サルミエント線
Línea Sarmiento / Sarmiento Line

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Ferrocarril Domingo Faustino Sarmiento(略称:FCDFS、日本語訳:ドミンゴ・ファウスティーノ・サルミエント鉄道)、通称Sarmiento(サルミエント)線は首都ブエノスアイレス特別区とアルゼンチンの5つの州にまたがる広軌(軌間1,676mm)の路線網を持つ(休止・廃止となった区間も多い)が、このうちブエノスアイレスの近郊で都市鉄道が運行されている。都市鉄道運行区間は全3路線(総延長174km)で、うち1路線(Once(オンセ)〜Moreno(モレーノ)間36.4km)が電化。都市鉄道の運営は2015年3月2日より国営の「Ferrocarriles Argentinos Operadora Ferroviaria」。以下、Sarmiento線のうち、近郊電車が運行される電化区間について紹介する。

電化区間は全区間地上、全区間複線(左側通行)で、うちOnce〜Caballito間とLiniers〜Haedo間は複々線である。第三集電方式による直流830V電化。軌間は1,676mm(広軌)。車両基地はHaedo駅付近にる。利用客数はブエノスアイレスの近郊鉄道の中でRoca線に次いで多い。

列車は9両編成で運転される。車両は長らく「Toshiba」と呼ばれる日本製(日本車両・川崎重工・近畿車輛・東急車輛製)及びアルゼンチン製の電車で運行されていたが、2014年7月〜11月の5か月間ですべての車両が中国南車(現:中国中車)製のもの(現地での呼称は「CSR」)に置き換えられた。

CSRはブエノスアイレスの近郊電車(Sarmiento線・Mitre線・Roca線)向けに設計された標準車両で、路線ごとに細かな仕様差異はあるものの基本設計を極力共通化することにより低コスト化・短納期での納車を実現している。TC1-M1-M2-T3-M1-M2-M3-M4-TC2から成る6M3Tの9両固定編成で、2014年に9両編成25本(225両)が製造された。全車両が南車青島四方機車車両で製造され、海路でアルゼンチンまで輸送された。車体はアルミ合金製で、水色と白に塗装されている。各車両の乗降口は片側あたり3箇所。車内はオールクロスシートで、扉間の座席配置は集団離反式。安全対策として各車両に防犯カメラが設置されている。車両寸法は長さ22,670mm(中間車は21,800mm)×幅3,100mm×高さ3,790mm。最高速度は100km/h(設計最高速度は120km/h)。主要機器には日本・ドイツ・スウェーデン等で製造された部品も使用されている。

路線はFerrocarril Oeste de Buenos Aires(ブエノスアイレス西鉄道)によって1857年〜1860年に順次開業した。また、1857年の開業時から都心側のターミナル駅として使用されていたParque駅が手狭となったため、2.5km西側(郊外寄り)に新たなターミナル駅としてOnce駅が設けられ、1882年12月20日に開通した(Parque駅は1883年1月1日付で廃止)。1948年にはアルゼンチンのすべての鉄道が国有化されたが、道路交通の発達に伴い財政が悪化したため、1991年より路線別に順次民営化が行われた。Sarmiento線は民営化準備のため1991年〜1995年に政府出資のFerrocarriles Metropolitanos SA(FEMESA)が暫定的に運営した後、1995年より民間会社のTrenes de Buenos Aires(TBA)による運営を開始した。しかし、民営化によって逆に車両や施設の近代化が遅れ、サービスの低下が深刻化し、2011年・2012年には重大事故が立て続けに発生したため、2012年より再度国有化されることになった。2012年〜2014年にTBAが運営していたMitre線・Sarmiento線を引き継ぐために暫定的に設けられた政府出資会社のUnidad de Gestión Operativa Mitre-Sarmiento (UGOMS) 、2014年〜2015年3月2日まで同様に政府主管の非公開会社Corredores Ferroviariosが運営を行い、2015年3月2日より現運営体制に至る。

現在、電化区間のほぼ全区間にあたるCaballito〜Moreno間約33kmの地下化工事が2012年より行われている。地下化によって、沿線に多数存在する全ての踏切が解消される予定である。

(路線図:管理人制作)

