仁川空港磁気浮上鉄道 路線紹介

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仁川空港磁気浮上鉄道(インチョンゴンハン ジャギブサンチョルド)は仁川国際空港(インチョングッチェゴンハン)〜龍遊(ヨンユ)間6駅5.6kmを結ぶ磁気浮上式鉄道(都市型リニア)の路線である(路線総延長:6.1km)。全区間が地上(高架)である。全区間複線(右側通行)で、直流1,500V電化。無人自動運転を実施している。車両基地は龍遊駅付近にある。2016年2月3日に現営業区間が開通した。

全区間の所要時間は12分で、15分間隔で運行されている(2編成を用いて運行)。運賃は無料である。運行時間帯は9:00〜18:00。

磁気浮上式鉄道のモデル路線という位置づけで建設されたもので、仁川広域市の他、韓国の磁気浮上式鉄道の研究を主導する韓国機械研究院(KIMM)所有の試験線があり、都市鉄道2号線の建設計画もある大田広域市、車両メーカーの現代ROTEMの工場のお膝元の昌原市、そして都市鉄道の新路線の建設予定がある大邱広域市及び光州広域市の5都市がモデル路線建設候補地として名乗りを上げた。その中で、2014年アジア競技大会が行われ、仁川国際空港に乗り入れる路線であるため国内外への技術力のアピールともなることから、仁川広域市が選定された。

韓国初の磁気浮上式鉄道の常設実用路線であり、現存する路線としては日本の愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)に次いで世界で2番目の路線である。但し、過去に廃止になった路線を含めると、イギリスのバーミンガム(1984年〜1995年)、ドイツのベルリン(1989年〜1991年)が加わるため4番目であり、超高速鉄道を含めると中国・上海(2004年〜)が加わり5番目となる。なお、公式では「(日本に次いで)世界で2番目」の常設実用路線と紹介している。

列車は2両編成で運転される。車両は現代ROTEM製のUTM-03。詳細は別ページにて紹介する。こちらをご覧ください。

当初開業目標は2013年であったが、不具合箇所の修正等に時間を要し、長らく開通が無期限延期となっていた。しかし、開通日の2016年2月3日の直前に突如開通が発表された。中国の長沙で建設中であった磁気浮上式の都市鉄道「長沙磁浮快線」の開通が迫っており(2016年5月6日開通)、これに遅れると「世界で2番目」というタイトルが失われるため開通を急いだのではないかとの一説もあるが、定かではない。

龍遊から先の延伸計画があり、最終的には永宗島を一周する環状線となる計画である(国際業務団地〜仁川国際空港 間は支線)。ただ、具体的な計画は進んでいない。

路線名の「仁川空港磁気浮上鉄道」は公募で選ばれた(応募数904件)。仮称は「仁川国際空港磁気浮上鉄道」であった。

(路線図:管理人制作)

