ミラノ地下鉄 3号線
Metropolitana di Milano - Linea 3 / Milan Metro Line 3


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ミラノ地下鉄3号線はSan Donato(サン・ドナート)〜Comasina(コマジーナ)間21駅16.6kmを結ぶ路線である。全区間地下。全区間複線(右側通行)で、架線集電方式による直流1,500V電化。軌間は1,435mm(標準軌)。保安装置はATP及びATO。ワンマン運転を行っている。車両基地はSan Donato駅付近に位置するDeposito Rogoredo(Rogoredo基地)。

1990年5月3日にDuomo〜Centrale FS間、1990年12月16日にPorta Romana〜Duomo間、1991年5月12日にSan Donato〜Porta Romana間及びCentrale FS〜Sondrio間、1995年12月16日にSondrio〜Zara間、2003年12月8日にZara〜Maciachini間、2011年3月26日にMaciachini〜Comasina間が開通した。

各駅の内装は先に開業した1・2号線の駅とは大幅にイメージチェンジされ、天井を黄色のタイル、壁を凹凸のあるブロック、駅名標を照明と一体化した電照式のもので統一されており、近未来的な印象を受ける。このデザインは3号線延伸区間でも踏襲されている。また、地上の道路の敷地が狭いことから、Porta Romana〜Repubblica間は上下線のトンネル・ホームが2層式となっている(ミラノ地下鉄では初の事例であった。後の5号線でも一部区間が上下2層式で建設された)。

Centrale FS駅付近に2号線との短絡線が2本あり、2号線車両のRogoredo基地への出入場時等に使用される。1号線・5号線との短絡線はない。

列車は終日6両編成で運転される。車両は8000系、8100系、「Meneghino」の3種類が運行されている。

8000系は初期区間の開業に備えて1989年〜1990年に3両編成40本(120両)が製造された。1987年に2号線に導入されたミラノ地下鉄初のVVVF制御車12両(3号線へのVVVF制御車導入のための試作車的要素が強い)の成果を反映して製造され、ミラノ地下鉄で最初のVVVF制御(GTO素子)の量産車両である。Mp-R-Mpの2M1Tで、通常は2編成を連結した6両編成で運行される(かつては早朝・深夜の一部列車は3両編成でも運行されていた)。車両番号は電動車が8000番台、付随車が9000番台で、第1編成は8001-9001-8002、第2編成は8003-9002-8004…の順に付番されている。車両寸法は長さ17,500mm×幅2,850mm×高さ3,650mm。製造メーカーはOMS・FIAT・BREDA・SOCIMIの4社。
エクステリアデザインもこれまでの1・2号線の車両から一新し、前面は直線的なデザインとして前面窓は大幅に拡大された。なお、この前面デザインは1992年に登場したJR東日本の901系(→209系)のデザインに大いに影響を与えている。乗務員扉付近や窓上に黒帯が入るデザインも901系に受け継がれた。インテリアデザインも1・2号線の車両から近代化され、乗務員室仕切りには次駅の扉が開く側を示す表示器も採用された。非冷房車で車両間の通り抜けは緊急時を除いてできない。

8100系はZara〜Maciachini間の延伸開通に備えて2003年〜2004年に3両編成5本が製造された。外観・内装共に8000系とベースとしているが、8000系の製造から10年以上が経過していることから主に以下の点で仕様が変更されている。
・冷房装置の搭載
・貫通路の設置(車両間の通り抜け可)
・ドアボタンの設置
・行先表示器のLED化(8000系はマグサイン式)
・ドアエンジンの電気スクリュー軸駆動式化(8000系は空気圧作動式)
車両番号は電動車が8100番台、付随車が9100番台で、第1編成は8101-9101-8102、第2編成は8103-9102-8104…の順に付番されている。製造メーカーはFiore・Firema・AnsaldoBredaの3社。
電装品は8000系とほぼ同一であり、8000系と併結運転が可能である(5編成しかないため、3+3両編成で運行するには少なくとも1編成が8000系とペアを組む必要がある)。

「Meneghino」はMaciachini〜Comasina間の延伸開通に備えて2009年〜2010年に6両編成9本(54両)が製造された(1・2号線向けにも同時期に製造され、全製造両数は6両編成46本の276両)。8100系で取り入れられた改良箇所は踏襲しつつフルモデルチェンジされ、ミラノ地下鉄で初の自動放送(イタリア語・英語)を行い、ドア脇へのLCD式案内表示器がされる等、旅客サービスの向上が図られている。「Meneghino」の名前はミラノッ子を表すMeneghinoという単語と、「Metropolitana di Nuova Generazione」(新世代地下鉄)の頭文字MNGに由来する。IGBT-VVVF制御車で、Rp-M1-M2-M2-M1-Rpから成る6両貫通編成(4M2T)。車両番号はRp車(=Tc車)が900番台、M1車が3100番台、M2車が800番台で、第41-42編成は941-3141-841-842-3142-942、第43-44編成は943-3143-843-844-3144-944…の順に付番されている。車両寸法は長さ17,570mm(先頭車17,610mm)×幅2,850mm×高さ3,650mm。製造メーカーはAnsaldoBreda・Firemaの2社。

