ミャンマー国鉄元 JR東日本キハ52形

Tweet

キハ52形はキハ20形の勾配線区仕様(2エンジン車)として、旧国鉄時代に本州・四国・九州のローカル線に導入された車両である。1958年〜1962年に0番台56両、1962年〜1966年に100番台56両が製造された。車両寸法は長さ21,300mm×幅2,928mm×高さ3,925mm。最高速度は95km/h。車体は鋼製。

このうちJR東日本盛岡車両センターに配置されていた17両(キハ52 108〜110・126・141・143〜149・151〜155)が、2007年〜2008年にミャンマー国鉄に譲渡された。現地到着後、ステップ設置、車軸の改造、車体高さの切り詰め(低屋根化)、屋根上機器の撤去、塗装の変更、トイレ周りの改造等の改造が施された(なお、JR東日本時代から非冷房車である)。ミャンマー国鉄での車両番号はJR東日本時代の車両番号順にはなっていない。

2008年より営業運転を開始した。


【新旧車両番号対照表(JR東日本時代→ミャンマー国鉄、の順に表記)】
キハ52 108:RBE5001
キハ52 109:RBE5002
キハ52 126:RBE5003
キハ52 143:RBE5004
キハ52 144:RBE5005
キハ52 145:RBE5006
キハ52 151:RBE5007
キハ52 152:RBE5008
キハ52 153:RBE5009
キハ52 110:RBE5011
キハ52 141:RBE5012
キハ52 146:RBE5013
キハ52 147:RBE5014
キハ52 148:RBE5015
キハ52 149:RBE5016
キハ52 154:RBE5017
キハ52 155:RBE5018

RBE5011(キハ52 110)。検査を受けた直後で、車体・床下ともに再塗装され新車と見紛う輝きを放つ。車体が切り詰められたため、JR東日本時代と若干印象が異なる。

Yangonにて
正面から見たRBE5011。ミャンマーでは本来不要であるはずのスノープラウは、排障器扱いとして使用しているのか存置されている。
朝日を浴びてYangon(ヤンゴン中央駅)に停車中のRBE5011+RBT800客車。
屋根上機器はすべて撤去されている。
RBE5011の車内の様子。低屋根化された以外はJR東日本時代の面影を残しており、JR東日本時代に追加設置されたデッキ部との簡易仕切りもそのままである。
車体切り詰めを車体腰部で行ったため相対的に窓の位置が低くなった。ロングシート部は背もたれが窓の位置より高くなってしまうため撤去されている。
乗務員室仕切り。乗務員室背後のトイレも使用できる(トイレは自然落下式に改造)。
RBE5011の運転台。
キハ52形で最初にミャンマー国鉄仕様の改造が竣工したRBE5001(キハ52 108)。RBE5001とRBE5002のみは、紺・白・赤のトリコロールカラーで竣工し、2014年末時点でもRBE5001のみがこの塗装を維持していた(RBE5003以降は、当初より現行のクリームと赤のツートンカラーで竣工。RBE5002も現行色に変更済)。

Myo Lu Linにて
整備のためYangon Repair Shop(Yangon工場)に入場したRBE5001。トリコロールカラーも見納めか?

2014年12月撮影
RBE5002(キハ52 109)。

DRC(Insein)にて
整備後のRBE5002。

Pyinmana Locomotive Shed(Pyinmana機関区)にて
RBE5003(キハ52 126)。後方にRBE5009(キハ52 153)を繋いだ2両編成で、Bagan(バガン)〜Nay Pyi Taw(ネピドー)間285kmを10時間で結ぶ。

Ku Lar Maにて
Taungdwingyi-Bagan線を行く、Bagan行きのRBE5003。

Kyauk Pa Daungにて
夜明けのNay Pyi Taw駅に停車中のRBE5003。
歴史を刻む、RBE5003前面の各種銘板。
RBE5003+RBE5009。同一形式同士の連結の場合、すべてのジャンパ栓やエアーホース(ブレーキホース)が接続される。走行するPyinmana-Taungdwingyi線・Taungdwingyi-Bagan線は急勾配区間もあるため、総括運転を行う。
RBE5003の車内の様子。
RBE5003車内の「キハ52 126」の車両番号プレート。
RBE5004(キハ52 143)。

Pyinmana Locomotive Shedにて
RBE5005(キハ52 144)。

Pyinmana Locomotive Shedにて
RBE5006(キハ52 145)。ヤンゴン地区から転属してきたRBE5011との2両編成でBagan〜Nay Pyi Taw間の運用に就く。

