議政府軽電鉄車両紹介

議政府軽電鉄のVAL208(SIEMENSの製品名)は議政府軽電鉄株式会社が保有する車両である。全車両がSIEMENS製で、開業に備えて2010〜2011年に2両編成15本(30両)が製造された。車体はアルミ合金製。同型車両はフランスのリール、トゥールーズ、レンヌ、パリ(CDGVAL)、イタリアのトリノで使用されている。韓国の気候に合わせて、屋根上に大型の冷房装置を搭載していることが特徴である(フランス・イタリア向けのVAL208には搭載していない)。

車両寸法は長さ12,700mm×幅2,076mm×高さ3,678mm。加速度は4.7km/h/s、減速度は4.7km/h/s、最高速度は80km/h。なお、VAL208の「208」は、車両の幅が208cmであることに由来する。

塔石寄りの先頭車が車両番号の先頭に「A」が付き、鉢谷寄りの先頭車が「B」となる。下2桁が編成番号を示す(第1編成ならばA01-B01となる)。

当ページでは、同型の車両を使用しているパリのCDGVAL、トリノ地下鉄1号線の車両も参考までに併せて紹介する。

議政府軽電鉄のVAL208。VAL208はフランス・イタリアでは導入実績があるが、アジアでは初の導入となった。外観塗装は白を基調に議政府軽電鉄のコーポレートカラーである青と緑の帯を配している。
議政府軽電鉄仕様として、屋根上に冷房装置を搭載している。その周りにカバーを設置しており、他の都市のVAL208よりも車両がより縦長の印象を受ける。

東梧にて
早朝の塔石駅に入線するVAL208。3扉車で、ドアは外吊り式。
先頭部側面。走行輪(ゴムタイヤ)のホイールの中にモーターが設置されており、モーターはブラシレスDCモーターである。走行輪の両側に案内輪と集電装置が設置されている。
なお、VALは側方案内レールと電力供給レールが兼用となっている。
連結面。貫通幌は設置されておらず、非常の場合以外は車両間の通り抜けは不可能である。
車内の様子。車内の幅が狭く、通路幅確保のため、座席は片側に互い違いで設置されている。
車内照明は電球色蛍光灯で、韓国の地下鉄・都市鉄道車両では初。ドアのガラス面積が大きく、車内の幅の割には圧迫感を感じさせない。
先頭部。運転台は格納されている。車端部のみ両側に座席が設置されている。座席の下はタイヤハウスとなっているため、脚台がある(車両中央部の扉間の座席は片持ち式)。
連結面側車端部。座席下は同様に脚台がある。片側に機械室があるため、左右で座席数が異なる。
座席。FRP製で、モケットが貼られている。
座席の反対側は立席スペースとなっている。
ドア上には照明カバーに路線図を掲示している。
車端上部に設置されているLED式案内表示機。韓国語と英語を表示する。
ドアの靴摺り部。中央に「VAL208」、左右に「SIEMENS」の文字が書かれている。
車内から見た連結面。貫通路(通常通り抜け禁止)には渡り板も設置されていない。連結器は棒連結器である。
早朝に収録。モーターにブラシレスDCモーターを採用しており、起動時に独特の音がする。

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全区間高架で眺望は良い。

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■フランス・パリ CDGVAL 1号線(シャルル・ド・ゴール国際空港内シャトル)
CDGVAL1号線はフランス・パリのシャルル・ド・ゴール国際空港のTerminal 1〜Terminal 2 Gare間5駅3.5kmを結ぶ路線で、2007年4月4日に開業した。運賃は無料で、24時間運行している。
車両は議政府軽電鉄と同じくVAL208である。外観上の違いは、屋根上に冷房装置が搭載されていないのが相違点。列車は終日2両編成である。
なお、CDGVAL2号線(別名LISA=Liaison Interne Satellite Aerogare、総延長0.6km)も同じくVAL208を使用しているが、空港のセキュリティコントロール内にあり、飛行機搭乗客のみ利用できる。
CDGVAL1号線は大半が地下または地平を走る。

Parc PXにて
掘割区間にあるParc PX駅を発車する列車。全駅プラットホームスクリーンドア(PSD)完備。
CDGVAL1号線の車内の様子。座席が車端部(タイヤハウス上)にしか設置されていない。また、天井の中央部にラインデリアがない。車両間の通り抜けはできない。
先頭部。LED式案内表示機の隣に防犯カメラが設置されている(議政府軽電鉄の車内には防犯カメラは設置されていない)。

■イタリア・トリノ地下鉄1号線
イタリア・トリノ地下鉄1号線(Metropolitana di Torino M1)は、Fermi〜Lingotto間21駅13.2kmを結ぶ路線である。トリノオリンピック開催にあわせて、2006年2月4日に第1期区間(Fermi〜XVIII Dicembre間)が開通し、その後順次延伸が行われた。イタリア初のVAL導入路線である。
車両はVAL208で、銀色をベースに腰部にはトリノの街並みの青いシルエットの柄が入っている。通常、2両編成を2本併結した4両編成で運行される。屋根上には冷房装置は搭載されていない。

Fermiにて
シールドトンネルを行く列車。全区間地下。各駅にはプラットホームスクリーンドア(PSD)が設置されている。

XVIII Dicembreにて
車内の様子。車端部(タイヤハウス上)はロングシートで、中央部には1人掛けのクロスシートが4つと、背面に収納式の補助席が4席設置されている。LED式車内案内表示機は未設置。車端部に防犯カメラが設置されている。車両間の通り抜けはできない。
ドアの靴摺り部。議政府軽電鉄と同様に、中央に「VAL208」、左右に「SIEMENS」の文字が書かれている。
2駅間の前面展望。全区間トンネルで、トンネル内は非常に明るい。自動放送の前にはチャイムが鳴る。XVIII Dicembreが終点の時代に収録。
Paradiso〜Principi d'Acaja間の8駅間は、軌道が一直線になっている。
留置線からFermi駅に入線する、当駅始発の列車。

議政府軽電鉄 VAL208走行音(鉢谷→議政府)<3駅間>GTOチョッパ制御で、制御装置はSIEMENS製。
モーターにはブラシレスDCモーターを使用。各車輪のホイールにモーターが設置されている。
Mc-Mc(2M0T)の2両編成。
議政府軽電鉄 VAL208走行音(ポムゴル→回龍)
CDGVAL VAL208走行音(Parc PR→Terminal 3) 制御方式やモーターは議政府軽電鉄のVAL208と同一仕様である。
発車ブザーはパリメトロと同一。

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