San DonatoからPaullo Estまでの延伸計画がある。

ATM公式ページでは、3号線運転シミュレーターゲームが公開されている。マウスとキーボードで操作し、マスコン:マウス位置(奥が力行、手前が制動)、ドア開閉:Aキー、発車ブザー:Sキーで操作する。

(路線図:管理人制作)

ミラノ地下鉄8000系。3号線開業に合わせて1989年〜1990年に120両が製造された。1・2号線の既存車両からフルモデルチェンジされ、スタイリッシュな前面デザインはJR東日本の209系に影響を与えている。
当初は前面の貫通扉に車両番号表記はなかったが、後に追加された。

Affori Centroにて
地上で見る8000系(営業区間はすべて地下のため、地上で見らるのは車両基地付近のみ)。前面ガラスは縦にRがあり、このデザインも209系に受け継がれている。

Rogoredo基地にて
原則として3両編成を2本繋いだ6両編成で運行される。かつては早朝・深夜の一部列車は3両編成で運転されていた。
ABB製のVVVFインバーター制御装置(GTO素子)。8001〜8068の68両(34編成)で使用されている。8000系はATMで初めて本格的にVVVFインバーターを採用した形式である。
日立製作所製のVVVFインバーター制御装置(GTO素子)。8069〜8080の12両(6編成)で使用されている。
日立製作所製のVVVFインバーター制御装置の銘板。「VVVF INVERTER」と書かれているが、「VVVF」は和製英語のためイタリアではほとんど通用しない単語(イタリアでは一般的に「inverter」で通じる)。イタリアで日本製の鉄道車両向けVVVFインバーターが使用されるのは稀で、特に1980年代〜1990年代初期に採用されたのはイタリア内で唯一と思われる。日立製作所製VVVFインバーターを使用する8069〜8080の電装品や車体の全体の組立はSocimiが担当した。
電動台車。ボルスタ付きのものを使用している。
8000系は車端部に貫通幌は設置されておらず、非常時以外は通り抜け不可。連結部には転落防止幌が設置されている。
8000系の車内。壁面を水色、ポールは黄色、座席と天井は白とし、先に登場した1・2号線の車両よりも明るい印象を受ける。冷房は設置されていない。
ドアの鴨居部に掲示されている路線図。
かつての路線図。ドアが開く方向も表記されていた。
車端部。両先頭車はパンタグラフが設置されているため、低屋根構造である。貫通扉はロックされている。
先頭車の車内(乗務員室方向を見たところ)。
乗務員室仕切り。扉の窓は青色に着色されたガラス(アクリル?)が使用されている。
乗務員室仕切り扉の上には行先表示装置(マグサイン式)と次駅での扉の開く側を示す装置が設置されている。
BREDA製車両の車内の製造銘板。
Socimi製車両の車内の製造銘板。同社は台湾向けEMU300を製造した実績があることから、台湾でも有名である(会社自体は1994年に解散した)。
8000系の運転台。右手操作式ワンハンドルマスコンを採用しており、マスコンは手前に引くと減速、奥に押すと力行。通常はATO運転を行う。
2003年〜2004年に15両(3両編成5本のみ)のみ製造された8100系。外観はほぼ8000系と同一だが、行先表示器がLED式になり、すべてのドアに開扉操作用ボタンが設置された(通常は自動開閉のため不使用)。
連結部には貫通路が設置された。貫通幌は連結器までを覆う大型のタイプ。
8100系の車内の様子。車両中央部は冷房装置を搭載しているため低屋根となっている(改造ではなく、製造時からこの仕様)。
幅広の貫通路。
ドア脇に設置されたドアボタン。車内・車外共に開扉操作用のものしかない。
車端部の行先表示装置。車外の行先表示器と同様、LED式となった。
8100系の車内の製造銘板。
2009年に登場した「Meneghino」。ATMの地下鉄車両としては8000系以来20年ぶりのフルモデルチェンジ車である。「Meneghino」は1号線〜3号線に導入され、ラインカラーは投入路線別に変えている。
「Meneghino」の車内の様子。壁面を灰色、鴨居や座席をオレンジ色とした落ち着いた配色。車内は投入路線別の差異はほとんどない。天井は全車両とも平滑となった(8000系・8100系よりも天井は若干低い)。
車内のLCD式案内表示器。ドア脇に枕木方向に設置されている。画面内の駅名表示の下には、その駅で乗り換えられる路線(地下鉄・トラム・バス・トロリーバス・S線)が表示される。また、防犯対策として車内の防犯カメラからの映像がLCDに映ることもある。
「Meneghino」はミラノ地下鉄で初めてLCD式案内表示器及び車内自動放送を導入した車両である。
貫通路。
先頭車の車内(乗務員室方向を見たところ)。
乗務員室仕切り。
3号線の駅構内。開業年にかかわらず、すべての駅でデザインが統一されている。
2011年に開業したComasina駅。3号線の北側の終点で、乗降ホームが分離されている。当駅にて都市間トラム(Tram interurbano)のMilano-Limbiate線と接続している。
Comasina駅の先の留置線。
3号線の改札口。1・2号線の自動改札機はバー式であるが、3号線は全駅でスイング式の扉付きのものが開業時より採用されている。
Deposito Rogoredo(Rogoredo基地)。3号線唯一の車両基地で、車両の留置、日常検査だけでなく3号線や2号線(一部VVVF車)の車両の大規模検査も当基地にて行う。車両基地内には試運転が可能な周回線も設けられている。
車両基地内でスイッチャー牽引による入換を行う車両。
車両基地内で活躍するスイッチャー(入換機関車)。
手旗を用いての推進運転。
1989年〜1990年、ミラノ地下鉄3号線開業に合わせて3両編成40本(120両)が製造された。前面デザインや窓上の黒帯は、後に登場するJR東日本901系(→209系)に影響を与えていると思われる。

