元 武蔵野線205系 ジャカルタデビュー

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2018年2月28日、JR東日本はKCI(PT. Kereta Commuter Indonesia)に2018年3月初旬〜2020年にかけて、武蔵野線で使用してきた205系336両(8両編成42本=武蔵野線205系全編成分)を譲渡することをプレス発表した。205系はこれまで2013年〜2015年に埼京線・横浜線・南武線の205系476両がKCIに譲渡されたが、今回は205系初のVVVF車(205系5000番台)が譲渡されることとなった。

その第一陣として、M24編成・M15編成・M3編成の3編成が譲渡された。M24編成は2018年3月2日、M15編成は2018年3月9日、M24編成は2018年3月30日にそれぞれ京葉車両センターから総合車両製作所新津事業所へ回送され、新潟西港へ陸送。3編成を積載した船は2018年4月3日に新潟西港を出港し、2018年4月14日にTanjung Priok港に着岸した。

2018年4月14日〜15日に1編成ずつPasoso〜Depokで配給された車両は、Depok基地で整備を実施。そして、2018年5月5日午前にM24編成、同日午後にM3編成、2018年5月8日午前にM15編成の試運転(社内試験)が行われた。各種調整が完了し、運輸省の運行許可が下り次第、営業運転を開始する予定である。

第一陣3編成(M24編成・M15編成・M3編成)の武蔵野線現役時代、新潟での陸送、そしてジャカルタでの整備、試運転の様子を紹介する。

※Depok基地内での写真はすべて許可を得て撮影

M3編成。クハ205-44 + モハ205-5005 + モハ204-5005 + サハ205-87 + サハ205-88 + モハ205-5006 + モハ204-5006 + クハ204-449で構成される。全車両が山手線の元ヤテ44編成である。
写真は懐かしの「快速」表示。武蔵野線の快速列車は2013年3月16日のダイヤ改正で廃止された。

新浦安にて(2010年9月5日撮影)
武蔵野線での運行末期のM3編成。武蔵野線での最終運行日は2018年3月27日。

吉川美南にて(2018年3月3日撮影)
M15編成。クハ205-29 + モハ205-5029 + モハ204-5029 + サハ205-208 + サハ205-153 + モハ205-5030 + モハ204-5030 + クハ204-29で構成される。
1〜3・6〜8号車は山手線の元ヤテ29編成、4号車(サハ205-208)は埼京線の元ハエ16編成、5号車(サハ205-153)は元ハエ4編成である。武蔵野線での最終運行日は2018年2月27日。

南流山にて
M24編成。クハ205-33 + モハ205-5047 + モハ204-5047 + サハ205-65 + サハ205-66 + モハ205-5048 + モハ204-5048 + クハ204-33で構成される。
全車両が山手線の元ヤテ33編成である。武蔵野線での最終運行日は2018年2月20日。

南流山にて
総合車両製作所新津事業所に到着したM15編成。編成を解除され、1両ずつ人力で構内を移動する。
2018年3月10日夜、トレーラーに載せられて総合車両製作所新津事業所を出発するM15編成クハ205-29。
国際列車「しもうさ号 ジャカルタ行き」が行く。
新津バイパスを北上。
新潟バイパスのインターチェンジ付近を行く。
歩道橋をくぐる。
国道113号線に入る。
深夜の新潟市を行く、陸送の車列。
新津を出発してから約1時間、新潟東港の前に到着。
新潟東港にて、先に到着していたM24編成と再会。
投光器を用いて、クレーン2台でトレーラーから車両を降ろす。
翌朝。新潟東港に横1列に並ぶ、M24編成全8両とM15編成のうち4両。
山の下みなとタワーから俯瞰する。
佐渡汽船との並び。
M24編成クハ205-33に掲げられた、「むさしのドリーム ジャカルタ行き」の表示。JR東日本の現場係員のアイデアによるものとのことで、SNS等でも話題になった。編成札は、紙製の「1」と書かれたものが掲げられている。
M15編成クハ205-29に掲げられた、「しもうさ号 ジャカルタ行き」の表示。編成札は、紙製の「2」と書かれたものが掲げられている。譲渡順に付番されていると思われる。オリジナルの編成札は京葉車両センター出発時より撤去済み。
ジャカルタ到着後にDepok基地にて整備が進められ、塗装変更等の整備が完了した、M24編成(左)とM3編成(右)。KCIにとって初の205系5000番台(VVVF車)で、他の205系との併結は不可であるため何らかの識別塗装がされるかと思いきや、カラーリングは従来編成と同一である。
Depok基地で並ぶM3編成(左)とM24編成(右)。「ジャカルタ行き」の表示は両編成とも撤去されていた。
東京メトロ6000系6124Fと並ぶM15編成。紙製編成札「2」は掲出されたまま。
M15編成と、同じく2018年4月に現地入りした東京メトロ6000系6122Fとの並び。
Depok基地内で並ぶ、左からM24編成、6126F、M3編成。この時点ではいずれも8両編成。
KCIで初となる205系5000番台。
譲渡前後のクハ204-44の車番表記。他の車両と同様、KCIでは「クハ」等の日本語表記部分は除去されている。
なお、後にインドネシアの鉄道法規56号に則った車両番号(運輸省付番番号)表記が「クハ204-44」表記の下に追加されている。
所属・定員表記も日本語部分を除去。うっすらと「千ケヨ」表記が残る。
2018年5月5日、武蔵野線編成の初の本線試運転(社内試験)がDepok〜Manggarai間で行われた。写真は午前に行われたM24編成試運転で、Depok駅2番線に入線する。前面には試運転を示す「PERCOBAAN」と書かれた板が提出されている。
Manggaraiから折り返す、M24編成の試運転。紙製編成札「1」は掲出されたまま。

Tebet〜Cawangにて
本線上で制動試験・力行試験が何度も行われ、偶然にも目の前でも停車した。
クハ205-33(1号車)。
モハ205-5047(2号車)。パンタグラフの舟板が交換されている。
モハ204-5047(3号車)。
サハ205-65(4号車)。弱冷房車ステッカーは除去済み。
サハ205-66(5号車)。
モハ205-5048(6号車)。パンタグラフの舟板が交換されている。
モハ204-5048(7号車)。
クハ204-33(8号車)。
M24編成試運転後追い。「PERCOBAAN」を掲げて走る姿を順光で見ることができた。
Cawang駅に差し掛かるM24編成試運転列車。
2018年5月5日午後に行われた、M3編成試運転。同じくDepok〜Manggarai間で実施された。1日に2編成も試運転が行われるのは珍しい。
Depok基地手前で、事業用車「Djoko Tingkir」と離合。
Depok基地へと入線していくM3編成。
2018年5月5日午前、KCIに譲渡された205系5000番台で初の本線試運転(社内試験)がDepok〜Manggarai間で行われた。武蔵野線で聴き慣れた東洋電機製IGBT-VVVFのサウンドがインドネシアの空に響く。

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本線上で制動試験・力行試験を何度も繰り返す、元 武蔵野線205系5000番台M24編成の試運転。KCIでは既に数多くの205系が運行されているが、205系で初のVVVF車のためか、綿密な走行試験が行われた。

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2018年5月5日午後に実施された、元 武蔵野線205系M3編成の試運転(社内試験)。Depok〜Manggaraiを1往復したのち、Depok基地へと回送される。

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