボタンを押す。
扉の上に設置されている路線図。
乗務員室仕切り壁は全面ガラス張り。
乗務員室を通しての後方展望。工場地帯の中を走るため、日中は道路の交通量も少ない。
両終点には専属のポイント係が配備され、手動で切り替える。車両側の案内車輪の構造から、鈍端ポイント(滑節ポイント)を採用している。

泰達にて
泰達駅で発車を待つ導軌電車。後ろは津濱軽軌の泰達駅。
泰達〜第一大街 間の泰達寄り約100mはアンダーパスする陸橋の高さが低いため無架線区間。列車はパンタグラフを下げて、車両に搭載しているバッテリーで走行する。車両背後に架線終点を示す赤い札が架かった架線柱が見える。
終点の学院区北駅。道路にはパラソルを広げた屋台が並んでいた。

導軌電車走行音(第一大街→第二大街)IGBT-VVVF制御。自動放送は中国語と英語で行われる。加速度は4.68km/h/sで感覚的にはトロリーバスに近い。ドア開閉時はドアチャイムが鳴る。
導軌電車加速音(第三大街にて車外から)駅発車時はチリリリリン・・・とベルを鳴らす。
導軌電車走行動画(泰達にて)泰達駅の留置線から泰達駅のホームまで走行する導軌電車。ポイントを渡るため低速で走行する。丁度、背後の高架を津濱軽軌の電車が走行している。

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