SL観光列車「北ボルネオ鉄道」

Tweet

「北ボルネオ鉄道」(英名:「North Borneo Railway」)は、毎週水曜日・土曜日にサバ州立鉄道のTanjung Aru(タンジュンアル)〜Papar(パパール)間38.5kmで1往復運行されている、SL観光列車の列車名である。

サバ州立鉄道では1971年までSL(蒸気機関車)が営業運転していたが、2000年に州都コタキナバルが市に格上げされたことを記念してSLを復活させた。列車名は開業当時の鉄道路線名に由来(1963年よりサバ州立鉄道として運行)。Tanjung Aru駅を10時に出発し、途中のKinarut駅と折り返し駅のPapar駅で停車して、沿線の観光をすることが出来る。Tanjung Aru駅には定刻の場合、13:40に戻ってくる(SLの蒸気圧が上がらない場合は列車の速度が遅くなり、1〜2時間程度の遅れが常態化している)。

列車はコタキナバルでリゾート施設を運営する「Sutera Harbour Resort(ステラ・ハーバー・リゾート)」と、サバ州立鉄道が共同で運行している。「北ボルネオ鉄道」はツアーパッケージの団体列車扱いのためサバ州立鉄道の駅では購入できず、ステラハーバーリゾートが運営する「The Magellan Sutera Resort(ザ・マジェラン・ステラ・リゾート)」内の専用予約オフィスで購入する。料金は2018年より380リンギット(2017年まで345リンギット)。全席指定・事前予約制で、料金には車内での食事代が含まれている。列車の定員は80名(5両編成の場合。1両あたりの定員は16両)で、観光客に人気の列車のため、早めの予約が必要である。

2000年1月22日より営業運転を開始し、2009年1月〜2011年7月・2011年9月〜2012年2月はサバ州立鉄道の大規模改修工事及び定期列車の踏切事故発生による修復・対策工事により運行を休止していた。

SLは1955年にイギリスのVulcan Foundryで製造されたものである。当時3両が導入され、「北ボルネオ鉄道」として復活にあたり、3両中2両(「6-015」及び「6-016」)が復活(再整備)された。世界でも珍しい、薪を燃料にして走るSLである。客車は1975年に川崎重工業で製造された車両を改装したもので、内装はサバ州の木材を使用している。また、Papar側の先頭には1957年イギリス製の元気動車(3100型3104号車)が給電用及び料理等の準備用として連結されている。

「Sutera Harbour Resort」公式サイト:http://www.suteraharbour.com/
「Sutera Harbour Resort」公式サイト内、「北ボルネオ鉄道(North Borneo Railway)」のページ:http://www.suteraharbour.com/rail-train-sunset-cruise/north-borneo-railway-train

サバ州立鉄道を行く「北ボルネオ鉄道」。料金は2018年より380リンギット(2017年まで345リンギット)と、現地物価を考慮しても決して安くない設定だが、SL乗車に加え車内での食事(朝食・昼食・デザート)、沿線での観光も含まれたパッケージツアーとなっており、観光客に根強い人気を誇る。