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Affori Centro駅に入線〜発車する「Meneghino」。
「Meneghino」発車後に入線してきた8000系に乗車して、隣駅のDerganoに向かう。

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2003年〜2004年に製造された8100系は8000系をベースに貫通路の設置、冷房化、ドアボタンの設置、行先表示器のLED化等のマイナーチェンジが行われている。
前3両が8000系、後ろ3両が8100系である。

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留置線を発車してComasina駅に入線する、当駅始発San Donato行きの列車。

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1駅間の車内の様子。IGBT-VVVF制御ながらも加減速時はGTO-VVVFのような多くの磁励音が聞こえる。内装は1号線・2号線の同型車とほぼ同一仕様。ドアの横にLCDが設置されており、次駅案内や車内の防犯カメラからの映像が映る。

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Affori Centro駅に入線〜発車する「Meneghino」。IGBT-VVVF制御であるがGTO-VVVFのような加減速時の磁励音が特徴。

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8000系のうちSocimi社が製造した8069〜8080の編成(3両編成6本)はVVVF装置に日立製作所製GTO-VVVFを採用している。 VVVFの磁励音が他の編成と全く異なるためすぐに判別が可能。
Duomo駅を発車する8000系。前面デザインは後に登場するJR東日本209系(←901系)に影響を与えていると思われる。
地下鉄3号線は基本的に6両編成で運行されるが、早朝・深夜はかつて3両編成で運行される列車もあった。
客用扉はプラグドアで、左右のドアは別々のスピードで閉まるのが特徴(8000系はすべてこの仕様)。
Zara〜Maciachini間の延伸開通に備えて2003年〜2004年に製造された8100系がRogoredo FS駅に入線する。3両編成5本のみの少数派。
タイミングよく双方向の列車が発着するSondrio駅。当駅はMaciachini駅以北が延伸開通するまでは、3号線で唯一上下線の線路間に柱がない駅であった。
Sondrio駅に入線〜発車する8000系。1989年に登場し、デビュー当時はミラノ地下鉄の既存車とは全く異なる洗礼された外観やVVVFの磁励音に近未来を感じた。
Centrale FS駅に到着する8000系。ミラノ中央駅の最寄り駅のため、ホームには旅行客の姿が多い。

3号線8000系ABB製VVVF車走行音
(San Donato→Corvetto)
GTO-VVVF制御で、制御装置はABB製。車両番号8001〜8068で使用されている。
Mp-R-Mp+Mp-R-Mp(2M1T×2)の3+3両編成。パンタグラフはMp車に搭載している。
ドアエンジンは空気圧作動式。
3号線8000系ABB製VVVF車走行音
(Turati→Montenapoleone)
3号線8000系日立製VVVF車走行音
(San Donato→Brenta)
GTO-VVVF制御で、制御装置は日立製作所製。車両番号8069〜8080で使用されている。
Mp-R-Mp+Mp-R-Mp(2M1T×2)の3+3両編成。パンタグラフはMp車に搭載している。
ドアエンジンは空気圧作動式。磁励音は日本でも聴ける、日立初期型GTO-VVVFの標準的な音である。イタリアで日本製のVVVFインバーター装置が採用されている例は少ない。
3号線8100系走行音
(San Donato→Rogoredo FS)
GTO-VVVF制御で、制御装置はAnsaldo Trasporti製。8100系のMp車全車(8101〜8110)で使用されている。
Mp-R-Mp+Mp-R-Mp(2M1T×2)の3+3両編成。パンタグラフはMp車に搭載している。
ドアエンジンは電気スクリュー軸駆動式。
3号線8100系走行音
(Rogoredo FS→Porto di Mare)

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