韓国初の磁気浮上式鉄道として開通した仁川空港磁気浮上鉄道。浮上・案内は電磁吸引方式(常電導コイル方式)で、車両は常時8mm浮上している。

長期駐車場にて
行き交う仁川空港磁気浮上鉄道の列車と、頭上を行く仁川国際空港への着陸態勢の大韓航空機。

国際業務団地〜ウォーターパークにて
各駅のホームにはプラットホームスクリーンドア(PSD)が設置されている。
自動無人運転を行っており、前面展望を楽しむことが出来る。
仁川国際空港の交通センターの建物から飛び立つ、龍遊行きの列車。
仁川国際空港の交通センター内部。中央を貫通するガラス張りのドーム付きの橋の部分が仁川空港磁気浮上鉄道の仁川国際空港駅である。なお、この部分は仁川空港磁気浮上鉄道が開通する遥か前の2001年10月(交通センター竣工と同時)に完成していた。
仁川国際空港駅に入線する列車を交通センター内部から見る。当駅は頭端式ホームである。
仁川国際空港駅の改札口。交通センターの2階に直結しており、改札口の向こうはすぐにホームとなっている。無料であるため、券売機等はない。
仁川国際空港駅のホーム。当路線で唯一の島式ホームである(他の駅はすべて2面2線の相対式ホーム)。
仁川国際空港〜長期駐車場 間(0.4km)は単線並列であり、長期駐車場駅の仁川国際空港駅寄りに両渡り線がある。
背後は仁川国際空港の交通センター。
長期駐車場駅手前の両渡り線を車内から見る。写真奥の駅が長期駐車場駅(その奥が合同庁舎駅)。
長期駐車場駅の外観。屋根の部分は展望台となっているが、現在は基本的に開放していない。
合同庁舎駅を発車して長期駐車場駅に入線する、仁川国際空港行きの列車。
長期駐車場駅を発車する龍遊行きの列車を合同庁舎駅から見る。合同庁舎・長期駐車場・仁川国際空港の3駅は南北にほぼ一直線に連なっており、駅間距離もそれぞれ0.4kmしかない。
国際業務団地駅に入線する龍遊行きの列車。駅の北側にはアーチ形の斜張橋が架かっている。
国際業務団地の駅前は開発途上である(2016年10月時点)。完成の折にはここの風景も一変すると思われる。
国際業務団地の駅前では、カジノを中心とした統合型リゾート「パラダイスシティー」(PARADISE CITY)の建設工事が進んでいる(2016年10月時点)。国際業務団地駅から当施設へのペデストリアンデッキも設けられる予定である。
統合型リゾート「パラダイスシティー」の前を行く列車。

ウォーターパーク〜国際業務団地にて
国際業務団地〜ウォーターパーク間は未開発な土地が広がっている。当駅間は3.1kmあり、仁川空港磁気浮上鉄道で最も駅間距離が長い。
南側遊水地に架かる橋を軽快に駆け抜ける、仁川国際空港行きの列車。写真右奥には空港鉄道の線路(出入庫線)も見える。

ウォーターパーク〜国際業務団地にて
ウォーターパーク駅の外観。
ウォーターパーク駅に入線する龍遊行きの列車。
ウォーターパーク〜龍遊 間は空港鉄道の龍遊車両基地の脇を走行するため、車窓から当車両基地の様子を見ることが出来る。
終点の龍遊駅の外観。
龍遊駅のホーム(後者専用ホーム)からも、空港鉄道の龍遊車両基地が一望できる。
龍遊駅に到着した列車は回送となり、当駅北側にある引き上げ線で折り返す。
龍遊駅の先の本線終端部。ここから先への延伸計画もある。写真左側に分岐する単線は、車両基地への出入庫線。
車両基地の様子。事業用車両も留置されている。
仁川国際空港駅の予定地を活用して2007年から2011年11月30日まで営業していた「スターガーデン」。

2007年8月15日撮影
「スターガーデン」内部。前述の通り、仁川国際空港駅の部分は仁川空港磁気浮上鉄道が開通する遥か前の2001年10月(交通センター竣工と同時)に完成していた。これは仁川国際空港建設当初から新交通システム(磁気浮上式鉄道と決まっていたわけではない)を当交通センターに乗り入れる計画があったためだが、路線の具体的な方針が決まる前の先行建設であった。長らくこの部分は封鎖されていたが、空港鉄道の開通を機に庭園として整備したものである。

仁川空港磁気浮上鉄道の建設とともにこの庭園は閉鎖され、本来の駅として使われることになった。現在、この写真を撮影した地点は軌道となっている。
スターガーデンの終端部。テラスとなっていた。
テラスから、現在の長期駐車場駅方面を眺める。現在、写真中央の道路の上部に仁川空港磁気浮上鉄道の軌道が整備されている。
全長5.6kmを所要時間12分で結んでいる。無人自動運転を実施。韓国初の磁気浮上式鉄道の常設実用路線である。最高速度は80km/h。運賃は無料である。

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長期駐車場駅に入線する仁川国際空港行き列車。そのまま到着した列車に乗り、隣の仁川国際空港駅まで向かう。

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すべての駅のホームにプラットホームスクリーンドア(PSD)が設置されている。ブレーキ緩解音やVVVFインバーターの磁励音は普通の電車に類似しているが、磁気浮上式鉄道のためジョイント音はない。

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長期駐車場駅の仁川国際空港駅寄りにポイント(両渡り線)があり、そこから仁川国際空港駅までは双単線である。特徴的な仁川国際空港の交通センターの建物をバックに、龍遊行き列車が行く。

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南側遊水地に架かる橋を軽快に駆け抜けてゆく、仁川国際空港行きの列車。

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長期駐車場駅の北側にあるポイント転換の様子。

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