仁川空港磁気浮上鉄道 車両紹介

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仁川磁気浮上鉄道のUTM-03は韓国機械研究院(KIMM)が開発した、都市型磁気浮上列車(都市型リニア)の車両である。全車両が現代ROTEM製で、開業に備えて2009〜2012年に2両編成4本(8両)が製造された。車両の所有は仁川国際空港公社。

韓国初の本格的な商用磁気浮上式鉄道用の車両で、2005年に開発したUTM-02をベースに各種改良が施されている(形式の「UTM」とは「Urban Transit Maglev」の略)。愛称は「ECO-BEE」(エコビー)。車体はアルミ合金製で、腰板部に蜂の巣をイメージしたハニカム模様が描かれている。

台車(モジュール)は1両あたり4台設置されており、1つの台車には浮上用の電磁石(左右4つずつ)、リニアインダクションモーター用コイル、ブレーキ装置などが組み込まれている。また、1両あたり4台の台車のうち、2台には集電装置が設置されている。リニアインダクションモーターは各車両のVVVFインバーター装置により制御。

沿線住民のプライバシー保護を考慮して、側窓には自動制御式ミストグラス装置(瞬間くもりガラス)が使用されており、建物の近くを通過する際には自動で窓がスモークガラスに変化する(前面窓と一番先頭の側窓は変化しない)。

車両寸法は長さ12,000mm×幅2,700mm×高さ3,450mm。加速度は4.0km/h/s、減速度は4.0km/h/s、営業最高速度は80km/h(設計最高速度は110km/h)。

車両形式は龍遊寄りから1000A形(Mc)-1000B形(Mc)の順で、下2桁が編成番号を示す(第1編成ならば1001A-1001Bとなる)。

仁川磁気浮上鉄道のUTM-03。2009年〜2012年に毎年1編成ずつ製造され、計4編成が導入された。通常は4編成のうち2編成を運行し、残り2編成は予備車扱い及び検査のため車両基地で待機している。

国際業務団地にて
側面から見たUTM-03。車体長は12,000mmで、日本の愛知高速交通(リニモ)の100形(車体長14,000mm)と比較するとやや短い。

ウォーターパーク〜国際業務団地にて
ビルが立ち並ぶ都会的な風景の中を行く。車両は常に8mm浮上しているが、台車から下に伸びる集電装置は給電線と接触している。

長期駐車場にて
龍遊駅に入線する、当駅始発仁川国際空港行きの列車。屋根上には冷房装置とCBTCの受信アンテナが搭載されている。前照灯・標識灯はLED。
車両側面。車両の愛称は公募で「ECO-BEE」(エコビー)と命名され、腰板部に蜂の巣をイメージしたハニカム模様が描かれている。台車(モジュール)は各車両4台設置。
台車の拡大。軌道を挟んで上半分にリニアインダクションモーター用コイル(赤い部分)が設置され、下半分に浮上用の電磁石が4つ設置されている。右下に伸びているのが給電装置。
台車に設置されている現代ROTEMの銘板。台車形式番号はRM2001A。
前面には行先表示機が設置されており、行先を韓国語で表示する。

上写真:仁川国際空港(行き)
下写真:龍遊(行き)
車内の様子。
座席は片側をロングシート、片側をクロスシート(前・後ろ・横の3方向に座る3人掛けシート)とした変則的な配置である。
床には台車点検用の蓋が設置されている。
沿線住民のプライバシー保護を考慮して、側窓には自動制御式ミストグラス装置(瞬間くもりガラス)が使用されており、建物の近くを通過する際には自動で窓がスモークガラスに変化する(前面窓と一番先頭の側窓は変化しない)。
ガラス端のマーク。MAGIC GLASSと表記されている。
無人自動運転を行っているため、先頭からは前面展望を楽しむことが出来る。運転台は前面窓の下のカバー内に格納されている。
先頭から見た仁川国際空港の交通センター。
前面窓の内側(客室内)に行先表示機があるため、車両先頭部から見上げると、行先表示機を間近に見ることが出来る。前面窓は曲面ガラスを使用。
貫通路。脇に現代ROTEMの製造所銘板が設置されている。
車端部にはLCDが設置されており、現在の走行速度や行先、列車走行位置等を表示する。なお、運行最高速度は公式では80km/hとなっているが、LCDの表示を見た限りでは75km/hが最高速度であった。
LCDの手前の天井に取り付けられているのは防犯カメラ。

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