Pyinmanaにて
RBE5008(キハ52 152)。

DRCにて
RBE5009(キハ52 153)。後ろはRBE5003。

Baganにて
Nay Pyi Tawの留置線に停泊しているRBE5009+RBE5003。
Taungdwingyi(タウンドウィンジー)に停車中のRBE5009+RBE5003。
RBE5009の運転台。
2014年にDRCからPyinmanaに転属したRBE5011。ヤンゴン時代の近距離運行とは一転、毎日Nay Pyi Taw〜Bagan間285kmを片道運行(2日で1往復)する長距離運行で奮闘している。

Pyinmanaにて
Yangon Repair Shopにて整備中のRBE5016(キハ52 149)。

2013年5月撮影
Pyinmana配置で活躍しているRBE5016。

Nay Pyi Tawにて
RBE5016の車内の様子。
RBE5017(キハ52 154)。

Ywa-Htaung Locomotive Workshopにて(2013年8月撮影)
Pyinmana Locomotive Shedに移動してきたRBE5017(2014年12月撮影)。
RBE5018(キハ52 155)。ミャンマー国鉄のキハ52形のラストナンバー。

DRCにて
RBE5018の側面の車両番号表記。JR東日本時代の車両番号も併記されている。
Nay Pyi Taw〜Bagan間を運行するキハ52形からの車窓。Taungdwingyi-Bagan線は起伏に富んでおり、2エンジン車であるキハ52形の本領を発揮する。
片道9時間の長旅を終えて、終点のBaganに到着。
Bagan発Nay Pyi Taw駅を10時間で結ぶ長距離運用に就くRBE5006(キハ52 145)+RBE5011(キハ52 110)。終点のNay Pyi Tawまではあと少し。

Full HD Video
乗務員室の後ろから前方や運転席を眺める。軌道整備が良好ではないが、時速50km/h近くで駆け抜けるため、車両は上下左右に激しく揺れて、まるでトランポリン状態だ。列車の本数が少ないため、ローカル線にもかかわらず車内はデッキまで満員である。

Full HD Video
キハ52 126(現:RBE5003)の最後尾から見た車窓。沿線には竹を使用した家屋が並んでいる。車体を揺らしながら、キハ52の2両編成(キハ52 153 (RBE5009)+キハ52 126(RBE5003))が山間の路線を時速40km/h前後で走行する。

Full HD Video
キハ52 126(現:RBE5003)の車内には多くのJR東日本時代の表記が残っている。エンジン音を高らかに、列車は勾配を上ってゆく。

Full HD Video
キハ52 153 (RBE5009)の連結面側の運転台に座って撮影。奥はキハ52 126(RBE5003)。運転台には日本語表記が残っている。列車は赤土の高原を行く。

Full HD Video
沿線にはヤシ砂糖の樹木がそびえる。混んでいた車内も乗客が次第に少なくなり、のどかな雰囲気に。ヤシ砂糖はミャンマーではお菓子やお酒の原料として重宝されている。

Full HD Video
始発のNay Pyi Taw駅発車から9時間かけて終点のBaganに到着したRBE5009(キハ52 153)+RBE5003(キハ52 126)。列車はBaganに停泊して翌日の折り返しに備えるため、入換運転を行う。

Full HD Video
猛暑の中、ヤンゴン-マンダレー線のThin Gan Gyun駅に入線するRBE5011(元 JR東日本キハ52 110)+RBT800客車の2両編成。

Full HD Video
Insein始発のEast University行き初電。環状線を(ヤンゴン-ピィ線)走行してヤンゴン中央駅に入線する(初電でしか見られない光景)。

Full HD Video
朝日を浴びて黄金色に染まったキハ52の車体。エンジン音を響かせてヤンゴン中央駅を後にする。

Full HD Video
ヤンゴン-マンダレー線と環状線との複々線区間を行く、RBE5011(元 JR東日本キハ52 110)+RBTの2両編成。こちらがカメラを構えていると、前照灯点灯・警笛吹鳴し、手を振って応えてくれた。左奥では保線作業を行っている。

Full HD Video
Ohkposu駅に入線する、Yangon方面Insein行きのRBE5011(元 JR東日本キハ52 110)+RBT客車。

Full HD Video
■日本時代の記録
宮古駅の留置線に並ぶキハ52形。左から、キハ52 148(現:RBE5015)、キハ52 149(現:RBE5016)、キハ52 143(現:RBE5004)。

2004年4月4日撮影
キハ52 145(現:RBE5006)。

盛岡にて2003年12月22日撮影
キハ52 148(現:RBE5015)とキハ52 149(現:RBE5016)。

宮古にて2004年4月4日撮影
「快速リアス」の運用に就くキハ52 110(現:RBE5011)。

盛岡にて2004年4月3日撮影
快速リアス宮古行きのサボと、キハ52 110の車両番号表記。

盛岡にて2004年4月3日撮影

「ミャンマー国鉄−日本からの譲渡車両」トップに戻る

Tweet