Putatan〜Tanjung Aruにて
「北ボルネオ鉄道」の乗車券は、コタキナバル市内のリゾート施設「The Magellan Sutera Resort(ザ・マジェラン・ステラ・リゾート)」内の専用予約オフィスで購入する。旅行会社やホテルのツアーデスクを介しての予約も出来るが、お勧めはこの専用オフィスで直接購入すること。何故なら、このオフィスが既に「北ボルネオ鉄道の旅の始まり」を感じさせるレトロかつエレガンスな造りで、これから旅する気持ちが一気に高まるからである。
「The Magellan Sutera Resort」内の予約オフィスの内部。
Tanjung Aru駅の南側にある、SLの車両基地。「6-015」及び「6-016」の2両が留置されている。
車両基地にて白煙を上げ、出発の準備が進む。
9:20に車両基地を出発。単機で推進運転し、Tanjung Aru駅へと向かう(客車は駅に留置されている)。
Tanjung Aru駅外観。「北ボルネオ鉄道」の専用カウンターが設けられ、乗車当日に手続きする。当日9:30より受付開始。
Tanjung Aru駅の新駅は2016年10月1日より営業を開始し、「北ボルネオ鉄道」は新駅へ移転後も暫くは旧駅(位置が数百メートル異なる)より発着していたが、2016年11月12日より新駅発着に改められた(旧駅は2017年に解体され、跡形もなくなっている)。
Tanjung Aru駅の「北ボルネオ鉄道」の専用カウンター。
旧駅時代の「北ボルネオ鉄道」の専用カウンター(現存しない)。
専用カウンター内部。乗車券と、「パスポート」と呼ばれる乗車記念品を受け取る。「北ボルネオ鉄道」は事前予約が必要で、当日販売はしていない。
旧駅時代の、「北ボルネオ鉄道」乗客専用の入口。「North Borneo Railway」の看板が設置されている。
Tanjung Aru駅の壁面に取り付けられた、「北ボルネオ鉄道」記念事業のプレート。「北ボルネオ鉄道」は2000年2月2日に州都コタキナバルが市に格上げされたことを記念し、2000年1月22日より営業運転を開始した。
Tanjung Aru駅のホームでは、鉄道開業時の制服を再現したコロニアルスタイルの制服に身を包んだスタッフが、1人1人客車内の自分の席まで案内してくれる。
Tanjung Aru駅(旧駅)に停車中の「北ボルネオ鉄道」。
客車側から眺める。元 サバ州立鉄道の普通列車の客車をレトロ調に改装したものである。
客車の車両側面に取り付けられた、「North Borneo Railway」のプレート。
客車は1975年川崎重工業製。サバ州立鉄道では1971年にSLの定期運行を終了しており、SL現役時に使用されていた車両ではない。
各客車は号車番号の代わりに、走行区間の沿線の駅名が付けられている(「Tanjung Aru」・「Putatan」・「Kinarut」・「Kawang」・「Papar」の5両)。
Tanjung Aru駅(旧駅)の、「北ボルネオ鉄道」専用ホーム。
車内の様子。レトロ調に改装され、内装はサバ州の木材を使用している。座席は幅の広い1人掛け扱いで、ボックスシートの中央には料理等を置くための大型テーブルが設置されている。1両あたりの定員は16名。
自分の席にはおしぼりとカップ、食事のメニューがセッティングされ、発車前には早速ウェルカムドリンクとパンが振る舞われる。
カップにコーヒーや紅茶を入れてくれるスタッフも回ってくる。相席のお客さんや同じ車両内の観光客とすぐに仲良くなり、会話に花が咲く。
Tanjung Aru駅を発車。車内に冷房はなく、窓を開けるとさわやかな風とSLからの薪の匂いを感じる。
SLは世界でも珍しく薪を燃料としており、煙突からは白い煙を吐く。薪は湿気に弱く、雨の日は湿ってしまい、スピードも低速に。この日は生憎の雨模様だったため、列車は本来よりもゆっくりと走行していた。
進行方向右手にはコタキナバル国際空港の滑走路が見え、その後は南シナ海の車窓が広がる。
駅通過時または到着前にはスタッフが駅名を連呼しながら、乗車受付時に受け取った「パスポート」に駅スタンプを押して回る。この「パスポート」には途中駅の街の解説も書かれており、折り返し駅のPapar駅到着までに途中区間の駅スタンプがすべて揃うようになっている。
Kinarut駅に入線する「北ボルネオ鉄道」。
Kinarut駅では20分停車。車内で貰ったパンフレットに駅周辺の見所が記載されており、停車中に散策できる。駅前のマーケットを見学する組と、近くの「鎮南寺」という名の中国寺院を見学する組に分かれて散策スタート。
Kinarut駅の駅前。
駅前のマーケット。数多くの露店が立ち並び、活気に溢れている。
駅近くの中国寺院「鎮南寺」。スタッフの方も一緒に回り、見どころ等を解説してくれる。ただ列車に乗車するだけでなく、沿線の観光も余すことなくできるのが「北ボルネオ鉄道」の特徴である。
Kinarut駅に停車中の「北ボルネオ鉄道」。停車中にホームにて記念撮影をしたり、機関室を見学することも可能である。
牽引機の「6-015」のボイラーに設置されている、イギリス・Vulcan Foundryの製造銘板。同社は日本の1号機関車を製造したことでも有名である。
Kinarut駅にて見学を終えて列車に戻ると、自分の席に新しいおしぼりが用意されていた。きめ細かいサービスに感動。
Kinarut駅を発車すると、列車は緑生い茂る山や丘の合間を走行。汽笛高らかに熱帯の地を走る。

Kinarut〜Kawangにて
Kawang駅にて普通列車と行き違い。
Kawang駅停車中にメインディッシュの豪華なランチが提供された。

ランチはイギリス統治時代の文化である「ティフィン」と呼ばれる4段重ねのステンレスの製の弁当箱に入っており、中身は海老とシダの料理、フィッシュカレー、チキンライス、フルーツ盛り合わせのフルコースである

豪華料理を食べながら行くSLの旅、こんな「大人の贅沢な旅行」が味わえるのも世界広しとはいえ、ここ「北ボルネオ鉄道」だけかもしれない。
折り返し駅のPapar駅に到着。45分間停車し、その間にSLは転車台に載って転向する。
方向転換を終えたSL。Paparのホーム上では「北ボルネオ鉄道」の多くの乗客がSLの転向の様子をカメラに収めていた。
帰路は途中駅をすべて通過し、一気Tanjung Aru駅へと向かう。往路では賑やかだった車内も、帰路は寝ている乗客もちらほら。静かで穏やかな時間が流れていた。
Papar側の先頭には給電用及び料理等の準備用の車両(3104号車)が連結されている。この車両は1957年イギリス製で、元気動車。前面には気動車時代の名残で、前照灯が残されている。

Putatan〜Tanjung Aruにて(後追い撮影)
雨のため薪が湿ってしまい本来のスピードが出せず、列車は2時間遅れで終点のTanjung Aru駅に到着。スタッフの方々が出口の前に1列に並び、乗客を見送ってくれた。
Tanjung Aru駅に到着後、SLは切り離されて同駅北側にある転車台に向けて単機回送。
Tanjung Aru駅構内の転車台での転向の様子。
転向を終え、Tanjung Aru駅構内を通過して南側の基地へ向かう。
基地に戻ってきたSL。1日の業務が終了した。
1955年イギリス・Vulcan Foundry製の蒸気機関車が川崎重工業製の客車とイギリス製の荷物車兼電源車(元気動車)を牽引して走行する。SLは薪を燃料にしている。

Full HD Video
汽笛を鳴らして雨のKinarut駅を発車する「北ボルネオ鉄道」。おもちゃのような踏切の警報音も可愛らしい。車内放送は自動化されている。

Full HD Video

「北ボルネオ鉄道」乗車券(左)・パスポート(右)
「パスポート」には「北ボルネオ鉄道」の概要や歴史、各駅の紹介等が掲載されている。
各駅の紹介ページにはスタンプを押す場所があり、各駅通過時または到着前に
スタッフが押してくれる。
「北ボルネオ鉄道」パンフレット(左)
飲食メニュー(右)
駅周辺散策用ガイド(下)

「マレーシアの鉄道トピックス」に戻る

Tweet