Sarmiento線で活躍する中国南車製車両(CSR)。2014年に9両編成25本(225両)が導入され、5か月間で既存車両をすべて置き換えた。
CSRの台車。ボルスタレス台車で、集電靴付き。集電靴を固定する梁が前後車軸間に設置されている。台車も中国南車製(集電靴周辺は中通電気製)で、台車形式名は「SDA-120」。
中国南車 南車青島四方機車車両の製造所銘板(車端の裾部に設置されている)。
Sarmiento線のCSRはMitre線のと基本仕様は同一だが、両数の違いからSarmiento線の編成のみT3車(付随車)が連結されている。
(Sarmiento線:TC1-M1-M2-T3-M1-M2-M3-M4-TC2(6M3T)の9両編成、Mitre線:TC1-M1-M2-M3-M4-TC2(4M2T)の6両編成)
車内の様子。オールクロスシートで、扉間の座席配置は集団離反式である。
ドア上のマップ式案内装置。既に走行した駅(停車中の駅を含む)を赤色の点灯、これから走行する駅を緑色の点灯、次駅を橙色の点滅で表示する。
車端部にはLED式案内表示器が設置されている。
Sarmiento線の起点、Once(オンセ)駅の外観。
Once駅のコンコース。
Once駅の改札口。
天井から吊り下がっている、レトロな次列車発車番線及び停車駅案内表示器。
Once駅のホーム。頭端式である。
Once駅の駅名標。
Caballito(カバシート)駅付近の複々線区間を行く、Moreno行きの列車。
Caballito駅。2面3線で、ホーム両端に改札口がある。
自動改札機。Sarmiento線は全駅にSUBE対応の自動改札機が完備している。
Sarmiento線の多くの駅ではホームのリニューアル工事が順次進められている。Caballito駅は従来の駅施設も残しつつリニューアルされた。
Caballito駅の新タイプの駅名標。
Floresta駅に入線するOnce行きの列車。
Haedo駅付近の車両基地。
車庫の一角には、2014年まで運行していた「Toshiba」も留置されている。
2008年に製造されたアルゼンチン初の2階建て車両(試作車は2005年製)。9両編成のうちの4両に組み込まれて運行されていたが、CSRの運行開始に伴い2014年に引退。僅か7年余りの活躍であった。台車も最新のボルスタレス台車を装備している。
Haedoの車両基地には、インターシティ(長距離列車)用の客車も留置されている。
保存車と思われる旧型車両も確認できる。
S.A.de Paduaにて離合する列車。9両編成は、ブエノスアイレスの通勤形電車の中で最も長い編成である。
Merlo駅。当駅からLobosまでの非電化区間でも近郊列車が運行されている(全区間の所要時間は約2時間)。
Paso del Rey駅に入線するOnce行きの列車と、踏切警手。
終点のMoreno駅前の大通りの踏切を通過する。
Moreno駅。3面6線で、Once〜Moreno間の電車は中央の1面2線に発着する。
Moreno駅前の踏切を通過するOnce行きと、女性の踏切警手。
Moreno駅のホーム。
Moreno駅のホームにはチョリパン(フランスパンにチョリソーを挟んだ、アルゼンチンのソウルフード)の売店がある。注文すると鉄板でチョリソーとパンを焼いてくれて、ジューシーなチョリパンを食べることが出来る。
出来立てのチョリパン。アルゼンチンを訪れた際はチョリパンを是非ご賞味あれ。
Moreno駅前の踏切警手常駐の手動踏切を通過する、Moreno行きの列車とOnce行きの列車。

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Caballito駅前の踏切を通過する、Moreno行きの列車。
Sarmiento線の主要道路の踏切の多くは踏切警手常駐である。歩道側は遮断棒がなく、車道側の遮断棒が閉まった後も人が往来している。踏切警手が笛を吹き、安全を確保している。

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Moreno始発Once行きの車内の様子。IGBT-VVVF制御で、制御装置は三菱電機製。車内は物売り商人が巡回している。

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普通乗車券(表)
感熱紙である。現金またはICカード「SUBE」で購入する。
「SUBE」で乗る場合はカードを改札機にタッチし、普通乗車券で乗車する場合はそのまま改札機のバーを押して通過する。
Sarmiento線では、全駅に「SUBE」対応の自動改札機が設置されている。

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